税理士には選択科目があり、科目によって必要な勉強時間や対策方法が違います。対策をするためには勉強量だけでなく、勉強の質も問われる難しい国家資格です。
勉強時間は4,000時間が目安といわれているため、試験合格まで2年から3年以上かかります。
今から学習を始める方は、2025年度の試験ではなく2026年以降の試験受験を目指しましょう。
効率よく学習を進めるためにも、試験の難易度や科目別の勉強時間をまとめました。
今回は、上記の内容をそれぞれ詳しく解説していきます。(5分ほどでサックリ理解できるようまとめました。)
税理士の合格率から見る難易度
過去5年間の税理士の試験結果は以下の通りです。
年度 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
2024年 | 34,757 | 5,762 | 16.6 |
2023年 | 32,893 | 7,125 | 21.7 |
2022年 | 28,853 | 5,626 | 19.5 |
2021年 | 27,299 | 5,139 | 18.8 |
2020年 | 26,673 | 5,402 | 20.3 |
2019年 | 29,779 | 5,388 | 18.1 |
2018年 | 30,850 | 4,716 | 15.3 |
5年間で受験者数や合格率に大きな差はありません。コロナがまん延した2020年でも、堅調な受験者数を維持しています。
合格率は約18%周辺で受験者数に少しの違いはありますが、5,000人もしくは以上が合格しています。そのため毎年の試験難易度は変化していないと言えるでしょう。
科目 | 種別 | 勉強時間(目安) |
---|---|---|
簿記論 | 必修 | 450~500時間 |
財務諸表論 | 必修 | 450~500時間 |
所得税法 | 選択必修 | 600~700時間 |
法人税法 | 選択必修 | 600~700時間 |
相続税法 | 選択 | 450~500時間 |
消費税法 | 選択 | 450~500時間 |
酒税法 | 選択 | 150~200時間 |
国税徴収法 | 選択 | 150~200時間 |
住民税 | 選択 | 150~200時間 |
事業税 | 選択 | 150~200時間 |
固定資産税 | 選択 | 150~200時間 |
選択科目によって勉強時間が大きく違います。税理士の試験は、5科目で構成されており、最低でも2,000〜2,500時間は勉強しなければなりません。
所得税法と法人税法の両科目の学習をしながら、相続税法や消費税法を試験科目に入れると最低でも3,000時間の学習時間が必要です。
ただし過去の経験や予備知識、実務経験の有無によっても異なるため、一概にどのくらいの勉強時間が必要かは断言できません。
税理士の年齢別合格率から見る難易度
税理士を年齢別にわけたときの合格率は以下の通りです。
年齢 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
---|---|---|---|---|---|---|
41歳以上 | 11.5% | 13.2% | 11.8% | 11.5% | 13.1% | 8.4% |
36~40歳 | 16.2% | 19.2% | 18.3% | 19.4% | 20.8% | 14.3% |
31~35歳 | 19.7% | 21.7% | 21.3% | 22.2% | 23.5% | 17.8% |
26~30歳 | 23% | 25.1% | 23.0% | 24.0% | 27.1% | 19.6% |
25歳以下 | 32.7% | 33.8% | 29.7% | 30.9% | 33.0% | 24.2% |
また税理士を年齢別にわけたときの合格者数は以下の通りです。
年度 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
---|---|---|---|---|---|---|
41歳以上 | 1,300人 | 1,334人 | 1,218人 | 1,239人 | 1,488人 | 972人 |
36〜40歳 | 809人 | 832人 | 795人 | 855人 | 962人 | 669人 |
31〜35歳 | 1,057人 | 1,002人 | 959人 | 1,015人 | 1,168人 | 887人 |
26〜30歳 | 1,010人 | 977人 | 895人 | 993人 | 1,332人 | 1,131人 |
25歳以下 | 1,212人 | 1,257人 | 1,272人 | 1,524人 | 2,175人 | 2,102人 |
税理士の合格率は、若い人ほど合格率が高いです。
5年間の平均で比較したとき、「25歳以下」と「41歳以上」で3倍ほどの合格率に違いがあります。
若い人のほうが合格率が高い理由は、
- 学生の間に独学できる
- 大学で同じような内容を学べる
- 年齢が高い人ほど仕事に忙しい
が挙げられます。
学生の間に独学や授業で税金関連を学べば、短く最短で税理士の資格に合格できるでしょう。
ほかにも年齢が高いと、仕事の合間を見つけて学習しなければならないため、合格が難しくなります。
税理士の学歴から見る難易度
税理士資格合格者の学歴は以下の通りです。
年度 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
---|---|---|---|---|---|---|
