「外国人になる経験」があなたを優しくする——東京家政大学グローバル教育センター所長が語る、語学学習の先にある一生モノの“人間力”

「外国人になる経験」があなたを優しくする——東京家政大学グローバル教育センター所長が語る、語学学習の先にある一生モノの“人間力”

スマホの画面越しに見ただけで、世界中のことを自分の目で見たつもりになっていませんか?

“Seeing is believing”――情報があふれる現代だからこそ、この言葉の本当の意味を考えさせられる取材となりました。

今回お話を伺ったのは、東京家政大学グローバル教育センター所長の鈴木繁幸教授です。

20年以上にわたり国際交流の現場で学生たちを支えてきた鈴木教授は、語学スキル向上にとどまらず、異国の地で「外国人」として過ごす経験が育む「人への優しさ」を何より大切にされています。

本記事では、驚きの「無料」語学サポートから、日本の女子大で初となるフロリダ州立大学と提携したディズニー・インターナショナル・プログラムでの有給インターン、そして留学中の学費免除制度まで、学生の挑戦を後押しする手厚い仕組みを詳しくご紹介します。

知識の習得という枠を越え、一人の人間としての深みをつくる教育の本質に迫りました。

東京家政大学グローバル教育センター
東京家政大学グローバル教育センター
目次

145年の歴史と「女性の自主自律」。学生の投票で決まった東京家政大学の歩み

145年の長い歴史を誇る東京家政大学。

その広大な緑に囲まれたキャンパスには、創立以来受け継がれてきた「自主自律」の精神が息づいています。

意外な大学名の由来や、都会の喧騒を忘れさせる豊かな自然環境について紐解いていきましょう。

東京23区内ながら豊かな自然に包まれた、静寂で広大なキャンパス環境

鈴木 繁幸教授

まずは東京家政大学についてご紹介します。

本学は1881年(明治14年)に創立されました。

「女性の自主自律」を建学の精神に、「愛情・勤勉・聡明」を生活信条として掲げ、145年ほどの歴史を歩んでまいりました。

メインとなる板橋キャンパスは、住所としては東京都板橋区に位置しています。

面白いことに、敷地内に板橋区と北区の境界線があり、キャンパスそのものが両区にまたがっているのです。

——2つの区にまたがっているとは珍しいですね。都心に近い立地ですが、自然などの環境面はいかがでしょうか。

鈴木 繁幸教授

最寄りの十条駅から池袋まではわずか2駅ですので、都会的なイメージを持たれるかもしれません。

しかし、実際にお越しいただくと分かりますが、キャンパスは非常に広大で静かです。

夏にはセミが鳴き、コウモリが飛ぶ姿も見られます。

私が本学に来てから20年になりますが、以前はタヌキが顔を出すこともありました。

——23区内とは思えない、自然豊かな環境なのですね。

家政学の枠を超えた「総合大学」へ。多彩な分野が交差する学びの場

——グローバル教育センターの特徴についてお聞かせいただけますか。

鈴木 繁幸教授

はい。その前に、少し大学名の由来に触れさせてください。

「東京家政大学」という名称から、どうしても「家政学に特化した大学」というイメージを持たれがちです。

実はこの名称は、戦後、新制大学として発足する際に、当時の学生による投票で決まったものなのです。

当時は家政学が非常に重要視されていたため、この名が選ばれたのだと思います。

しかし現在では、家政学にとどまらない総合大学へと発展しています。

——学生の投票で大学名が決まったというのは興味深いエピソードですね。

鈴木 繁幸教授

例えば、私は英語コミュニケーション学科に所属していますが、「家政大学で英語が学べるのですか?」と驚かれることもあります。

名前は「家政大学」ですが、実際は幅広い分野を学べる総合大学であるという点を、ご理解いただければと思います。

——現在では総合大学として、幅広い学びの場が提供されているということがよく分かりました。

追加費用ゼロでここまで!全学生が「完全無料」で利用できる驚きの語学支援

「語学を学びたいけれど、追加の費用が心配……」

東京家政大学では、そんな不安を払拭する驚きのサポート体制が整っています。

オンライン英会話や対面での英会話まで、学生なら誰でも「完全無料」で使い放題という、手厚すぎる支援の中身に迫ります。

