宅建士(宅地建物取引士)はとくに不動産業界で必要とされている資格です。最新の試験での合格率は17.2%と難易度がかなり高い試験であることが分かります。
“17.2%”という数値は独学に限らず、通信講座で学んだ受験者も含まれているため、独学のみで考えると合格率は”17.2%”以下になることが想定できます。
そこで、そんな宅建士(宅地建物取引士)の独学での合格を目指すにあたって、必要な情報を調査してまとめました。
【当ページの内容をざっくりまとめると…】
・宅建士になるには17%前後の合格率をくぐり抜ける必要がある
・合格基準点は約7割なので、満点を目指す必要は無い
・焼き直し問題が多く出題されるため過去問を対策すれば合格に近づける
・独学でも使いやすいテキストや問題集を駆使すれば十分合格可能
今回は、上記の内容をそれぞれ詳しく解説していきます。(5分ほどでサックリ理解できるようまとめました。)
毎年、宅建士の試験は10月に行われます。
2025年3月現在は、余裕を持って学習を進められるので、合格するための情報を把握し試験対策を始めてみてください。
【結論】宅建士(宅地建物取引士)に独学で合格することは可能か?
“独学”で宅建士(宅地建物取引士)の合格を目指すうえで「勉強はどのくらい必要なのか?難しいのか?」など、多くの方が不安に感じる要素はいくつか存在します。
しかし、まずは勉強量を度外視して「そもそも宅建士(宅地建物取引士)は、大学や講座に通わなくても合格する可能性は1%でもあるのか…?」について、調査結果をまとめました。
いくら独学で勉強しても「受験資格」などが必要だった場合は、学校や講座に通う必要が出てくるものです。
ここでは大きく以下2つの観点から、調査結果をまとめています。
- 「合格率から分析する試験の難易度」の観点
- 「受験資格」の観点
①合格率から導く!宅建士(宅地建物取引士)の一般的な難易度レベル
年度 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
平成26年度 | 192,029 | 33,670 | 17.5 |
平成27年度 | 194,926 | 30,028 | 15.4 |
平成28年度 | 198,463 | 30,589 | 15.4 |
平成29年度 | 209,354 | 32,644 | 15.6 |
平成30年度 | 213,993 | 33,360 | 15.6 |
令和元年度 | 220,797 | 37,481 | 17.0 |
令和2年度(10月試験) | 168,989 | 29,728 | 17.6 |
令和2年度(12月試験) | 35,261 | 4,610 | 13.1 |
令和3年度(10月試験) | 209,749 | 37,579 | 17.9 |
令和3年度(12月試験) | 24,965 | 3,892 | 15.6 |
令和4年度 | 226,048 | 38,525 | 17.0 |
令和5年度 | 233,276 | 40,025 | 17.2 |
令和6年度 | 241,436 | 44,992 | 18,6 |
過去10年の合格者数や合格率は上記を確認ください。
ここ10年の傾向を見てみると、合格率は15.0~18.0%を推移していることが分かります。
さらにここ2年は新型コロナウイルス感染症対策として一部都道府県での試験を年2回に分けて実施し、10月の試験よりも12月の試験の方が合格率が数%下がっています。
試験地ごとに10月の申込者数が受験可能人員を上回った場合は2回に分けて実施されますが、試験日や会場は主催側が指定します。そのため12月試験になった場合、合格率が更に低くなることを留意しておきましょう。
ここ数年は17%に推移しているので、合格率も徐々にあがっていくことも期待できるかもしれません。しかし全体的に合格率は20%を超えておらず、難易度はかなり高いと言えるでしょう。
しっかりと準備をしてから試験に挑むこと、そして一発での合格は期待できないことを予め理解したうえで試験勉強を進めてみてください。
②クリアすべき受験資格は無いのか?