大学卒 | 17.3% | 19.3% | 17.7% | 18.6% | 21.1% | 15.1% |
大学在学中 | 32.9% | 32.6% | 31.1% | 29.8% | 30.5% | 26.2% |
短大・旧専卒 | 11.9% | 17.3% | 14.3% | 13.8% | 13.6% | 9.6% |
専門学校卒 | 15.9% | 16.8% | 16.1% | 17.9% | 16.4% | 12.6% |
高校・旧中卒 | 21.0% | 23.8% | 22.5% | 22.1% | 23.8% | 21.6% |
その他 | 38.1% | 42.2% | 43.5% | 42.0% | 32.7% | 36.0% |
上記データを分析してみると、税理士においては、大学生の方が有利である可能性も高いと言えるでしょう。
大学在学中に税理士に合格する人が多く、次に大学卒が続きます。大学在学や大卒に合格者が多い理由は、時間に余裕があり、資格勉強をしやすいからです。専門学校卒業よりも高卒の方が合格者が多い理由は、卒業後に独学もしくは実務経験をしたからだと推測されます。
しかし大学在学中に資格に合格する人は3割ほどのため、税理士の試験はどの世代でも難しいといえます。
科目ごとの合格率から見る難易度
科目ごとの合格率は以下の通りです。
年度 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
---|---|---|---|---|---|---|
簿記論 | 17.4% | 22.6% | 16.5% | 23.0% | 17.4% | 17.4% |
財務諸表論 | 18.9% | 19.0% | 23.9% | 14.8% | 28.1% | 8.0% |
所得税法 | 12.8% | 12.0% | 12.6% | 14.1% | 13.8% | 12.6% |
法人税法 | 14.7% | 16.1% | 12.8% | 12.3% | 14.0% | 16.4% |
相続税法 | 11.7% | 10.6% | 12.8% | 14.2% | 11.6% | 18.7% |
消費税法 | 11.9% | 12.5% | 11.9% | 11.4% | 11.9% | 10.3% |
酒税法 | 12.4% | 14.0% | 12.6% | 13.2% | 12.7% | 12.1% |
国税徴収法 | 12.7% | 12.2% | 13.7% | 13.8% | 13.9% | 13.0% |
住民税 | 19.0% | 18.1% | 12.7% | 17.2% | 14.7% | 18.2% |
事業税 | 14.8% | 13.1% | 12.6% | 14.1% | 16.4% | 13.7% |
固定資産税 | 13.7% | 14.0% | 13.8% | 18.4% | 17.3% | 18.0% |
合計 | 15.5% | 17.3% | 16.5% | 16.7% | 18.8% | 13.5% |
合格率が比較的高いのは、「財務諸表論」と「簿記論」です。簿記論は平均18%のため、平均よりも高いです。
また財務諸表論は合格率が最も高く、合格率は20%を超えています。反対に一番合格率が低い科目は、「消費税法」です。合格までに500時間の勉強が必要で、合格率も低いため、税理士資格の中でも難しい試験科目です。
ほかにも「相続税法」も同じぐらい合格率は低いので、試験科目として考えている方は注意しましょう。
ほかの資格と比較した場合の難易度はどれくらい?
税理士以外の資格の合格率は以下の通りです。(難しいと言われる資格のみ選んでいます。)
資格名 | 平均合格率(直近10年分) |
---|---|
弁護士 | 27% |
公認会計士 | 10% |
司法書士 | 4%(過去6年) |
弁理士 | 7% |
税理士の合格率と比較して、司法書士や弁理士のほうが試験の難易度は高いです。司法書士と弁理士は合格率が一桁台で、税理士の約半分もしくはそれ以下の合格率です。
弁護士は法科大学院で資格のために勉強するため、合格率が高くなります。公認会計士になるためには、簿記1級など取得が難しい資格を事前に取得しなければならないため、難しい資格といえます。
これらの理由から税理士は国内でも屈指の難関資格と考えられるでしょう。
最新!令和7年の税理士試験の概要予測
最後に、税理士の試験概要をまとめました。
日程 | |
---|---|
試験実施官報公告 | 令和7年4月4日予定 |
受験申込受付開始 | 令和7年4月21日予定 |
受験申込受付締切 | 令和7年5月9日予定 |
試験実施日 | 令和7年8月5日~令和7年8月7日 |
合格発表 | 令和7年11月28日 |
税理士の試験概要は、例年4月に発表されます。
試験の受付日や試験実施日を参考に、税理士試験の対策を進めていきましょう。
【分析結果】税理士のまとめ
当ページでは、税理士の合格難易度について、調査した結果をまとめました。
冒頭でもまとめた内容ですが、復習としてもう一度ざっくり記載しておきました。
【当ページをざっくりまとめると…】
・過去5年間の合格者からみる税理士の難易度
・税理士に合格するために必要な勉強時間を科目別に紹介
・税理士とほかの資格と比較して難易度を客観的に調査
・社会人になってから税理士になるのと学生から税理士になるのではどっちが簡単なのか
・年齢別から見る税理士に合格しやすいタイミング
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