オンライン英会話から対面での英会話まで。学内・自宅で英語が身近になる環境

鈴木 繁幸教授

本学は語学教育を非常に重視しており、「全学共通教育」という科目群の中で徹底した指導を行っています。

日本も多文化共生の時代と言われていますが、本学は他の競合女子大学と比較しても、海外研修プログラムの数が圧倒的に多いのが特徴です。

また、正課の授業以外にも様々なプログラムやイベントを用意しています。

グローバル教育センターには「イングリッシュ・ラウンジ」を設置しているほか、フィリピン・セブ島とつないだオンライン英会話、対面でのランチトーク英会話、学習サポートなども行っています。

さらに、TOEIC®の対策講座やTOEFL ITP®の学内受験なども実施しています。

——オンライン英会話から資格試験対策まで、語学学習のサポート体制が非常に充実しているのですね。

鈴木 繁幸教授

はい、その通りです。これらは学生サービスの一環として提供していますので、先ほど申し上げたオンライン英会話や対面レッスンなども、すべて無料で利用していただけます。

所属学部を問わず門戸を開放。全学科で徹底される必修の英語教育

 ——オンライン英会話は、企業と提携して行っているのでしょうか。

鈴木 繁幸教授

ある企業と長年提携しており、フィリピン・セブ島の講師と学生をオンラインでつないでレッスンを行っています。

開始当初はグローバル教育センターに来て受講する必要がありましたが、現在は予約さえすれば、自宅からスマートフォンなどを使って受講できるようになっています。

——場所を問わず利用でき、しかも追加費用の負担がないというのは、学生にとって非常に大きな安心感につながりますね。経済的なハードルを感じることなく、学びを継続できる手厚いサポート体制だと感じます。

鈴木 繁幸教授

大学として、そのような無料の学生サービスの充実には力を入れています。

先ほども申し上げましたが、オンライン英会話は自宅でも利用が可能です。

また、eラーニングも導入しており、こちらも場所を選ばずどこでも学習できます。

——貴校には様々な学部がありますが、語学系以外の学部の学生でも、申し込めば誰でも利用できるのでしょうか。

鈴木 繁幸教授

可能です。グローバル教育センターは全学の組織ですので、所属学部・学科を問わず利用できます。

確かに、英語コミュニケーション学科の学生の利用が最多ではありますが、それ以外の学科の学生も数多く利用してくれています。

コリア語・中国語・フランス語・ドイツ語。3年間じっくり選べる第二外国語

——専門外の学部に進学しても、英語を学びたいという意欲さえあれば、充実したサポートを受けられる環境が整っているのですね。

鈴木 繁幸教授

サポートがあるだけでなく、そもそも英語は必修科目になっています。

英語コミュニケーション学科生はもちろんですが、それ以外の全学科において、1年生と2年生の間は英語の授業を必ず履修しなければなりません。

——どの学科に入学しても、グローバル教育センターで語学を学ぶことが必須となっているのですね。

鈴木 繁幸教授

おっしゃる通りです。もちろん英語だけではありません。

現在一番人気があるのはコリア語ですが、その他に中国語、フランス語、ドイツ語を含めた計4カ国語を、第二外国語として学ぶことができます。

これらは初級・中級・上級と3年間にわたって履修可能です。

第二外国語は必修ではありませんので、学生が自由に選択できます。

学んだ言語を海外で実践したい、自分の運用能力を試したいという学生のために、英語圏以外の国への研修プログラムもすべて用意しています。

——韓国、ドイツ、フランスなど、自分が学びたい言語に合わせて留学先も選べるということですね。

鈴木 繁幸教授

中国語に関しては、現在は台湾の大学と提携を行い、学生を派遣しています。

「4年で卒業」と「専門性の深化」。夢を諦めない多彩な留学プログラム

「留学をすると卒業が遅れてしまうのでは?」という心配はありませんか。

東京家政大学の留学プログラムには、教職課程と両立しながら4年で卒業できる道や、栄養・医療・芸術・服飾・教育といった各学科の専門性を海外で深める「専門研修」など、一人ひとりの夢を叶えるための多彩な選択肢が用意されています。

