予備試験の難易度・合格率まとめ【2024年度】大学・社会人別の違いを解説

予備試験の合格率は3〜4%のため、優秀な学生でも合格するのは難しいです。合格するためには、数千時間も必要とされ、時間に余裕がある大学生でも難しいのが現実です。

そこで、今回は以下のような内容について調査を実施しました。

【当ページをざっくりまとめると…】
・予備試験の概要
・予備試験を合格率や勉強時間から見る難易度
・予備試験に合格した大学から見る難易度
・予備試験が難しいとされている理由
・予備試験を受験するために必要な金額、学習費用

今回は、上記の内容をそれぞれ詳しく解説していきます。(5分ほどでサックリ理解できるようまとめました。)

目次

そもそも予備試験とは?どんな仕事内容?

予備試験とは法務省では以下のように定義されています。

予備試験は、法科大学院を経由しない者にも法曹資格を取得する道を開くために設けられた試験で、これに合格した者は、法科大学院修了者と同等の資格で司法試験を受験できます。

引用:法務省

つまり法科大学院を卒業しなければ受験できない司法試験を、予備試験で免除できる試験のことをいいます。

多くの法科大学院は法学部出身しか受け入れない傾向にあるため、理系などほかの学部の方は、予備試験を受験するしか方法がありません。

予備試験の合格率から見る難易度

過去の予備試験の合格率は以下の通りです。

年度受験者数合格者数合格率
令和5年13,3724793.58%
令和4年13,0044723.63%
令和3年11,7174673.99%
令和2年10,6084424.17%
平成31年11,7804764.04%
平成30年11,1364333.89%
平成29年10,7434444.13%
平成28年10,4424294.11%
平成27年10,3343943.81%
平成26年10,3473563.44%
引用:法務省

合格率の推移から5%を超えた年がなく、非常に合格率の低い試験といえます。

受験者数は毎年1万人以上とされており、合格するのは至難の業です。予備試験の合格率が低くなる理由としては、試験が3つあり、それぞれに一度で合格しなければならないからです。

また合格点は受験者の平均点や点数の変動から決まるため、合格者数を制限しています。

予備試験の勉強時間から見る難易度

予備試験に合格するために必要な勉強時間は最低でも5000時間といわれています。

学生や社会人によって勉強時間は変わるため、注意しましょう。学生の場合、1週間に40時間ほど勉強できる時間があるため年間で2000時間以上勉強可能です。

そのため2年〜2年半、勉強を続けられれば合格に必要な勉強時間が確保できるといえます。社会人の場合、1週間に20時間ほど勉強できる時間があるため年間で1000時間以上勉強可能です。

さらに4年〜4年半、勉強を続けられれば合格に必要な勉強時間が確保できるといえます。学部が法学部や仕事で法律関連を学んだ方は、上記の時間よりも短い時間で合格も可能です。

また永田町司法書士事務所が発表した内容を参照すると、予備試験におすすめの通信講座を利用することで、全国平均合格率3.6%(令和4年度)の4.9倍を達成しているとのレポートも。

予備試験では同じ年に短答式試験、論文式試験、口述試験が開催されています。

3つの試験すべてに合格しないと、司法試験受験の資格を得られません。試験はそれぞれ7、9、11月に開催され、合格者のみが次の試験に進めます。

それぞれの試験で出題される科目や求められる能力が異なり、学習計画を立てる必要があります。

予備試験の科目から見る難易度

予備試験の難易度が高い理由として、試験範囲が膨大なことが挙げられます。担当試験では以下の科目を学ばなければなりません。 

  • 憲法
  • 民法
  • 刑法
  • 商法
  • 民事訴訟法
  • 刑事訴訟法
  • 行政法
  • 一般教養

また論文では以下の科目を学ぶ必要があります。

  • 憲法
  • 民法
  • 刑法
  • 商法
  • 民事訴訟法
  • 刑事訴訟法
  • 行政法
  • 選択科目【倒産法・ 租税法・ 経済法・ 知的財産法・ 労働法・ 環境法・ 国際関係法(公法系)・ 国際関係法(私法系)】※いずれか1科目を選択
  • 実務基礎科目(民事実務基礎、刑事実務基礎)