宅建試験には受験資格はありません。年齢や職業を問わず受験できます。そのため、学生でも受験することが可能です。宅建の資格は業界によっては就職活動でも有利に働きやすいので、可能であれば学生のうちに取得しておくといいでしょう。
受験地は原則として住民登録をしている都道府県となります。しかし学生や単身赴任といった事情で住民票を届けていない都道府県に居住している場合は、居住地の都道府県でも受験可能です。
ただし、新型コロナウイルス感染症対策つぉいて、試験当日の検温を必須としています。37.5度以上の発熱がある場合や平熱を超える発熱がある、咳などの症状がある、コロナウイルス陽性、濃厚接触者と認定されている方は会場への入場ができません。
また、これらを理由とした再試験も実施されていません。感染症対策についてはしっかり確認しておきましょう。
【おさえるべき】合格の可能性を左右する3つの要素
独学で宅建士(宅地建物取引士)の合格を目指すうえでは、一人で勉強するとなると、それなりの苦労も。
早速ですが、一番気になるであろう「独学で宅建士の勉強をする上で、重要になるであろう要素」について答えをまとめておきました。
【No.1】回答はマークシート式で、約7割以上の正答で合格できる
試験は全部で50問出題され、毎年約7割の正答数を合格基準点としています。直近5年の合格基準点は次の通りです。
年度 | 合格基準点 |
---|---|
平成29年度 | 35点/50問 |
平成30年度 | 37点/50問 |
令和元年度 | 35点/50問 |
令和2年度(10月試験) | 38点/50問 |
令和2年度(12月試験) | 36点/50問 |
令和3年度(10月試験) | 34点/50問 |
令和3年度(12月試験) | 34点/50問 |
令和4年度 | 36点/50問 |
令和5年度 | 36点/50問 |
令和6年度 | 37点/50問 |
この通り、試験では約7割の正答数を叩き出すことを目標にして試験対策に臨みましょう。満点を取る必要はないので、試験を攻略して「確実に取りたい設問」を見極める力をつけてみてください。
更に、令和3年の試験では7割を切る基準点となっています。7割を目指していれば確実に合格できるという自信をもち、過去問に取り組んだり模試を受けてみるとモチベーションアップに繋がるでしょう。
【No.2】過去の出題傾向をしっかり押さえる
宅建試験では例年過去問と同じ知識が問われる「焼き直し問題」が出題の7割から8割を占めている事が分かっています。これは、全く同じ問題がくり返し出題されたり、一部の表現を変えて出題されることを指しています。
つまり過去の出題傾向をしっかり押さえておけば、試験対策はほとんどカバーできるといっても過言ではありません。過去問は主催団体「一般財団法人 不動産適性取引推進機構」のHPで公開されています。
過去問はボリュームが大きいですが、出題される可能性が高い範囲を絞り込んで定着させることを忘れないでおきましょう。
【No.3】試験範囲は広く、出題範囲を適切に絞り込む必要がある
宅建試験は出題範囲が幅広い中からたった50問だけ選出されて出題されます。法律関係を覚えなければいけないのですが、実際の出題はとても限られているのです。そのため闇雲に出題範囲を覚えるといった行為は適切な対策とはいえません。
学習範囲を適切に絞り込んで、それを定着できるようくり返し学習していく必要があります。この絞り込みを誤ってしまうと試験に万全の状態で臨むことはできないでしょう。
宅建士(宅地建物取引士)の勉強を独学で進めるメリット・デメリット
独学で宅建士(宅地建物取引士)に挑むことは、かなり苦労することはわかりますが、もちろん良いこともあります…!
もちろん「苦労する」などのデメリットがあることも事実ですので、その両面から〜試験名~の独学について分析しました。
【分析】独学がメリットの理由
宅建の試験対策に臨む場合、通信講座を受講したり資格取得支援センターなどで講義を受けるといった方法があります。これらの講義の特徴は、合格までの適切なカリキュラムが設定されていることです。これは裏を返すと決められた時間を確保しなければいけないということにもなります。
独学での試験対策であれば、学校に通っている方や仕事中の方でもスキマ時間に勉強に取り組めます。通信講座でも対応期間が決められている場合があり、数ヶ月以上かけて勉強したい方にとっては利用しづらいでしょう。フレキシブルに試験勉強に取り組めるという利点は独学の魅力であるといえます。
独学なので好きな場所で試験勉強できるところもメリットです。自宅で勉強できるので、受講に必要なコストや時間もカットすることができます。
宅建は法律に関する出題が多いため、どうしても勉強時に資料が多くかさばってしまう可能性があります。電子版を活用するなど工夫をすれば、好きな場所での勉強にも余計な負担がかかりません。
独学であれば最低限のテキストを揃えるだけで試験勉強に取り組めます。通学したり通信講座を始めるよりもかなりコストを抑えられるというメリットです。
テキストだけであれば数千円から1万円程度の費用で始められるので、コストを抑えたい方は独学がおすすめです。宅建の過去問は公式サイトから無料でダウンロードできるので、自宅にプリンターなどがあれば別途過去問集を購入する必要もありません。