教職課程との両立も可能。休学せずに挑戦できる半年〜1年の長期留学

——海外からの留学生も多く在籍しているのでしょうか。

鈴木 繁幸教授

残念ながら、留学生の数はまだそれほど多くはなく、現在は9名です。

ただ、数年以内には少なくとも25名まで増やす計画を立てています。

正規の留学生はアジア出身の方が中心になります。

英語コミュニケーション学科以外では、通常の授業は基本的に日本語で行われるため、日本語の運用能力が必要になるからです。

とはいえ、欧米の学生にも来ていただきたいという思いがありますので、夏期に2週間のサマープログラムを実施しています。

ニュージーランドやカナダなどの提携校に案内を出し、短期での受け入れを行っています。

——サマープログラムを通じて欧米の学生も受け入れているのですね。 反対に、在校生の方で留学を選ばれるケースも多いのでしょうか。

鈴木 繁幸教授

多いです。本学では6ヶ月以上のものを「長期プログラム」と呼んでいますが、競合他大学に引けを取らないよう提携先やプログラム数を拡充していますので、多くの学生が参加しています。

——選択肢が本当に幅広いですね。短期だけでなく、6ヶ月、あるいはそれ以上の長期留学もあるのですか。

鈴木 繁幸教授

最長で1年間のプログラムがあります。

——資料で拝見したのですが、留学先で単位を取得することで、4年間で卒業できる制度があるそうですね。

鈴木 繁幸教授

その通りです。教職課程を履修している学生の場合、学科によっては1年間の留学だと必修科目の履修順序などの関係で、4年での卒業は難しくなります。

しかし、半年間の留学であれば、たとえ教職課程を履修していたとしても、休学することなく4年間で卒業できるカリキュラムを組んでいます。

——それは素晴らしいですね。教職を取りながら半年間も留学に行けるというのは、学生にとって大きなメリットだと思います。

栄養・医療・芸術・服飾・教育の現場を海外で体験。学科独自の「専門研修」の強み

——英語コミュニケーション学科以外の学生でも、留学を希望される方は多いのでしょうか。

鈴木 繁幸教授

多いですね。本学には「学科主催の専門研修」という制度がありまして、これは本学独自の強みだと自負しております。

先ほども申し上げた通り、各学科にはそれぞれの専門分野があります。

例えば栄養学科の学生が海外へ行き、単に語学の勉強をするだけでは、「栄養の勉強をしに来たのに」と物足りなさを感じてしまいます。

そこで、栄養学科であればオーストラリアのグリフィス大学へ行き、現地の「スポーツ栄養学」を学ぶといったプログラムを用意しています。

——語学だけでなく、専門分野に特化した留学プログラムがあるのですね。これらは各学科からの要望で作られるのでしょうか。

鈴木 繁幸教授

その通りです。グローバル教育センターが一方的に決めるのではなく、各学科から「うちの学科ではこのようなプログラムを実施したい」という要望が出されます。

それを受けて、私たちセンターが提携先の大学と交渉し、実現させています。

——他にはどのような事例がありますか。

鈴木 繁幸教授

例えば造形表現学科では、イタリアへ美術を学びに行く研修を長く行ってきておりますが、近頃は台湾との交流が盛んですので、台湾の提携大学へ学生を派遣し、東洋の美術や陶芸などを学んでもらっています。