法科大学院で数年かけて学ぶ内容を一度に試されるため、試験対策は難しいです。

予備試験の年齢別合格率から見る難易度

令和5年の予備試験の年齢別合格者は以下の通りです。

職種別受験者最終合格者
公務員1,37730
教職員1602
会社員3,07350
法律事務所事務員2532
塾教師1222
自営業6789
法科大学院生49621
法科大学院生以外の大学院生351
大学生3,953286
無職2,70469
その他5217
総計13,372479
参考:法務省

法科大学院生と大学生で約8割の合格者を占めています。社会人よりも学生の方が合格率は高く、学生のときに受験するほうが有利です。

学生の合格率は平均合格率の2倍近くで、社会人は1%台がほとんどです。

合格率が高い理由は、

  • 学生の方が勉強時間がある
  • 法科大学院の学生と交流できる
  • 司法試験を受験する仲間を見つけやすい

が挙げられます。

社会人は残業や出張によって勉強時間が急遽なくなってしまう恐れがあります。

また法科大学院の学生と交流ができるため、司法試験の攻略法を事前に入手可能です。法科大学院生だけでなく、予備試験の受験を検討している仲間を見つけやすく、塾などで高いモチベーションで学習が可能です。

予備試験の学歴から見る難易度【2024年最新の分析】

令和5年の大学別予備試験の合格者人数は以下の通りです。

大学名合格率受験者数合格者数
東京大学12.90%765人99人
慶應義塾大学6.40%782人50人
早稲田大学4.00%732人29人
中央大学2.80%939人26人
京都大学7.10%312人22人
一橋大学12.60%175人22人
同志社大学3.80%234人9人
大阪大学5.70%157人9人
神戸大学4.00%124人5人
名古屋大学6.90%72人5人
明治大学1.40%284人4人
東北大学2.60%116人3人
千葉大学4.10%74人3人
北海道大学1.40%138人2人
九州大学1.80%110人2人
立命館大学1.00%192人2人
法政大学1.30%154人2人
大阪市立大学3.30%60人2人
広島大学5.30%38人2人
東京外国語大学8.00%25人2人
青山学院大学1.20%82人1人
日本大学0.60%169人1人
上智大学1.10%90人1人
立教大学1.20%83人1人
関西大学0.80%122人1人
創価大学2.90%35人1人
成蹊大学3.40%29人1人
熊本大学4.20%24人1人
香川大学5.30%19人1人
新潟大学5.90%17人1人
國學院大學2.60%38人1人
信州大学11.10%9人1人
大阪電気通信大学50.00%2人1人
ハーバード大学50.00%2人1人
明海大学50.00%2人1人
参考:法務省

合格者の人数が多い大学には、有名大学が多くランクインしています。多数の受験者が存在しながら、合格率の倍以上の大学も多いです。

逆に地方の国立大学や高学歴とされていない私立大学の合格率は1〜2%台が多数を占めています。法学部で有名な中央大学ですら、合格率が3%台のため、予備試験がいかに難しいかがわかると思います。

ほかの資格と比較した場合の難易度はどれくらい?

弁護士と同等の難関資格の合格率は以下の通りです。

資格名平均合格率(直近10年分)
税理士8%
公認会計士10%
司法書士4%(過去6年)
弁理士7%
参考:国税庁公認会計士・監査審査会法務省特許庁

予備試験とほかの資格を比較すると、同様の難易度といえます。

しかし勉強時間や大学院レベルの学習が必要と考えると、それ以上の難易度とも捉えられます。予備試験の受験者数が増加していることから、難易度は難化傾向にあります。

予備試験と司法試験では難易度はどちらのほうが高い?

予備試験と司法試験では、司法試験のほうが難易度は高いです。

理由は以下の通りです。

  • 問題数が多い
  • 問題文が長い
  • 日程が厳しい

司法試験の問題数が70問ほどに対して、予備試験は40問ほどです。

【最後に解決】そもそも予備試験対策にお金がかかる問題

独学で予備試験に合格する人はいますが、多くの予備校講師や受験者からは勧められていません。予備試験では予備校で合格する人がほとんどです。

しかし予備校の授業料は高く、法科大学院と同等のお金が必要になります。

有名な予備校の授業料は以下の通りです。

  • アガルートアカデミー(約537,460円~)
  • 伊藤塾(1,114,900円~)
  • 辰巳法律研究所(約506,900円)
  • LEC東京リーガルマインド(978,150円~)

オプションも追加すれば、100万円を超えてしまうため、法科大学院の学費と同等の資金が必要です。

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