自分でどんなテキストを揃えて勉強するべきか分からないという場合は、学校よりも更にコストを抑えられる通信講座がおすすめです。通信講座であればテキスト代などを含めても数万円程度で受講できます。
【分析】独学のデメリットと対策法
学校や通信講座であれば専門講師の方に分からないところを直接聞けるというメリットがあります。
しかし独学の場合は、試験勉強中に分からないところを聞ける手段がありません。
資格は取得するだけでなく知識を活用していく必要があるため、理解できないまま回答を暗記するという方法は適切ではありません。本質を理解せずに学習を進めても試験に合格できる可能性は低いでしょう。
※対策法※
対策としては専門書を調べてみるという方法があります。宅建に関する書籍は多く出版されていて、いずれも専門家の方が分かりやすく詳しい解説を展開しています。
もちろんこのような情報はSNSからも取得できますが、SNSよりも校閲がかかり出版されている専門書の方が情報を正確に取得しやすくおすすめです。
宅建の試験は通常年1回開催されます。試験勉強の期間は人によって様々ありますが、試験を受けると決めてから試験日までに取り組むべき対策とそのスケジュールは自分で決めなければいけません。
学業や仕事と両立しているとなかなかスケジュール通りに進めることが難しくダラダラしてしまうというリスクもあります。
※対策法※
都合によっては試験勉強に取り組めない日も出てきます。そのため毎日試験対策をしなくても十分対策できるよう、試験日までの対策期間にはゆとりを持っておくことをおすすめします。
宅建には数多くの法律に関する問題が出題されます。そしてこれらの法律は場合によっては改正される可能性があります。
独学で勉強する場合テキストや過去問を使って試験対策に臨みますが、購入したテキストが古ければ法改正の情報を取得できませんし、過去問とは回答が変わってしまっていることも考えられます。
法改正の最新情報は調べれば出てきますが、漏れてしまうかもしれません。
※対策法※
このデメリットの対策はなかなか難しいです。最新版のテキストが発売されたら購入してみる・不動産関連のニュースはしっかりチェックしておくといった努力の積み重ねによって、最新情報を漏れなく取得することにつながるでしょう。
独学で効率良く勉強する方法とは?
最後に、独学で効率良く合格を目指すために押さえておくべき、3つのポイントをまとめておきました。
ポイント① 教材の選び方
独学で宅建試験に取り組む場合は、使いやすい教材を選ぶ必要があります。宅建試験に関するテキストは数多く出版されているため、闇雲に購入したって意味はありません。
自分が使い続けるという1冊を決めて繰り返し学習することでインプットできます。上記の3つのポイントを重視すれば、宅建初心者でも複雑な宅建の出題範囲に関する知識が身につきやすいです。
ポイント② 応用力の身に着け方
難しい不動産関連の知識を身につけるだけでも大変ですが、せっかく理解できた範囲がどのように出題されるかを知っておかなければ応用力は身につきません。合格に近づくためには応用力を得るためにアウトプットしていく必要があります。
問題集は模擬試験タイプから過去問、分野別など多岐に渡って展開されています。ここでは試験までの学習スケジュールに合わせて問題集のタイプを変えていくことをおすすめします。
たとえば模擬試験は試験を受ける間近の最終確認に、テキスト連動タイプはテキストで理解したことをすぐに復習したいときなど、その都度に適した問題集を使ってみてください。
ポイント③ 登録講習を受けると試験の一部が免除される
宅建には5問分だけ免除される登録講習制度というものがあります。これは3年間有効なので、試験を受けたいタイミングで登録講習を受講しておくことをおすすめします。
ただしこの免除制度は宅建業従業者証明書を提出できる方のみ、つまり不動産業界では鱈いている方のみ有効です。
最新!2025年度の宅建士試験日程を予測
最後に、2025年度に行われる宅建士試験の日程を予測しました。
今後、受験を検討している方は日程を参考に試験対策を始めましょう。
日程 | |
---|---|
試験案内配布 | 2025年7月1日(火)〜7月15日(火)予定 |
受験申請日 | 郵送→2025年7月1日(火)〜7月15日(火)予定 ネット→2025年7月1日(火)9時半〜7月31日(木)21時59分まで予定 |
試験日 | 2025年10月19日(日)13時から15時 |
合格発表 | 2025年11月26日(水) |
一般的に、宅建士の試験は3ヶ月から5ヶ月ほどの勉強期間が必要です。
2025年1月時点では余裕を持って試験対策ができるので、早めに学習を始めてください。
【考察結果まとめ】宅建士(宅地建物取引士)試験の独学は難しいのか?
今回は以下のポイントについて、それぞれ詳しく調査結果をまとめました。
【結論】そもそも独学で宅建士(宅地建物取引士)にチャレンジすることは正しいのか?
・宅建士になるには17%前後の合格率をくぐり抜ける必要がある
・合格基準点は約7割なので、満点を目指す必要は無い
・焼き直し問題が多く出題されるため過去問を対策すれば合格に近づける
・独学でも使いやすいテキストや問題集を駆使すれば十分合格可能
独学でのチャレンジはもちろん難しいですが、誰にでも可能性はあるので、ぜひ当サイトの情報も役立てながら、挑戦してみてください。