また、リハビリテーション学科ではカンボジアの病院を訪れ、現地の医療現場を視察します。

現地のリハビリテーションの実情を学び、日本の環境と比較研究を行うなど、各学科の特徴に応じたプログラムが充実しています。

——非常に貴重な体験ができそうですね。行ける国も豊富で、専門研修のカリキュラムも魅力的だと感じました。

鈴木 繁幸教授

最近のオープンキャンパスでは保護者の方も一緒に来校されることが多いのですが、まさにその点に関心を持たれる方が増えています。

まずは学科のブースで話を聞き、その後にグローバル教育センターへ足を運んで、「具体的にどのような留学プログラムがあるのか」と熱心に質問されます。

国内での学習にとどまらず、例えばリハビリテーション学科であれば、実際にカンボジアへ行き、現地の状況を肌で感じて学ぶことができる。

そういった実践的な学びの場があることが、今では各学科の大きなアピールポイントになっています。

——専門研修が各学科の強みとなり、オープンキャンパスなどでも高い注目を集めているのですね。

日本の女子大初・フロリダ州立大学と提携したディズニーでの有給インターン!「二重払い」なしの学費免除も

日本における女子大学で初となる、フロリダ州立大学と提携したディズニーワールドでの有給インターンシップ(ディズニー・インターナショナル・プログラム)が始まります。

留学中、東京家政大学への学費が「全額免除」になるという画期的な制度を含め、経済的な壁を越えて世界へ飛び出すための画期的な仕組みをご紹介します。

世界最高峰のホスピタリティを実践。費用負担を抑えて挑むフロリダの半年間

——ディズニーワールドでのインターンシップ留学も行っていると伺いました。

鈴木 繁幸教授

実は、昨年末に提携の契約を結んだばかりなのです。そのため、学生の派遣開始は2027年を予定しています。

——これから始まる新しいプログラムなのですね。

鈴木 繁幸教授

本プログラムはフロリダ州立大学と提携して行うものです。

ディズニーワールドもフロリダにありますので、そちらでの活動となります。

期間は全体で半年間です。

まず現地で10日間の特訓授業を受け、ディズニーのホスピタリティなどを学びます。

その後、ディズニーワールドにてインターンシップを行うのですが、これはお給料が出る「有給インターンシップ」となります。

——お給料がいただけるのですか。それは驚きです。

鈴木 繁幸教授

そのため、一般的な学生ビザではなく、就労可能なビザを取得して渡航することになります。

フロリダ州立大学での授業料などは必要になりますが、その後のインターンシップで給料が得られるため、トータルの費用負担は実質ゼロ、あるいはプラスになって帰国できるのではないかと試算しています。

——実質、留学費用がかからないというのは画期的ですね。

鈴木 繁幸教授

ただし、誰でも参加できるわけではなく、ディズニー側が求める英語の成績基準を満たす必要があります。

実際に「キャスト」として働き、世界中から訪れるお客様に対し英語で接客を行います。

ディズニーのホスピタリティを実践の場で学ぶ、非常に密度の濃いプログラムです。

——他の大学でも同様のプログラムはあるのでしょうか。

鈴木 繁幸教授

「フロリダ州立大学と提携したディズニー・インターナショナル・プログラム」を導入するのは、共学では明治大学が既に実施されていますが、日本の女子大学では本学が初めてです。

