最初の英会話レッスンで撃沈した、あなたへ。それは失敗じゃない。

「全然聞こえなかった…予想外の流れでうまく話せなかった…」
先日、Xでこんな投稿を見かけました。オンライン英会話の初回レッスンを終えた直後の、ある学習者のつぶやきです。
「音が速すぎてついていけなかった」「想定外の質問が来て頭が真っ白になった」と。
わかります。私も、まったく同じでした。

夫のアメリカ転勤に帯同することが決まり、「これは本気で英語やらなきゃ」と英語学習を再開した当時のことです。勇気を出して、オンライン英会話に申し込んで、震える手で最初のレッスンに挑んだ日。画面越しのフィリピン人の先生の英語は想像以上に速くて、自己紹介すら、頭が真っ白。”How long have you been studying English?” と聞かれて、頭の中に答えはある、でも口から出てこない…あの沈黙の数秒間と、冷や汗もののパニック状態は、今でも鮮明に覚えています。

でも、私の「撃沈歴」はそれだけじゃありません。
渡米後、マクドナルドのドライブスルーで発音が悪すぎて、何も商品が出てこなかったこともあります(笑)。オンライン英会話のフリートークレッスンに挑戦したら、支離滅裂の英語になってしまい、先生に「あなたは一体、何を話しているの?」と半ば呆れられたこともある。今思えばかなりレアなほど厳しい先生で、ほとんどの先生はやさしくアシストしてくれるので心配ご無用なのですが…あのときはさすがに情けなくて、半泣き状態でした。
でも今なら断言できます。あの撃沈のひとつひとつが、英語学習に必要な「正解」でした。

目次

「うまく話せなかった」は、なぜ正解なのか

第二言語習得の研究に、マイケル・ロングが提唱した「インタラクション仮説」という考え方があります。難しそうな理論ですが、内容はシンプルです。
「わからない」が起きる瞬間こそが、言語習得のエンジンになる。
会話の中で「え、今なんて言ったの?」と聞き返す、「つまり〇〇ということですか?」と確認する、「もう少しゆっくり話してもらえますか?」と言い換えを求める…こういった泥臭いやりとりが、脳に強い記憶の跡を残す、と考えられています。

スムーズに話が進んでしまうと、実は脳にとっての負荷は低い。つまり、ちゃんとつまずいた、ちゃんと聞き取れなかった、ちゃんと沈黙した…そのひとつひとつが、言語を習得するための「必要な摩擦」だったということです。

私がアメリカで英語を本気で使うようになって気づいたのも、これでした。うまくいったやりとりより、「あのとき何て言えばよかったんだろう」「あ~言いたいことの半分も言えなかった!」と悔しかった会話のほうが、何倍も記憶に残っていた。そして次に似た場面で、自然と言葉が出てくるようになっていたんです。
つまずきは、語学学習の進歩に欠かせないピースなのです。

では、初回レッスンで「本当にやること」は何か

とはいえ、ただ撃沈するだけでは意味がありません。つまずきを素材にして、次につなげる前提があってこそです。

⭐レッスン前:武器を1つだけ持っていく

「聞き取れなかったときに使うフレーズ」を1〜2個だけ準備して臨んでください。

“Could you say that again, please?”(もう一度言ってもらえますか?)
“Could you speak more slowly?”(もう少しゆっくり話してもらえますか?)
“What does ○○ mean?”(○○はどういう意味ですか?)

「うまく話そう」と準備するより、「わからなかったとき用の言葉」を持っておくほうが、はるかに意味があります。それがそのままインタラクションになるからですね。

⭐レッスン中:「聞き返す」を怖がらない

日本人が初回で一番やってしまうのは、わからないまま「Yes」と答えてしまうこと。これ、身に覚えある人、多いのではないでしょうか?何を隠そう、私もそうでした。聞き返すのが申し訳なくて、恥ずかしくて…とりあえず愛想笑いでうなずいてしまう(笑)
でも講師は、聞き返されることを何とも思っていません。むしろ聞き返してくれたほうが、会話が自然に、互いの誤解なく続きます。「わかりません」と言える勇気が、実は会話を前に進める一番の武器なのです。

⭐レッスン後:「今日の悔しかった場面」をメモする

終わったら、うまくできたことよりも、詰まった場面・言えなかった言葉・聞き取れなかった表現を書き留めてください。
“How do you spend your weekends?” と聞かれて答えられなかったなら、その夜に “I usually spend my weekends with my kids.” と自分の答えを作ってみる。たった1文でいい。それを次のレッスンで使う。この小さなサイクルを回すだけで、1回のレッスンで得られる手ごたえが格段に変わってきますよ。

上達を実感した瞬間の話:学習を超えたコミュニケーション

私が「英語が伸びてきた!」と初めて実感したのは、レッスンで先生と本気で笑いあえた日のことです。愛想笑いではなく、友達と話しているときのように、本当におかしくて笑った。自分たちの会話の流れが、ちゃんと面白かった。そのとき初めて「あ、学習を超えて、コミュニケーションを楽しんでいる」と感じることができたんですね。これはすごく嬉しかったです。

この感覚に至るまでに、ドライブスルーで撃沈した日も、先生に呆れられた日も、幾度となく沈黙に冷や汗をかいた日も…全部ありました。きれいな道のりではなかったけれど、それがあったからこそだったと思っています。

オンライン英会話で撃沈したあなたへ

最初のレッスンを終えて落ち込んでいるとしたら、それはむしろ、ちゃんと本気だった証拠です!どうか自信をなくさないでくださいね。
最初のつまずきは、ちゃんと意味があります。大事なのは、撃沈した翌日も予約を入れること。うまく話せなかった日の翌日も続けること、それが上達への一歩です。
英語は、恥をかいた回数だけ上手くなる…と私は自分自身の経験から思っています。
そのうちきっと、愛想笑いじゃなく、本当に会話で笑い合える日が来ますよ。

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