——大学でしっかりと事前学習をしてからインターンシップに参加できる点は、学生にとっても安心感がありますね。

鈴木 繁幸教授

大学として、学生を送り出す以上は、国内での事前研修もしっかりと行います。

また、現地到着後も特訓授業がありますので、万全の体制で臨んでもらいます。

——語学留学はどうしても金銭面がネックになりがちですが、英語学習を頑張ればこのようなチャンスを掴めるというのは、学生にとって大きな希望になりますね。

留学期間中の大学授業料は「全額免除」。経済的不安を解消する画期的制度

鈴木 繁幸教授

ディズニーのプログラムに限らず、先ほどお話しした6ヶ月、および1年間の長期留学プログラムに関しても、大きな特長があります。

本学では、留学期間中の本学への授業料や施設設備費といった経費が全額免除となります。

6ヶ月の場合は半期分、1年の場合は通年分の学費がかかりません。

——それは素晴らしいですね。

鈴木 繁幸教授

もちろん、留学先の大学への授業料は支払う必要があります。

しかし、「長期留学中は本学での授業を受けていない」という考えから、その期間の本学への学費はいただかないという方針をとっています。

——在籍している日本の大学の学費が免除になるというのは、かなり珍しいケースですよね。

鈴木 繁幸教授

実はそうなのです。

本学の広報が控えめなのかもしれませんが、オープンキャンパスなどでこの制度をご説明すると、保護者の方を含め、皆様一様に驚かれます。

——一般的には、日本の大学の学費に加えて、留学先の費用も支払う「二重払い」のイメージがありました。それが免除される上、先ほどのお話のように単位認定もされるというのは、学生にとって非常に大きなメリットですね。

鈴木 繁幸教授

補足しますと、夏休みや春休みを利用した短期研修の場合は、通常の授業期間外ですので、学費の免除規定は適用されません。

あくまで、通常の授業期間を含む6ヶ月(半期)や1年(通年)の長期留学において、「本学を不在にする期間の学費は徴収しない」という仕組みになっています。

留学の本質は「外国人になる」こと。困難の先に育まれる一生モノの“人間力”

語学ができるようになることだけが、留学のゴールではありません。

異国の地で自らが「外国人」として過ごす経験は、いかに人を優しく、強く成長させるのでしょうか。

多様なキャリアを持つ職員たちの支えや、困難を乗り越えた先にある内面的な変化について伺いました。

マイノリティの立場を肌で知り、他者への「理解力」と「優しさ」を手に入れる

——留学や研修から帰国した後のサポート体制についても教えていただけますか。

鈴木 繁幸教授

出発前の「事前研修」はもちろんですが、帰国後の「事後研修」も非常に重視しています。

具体的には、帰国報告会への参加を必須としています。

この報告会に参加し、プログラムを完了して初めて単位が認定されるという仕組みです。

事前研修では異文化理解や危機管理などの講義を受けますが、帰国報告会では「現地で自分がどのように変わったか」を皆の前でプレゼンテーションしてもらいます。

そこまでを含めて一つのプログラムとして完結するという考え方です。

——報告会までがプログラムの一環なのですね。参加する前と後では、学生の変化は大きいのではないでしょうか。

鈴木 繁幸教授

そうですね。 私はよく、留学とは「お金を払って苦労をしに行くこと」だと言っています。

日本にいれば言葉も通じますし、生活も楽です。

しかし、海外へ行けば文化も生活習慣も異なり、言葉も不自由です。

あえてその環境に飛び込むわけです。

もう一つ重要なポイントは、現地に行けば学生自身が「外国人」になるということです。

その国の人々とは違う、マイノリティとしての立場や大変さを肌で経験することになります。

現在、日本には約400万人近い外国の方が暮らしています。

彼らも日本で「外国人」として生活し、様々な苦労をしているはずです。

しかし、私たち日本人はつい「日本のルール」を基準にして、例えばゴミ出しのルール一つとっても「なっていない」などと、上からの視点で評価してしまいがちです。

——確かに、日本にいると「外国人としての立場」を想像することは難しいかもしれません。留学先で自らがその立場になることで、視点が変わるのですね。

鈴木 繁幸教授

その通りです。留学から帰ってきた学生は、「外国人として苦労した経験」を持っています。

卒業後、多くの学生は日本で生活していきますが、その経験があることで、日本に住む外国の方々がいかに大変な思いをしているかが理解できるようになるのです。

——その経験が、他者への共感につながっていくということですね。

鈴木 繁幸教授

まさに「優しさ」につながります。

「自分も外国で大変だった。だから、日本にいる彼らもきっと大変なのだろう」と寄り添えるようになります。

さらにその優しさは、外国人に対してだけでなく、人全体への接し方にも広がっていきます。

先ほどのご質問に戻りますと、学生たちが「人に優しく接することができるようになった」と感じる瞬間が、私にとって一番大きな成長を感じるところです。

——語学力だけでなく、「人間力」や「人としての優しさ」を育む機会になっているのですね。

鈴木 繁幸教授

もちろん語学力も重要で、それは出発前と帰国後のTOEIC®スコアを見れば数値として明確に表れます。

しかし、数字には表れない「人の優しさ」や内面的な成長を強く感じますし、それを見るたびに「送り出して本当に良かった」と実感しています。

元CAや海外勤務経験を持つ職員が、学生の学習からキャリアまで親身に支える

——「留学はしたいけれど、英語力に自信がない」という学生もいるかと思います。そういった場合、どのようなフォローを行っているのでしょうか。

鈴木 繁幸教授

グローバル教育センターの正課外プログラムの一つに「英語学習サポート」があります。

外部から専門の相談員を招き、対面やメールなどで個別の質問に対応しています。

「勉強の仕方が分からない」「TOEIC®の点数が伸びない」といった具体的な悩みについて、気軽に相談できる体制を整えています。

——学習面での悩みがあれば、専門家に相談して具体的なアドバイスを受けられるのですね。

鈴木 繁幸教授

グローバル教育センターには、私の他に数人の職員が常駐しています。

実は、その職員の経歴が非常にユニークなのです。

海外生活が長い方や、中国での勤務経験がある方など、多様なバックグラウンドを持っています。

語学堪能なスタッフばかりですので、職員たちに直接質問に来る学生もいますよ。

——職員の方々も多彩なキャリアをお持ちなのですね。身近なロールモデルとして相談できるのは素晴らしい環境です。

鈴木 繁幸教授

中には前職がCA(キャビンアテンダント)だった職員や、海外で日本語教師をしていた職員もいます。

航空業界を目指す学生が、その職員に業界の話を聞きに来ることもありますね。

——やはり、航空業界への就職を目指す学生は多いのでしょうか。

鈴木 繁幸教授

英語コミュニケーション学科の学生は特に多いですね。

最近では他学科でも、少数ですが航空業界を希望する学生が出てきています。

大学としても、航空系の専門機関と提携してサポートを行っています。

また、海外で働いている卒業生もたくさんいますので、彼女たちと現役学生をオンラインでつなぐイベントも実施しています。

「海外へ行くきっかけ」や「現地での仕事内容」などを先輩から直接聞ける機会として、非常に好評です。

——多くの卒業生が世界で活躍している点など、長い歴史を持つ貴校ならではの強みだと感じました。

「言わなければ伝わらない」を学ぶ。ホームステイのトラブルも成長の糧に

——留学中のホームステイなどで、トラブルが発生することもあるかと思います。そうした場合も、大学側でサポートしていただけるのでしょうか。

鈴木 繁幸教授

語学研修はグローバル教育センターが責任を持って送り出していますので、現地で問題が起きると、すべて当センターに連絡が入るようになっています。

まずは職員が対応しますが、それでは解決できない難しいケースの場合は私が対応します。

実際に今年の夏も、学生の保護者の方と電話で直接お話しして対応した案件がありました。

——トラブルの原因はどのようなものが多いのでしょうか。

鈴木 繁幸教授

先ほど「お金を払って苦労しに行く」というお話をしましたが、やはり文化の違い、特にコミュニケーションの文化差によるものが多いですね。

日本では「察する文化」が根強いので、言わなくても相手が分かってくれることを期待しがちです。

しかし、欧米、例えばカナダやアメリカでは、言葉にしないと伝わりません。誰も察してはくれないのです。

——文化の違いからくるすれ違いですね。そうした時にも職員の方がサポートしてくださるのは心強いです。

鈴木 繁幸教授

到着して1〜2日目の頃によくあるのが、「私はこうして欲しかったのに」という不満です。

それに対して私たちは、「それは口に出して言わなければ駄目だよ」と指導します。

「ホストファミリーが何もしてくれない」という相談が来た時も、「してほしいことをちゃんと説明しましたか?」と聞くと、言えていないことが多いのです。

そういった時は、プロである職員が間に入ってアドバイスをし、ほとんどの場合は解決します。

——コミュニケーション不足以外のトラブルもありますか。

鈴木 繁幸教授

例えば「禁煙の家庭という条件だったのに、実際には喫煙する人がいた」といった、明らかな条件不一致やルール違反のケースです。

その場合は「話が違う」ということで、すぐにホストファミリーの変更をリクエストします。

このように、ホームステイに関するトラブルについては、グローバル教育センターの職員が窓口となり、全面的に対応・解決しています。

——トラブル発生時に、馴染みのあるグローバル教育センターに相談でき、知っている先生や職員の方に日本語で状況を伝えられるというのは、非常に大きな安心感につながると思います。

“Seeing is believing”——情報過多の時代だからこそ、自分の目で確かめる勇気を

ネットで検索すれば何でも分かる時代に、あえて自分の足で現地へ行く価値はどこにあるのでしょうか。

毎日開催される「ランチトーク」の活気や、鈴木教授が学生たちに伝え続けている「自分の目で見たものだけを信じる」というメッセージの真意に迫ります。

“平日”のキャンパスで「ありのままの姿」を見てほしい

——キャンパス内では文化交流イベントが年間を通して行われていると伺いました。例えば、「ランチトーク」もそうしたイベントの一つなのでしょうか。

鈴木 繁幸教授

「ランチトーク」は、英語学習を目的とした正課外の取り組みです。

授業ではありませんが、英語学習の延長線上で、気軽に英語に触れられる場として提供しています。

——どれくらいの頻度で行われているのですか。

鈴木 繁幸教授

土曜日を除き、基本的に毎日行っています。

——授業がある平日に開催されているのですね。

鈴木 繁幸教授

私はよく、受験生の方に「オープンキャンパスの日だけでなく、ぜひ普段の家政大学を見に来てください」と伝えています。

オープンキャンパスは日曜日に開催されますが、そこには学生がいません。

平日に来ていただければ、何千本もの樹木に囲まれた豊かな緑の中で、学生たちがリラックスして過ごしている「ありのままの姿」をご覧いただけます。

——確かに、平日であれば学生の方々のリアルな雰囲気が分かりますね。

鈴木 繁幸教授

建学の精神である「女性の自主自律」に基づいた、リーダーシップを育む教育も行われています。

お時間がございましたら、ぜひ一度キャンパスへお越しください。

ネットの知識で満足せず、自ら行動して「自分だけの真実」を掴み取る

——最後に、英語学習や留学に挑戦しようとしている受験生や、その保護者の方へ向けてメッセージをお願いします。

鈴木 繁幸教授

受験生の皆さんは、受験勉強の中で多くの英語表現を覚えていることと思いますが、その中の一つに“Seeing is believing”ということわざがあります。

辞書や学校の授業では、一般的に「百聞は一見にしかず」と訳されることが多いことわざです。

しかし私は、あえて別の意訳をすべきだと学生たちに常々伝えています。

それは、「自分の目で見たものだけを信じなさい」という解釈です。

——「百聞は一見にしかず」ではなく、「自分の目で見たものだけを信じる」。確かに、今の時代だからこそ響くメッセージですね。

鈴木 繁幸教授

現在はインターネットで、世界中のあらゆる情報が手に入る時代です。

だからこそ、ネットの情報だけで満足するのではなく、自分の足で一歩踏み出し、自分の目で直接確かめる。

現代においては、そういった「行動する力」や「確かめる姿勢」が問われているのだと思います。

——SNSなどで容易に情報を得られる今だからこそ、実際に現地へ行き、自分の目で見て体験することの価値が高まっているのですね。

——本日は貴重なお話をありがとうございました。

※本記事は2025年に実施したインタビュー内容をもとに構成しています。掲載内容は当時の情報に基づいたものです。

※当ページにて記載されている内容は執筆時点での情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。