「単語帳は覚えたのに、会話で使う語彙はいつも同じ」
「フレーズ集を暗記しても、いざ会話になると出てこない」
「TOEICスコアは上がったのに、会話には全然自信がない……」
英語学習をしていると、こういうことってよくありませんか?
私はかなりありました。
具体的には、オンライン英会話で、教材に沿った答えならなんとか返せる。
“How was your weekend?” と聞かれたら “It was good!” くらいは言える。
でも本当は、その先を話したいんですよね。
「子どもの機嫌に振り回されて、何も予定通りに進まなかった」「楽しかったけど、正直ちょっと疲れたかも」
…そういうリアルな感覚や絶妙な温度感を伝えようとした瞬間、急に言葉が出なくなってしまう。
結局 “I was busy.” とだけ言って、なんとなく笑ってごまかした経験が、何度あるかわかりません。
初心者の頃は、「TOEICで900点台なんて、ネイティブレベルなんだろうな」と思っていましたが、実際にスコアが900点台に到達しても、まったくそんなことはありませんでした。
テストのために覚えた表現は、見れば意味もわかるし、選択肢から正解も選べる。でも自分の週末の話をしようとすると、「そうなんだけど、そうじゃないんだよな」と複雑な気持ちになりながら、無難でシンプルな英語に戻ってしまう。そんな状態でした。
ただ、この現象は努力が足りないから、という話ではないと思っています。
「意味はわかる英語」と「必要なときに口から出る英語」の間には、距離があるんですね。
自分の生活とつながっていない英語は、会話で出てこない
教材の例文は、文法的に正しくて、シンプルで、わかりやすいですよね。でも実際には、自分の生活や感情とあまり関係ないことも多いです。
たとえば、こんな例文があります。
The train was delayed due to heavy rain.
大雨で電車が遅延した。
Please submit the report by Friday.
レポートを金曜日までに提出してください。
これらの英文の意味はわかります。文法も理解できる。でも、これをそのまま日常会話で使う場面が、自分の生活にどれだけあるかと考えると、なかなか難しいですよね。
もちろん、これらの例文そのものが悪いわけではありません。文法や表現の型を知るうえでは、とても役に立ちます。
ただ、「会話で使える英語」にしていくには、そこからもう一歩、自分の生活や感情に引き寄せる必要があるのだと思います。
認知心理学には「自己関連性効果」という考え方があります。簡単に言うと、人は自分に関係のある情報ほど記憶に残りやすい、というものです。
これを知ったとき、「覚えられないのは努力不足というより、自分の生活とつながっていない英語を無理に覚えようとしていたのかも…!」と少し腑に落ちました。
「あのとき言いたかったのに言えなかった…!」という悔しさがあるから、その表現が頭に刻まれる。逆に、何の場面も浮かばない英語は、わかっていても会話の瞬間に取り出せない。
感情と体験が、記憶のフックになるんですね。
きれいな例文より、うまく言えなかった一言のほうが残る。
それは、その言葉が自分の生活とちゃんと結びついているからなのだと思います。

教材の例文を「自分が言いそうな一文」に変えてみる
一番取り入れやすいのは、教材の例文を少しだけ自分の生活に置き換えてみることです。
たとえば教材に、こんな例文が出てきたとします。
I’m looking forward to meeting you.
あなたに会うのを楽しみにしています。
これをそのまま覚えるのではなく、自分が実際に言いそうな文に変えてみましょう。
I’m looking forward to going out alone for the first time in a while.
久しぶりにひとりで出かけるのが楽しみ!
I’m looking forward to having coffee after the kids go to bed.
子どもたちが寝たあとにコーヒーを飲むのが楽しみ!
構文はそのままで、中身だけ自分の生活に置き換えるだけです。でも「自分が本当に言いそうなこと」に置き換えるだけで、記憶への残り方はかなり変わります。
教材の例文を見たときに、「この表現、自分なら何について言うだろう?」と考えてみる。それだけでも、ただ読むだけの英語から、自分で使う英語に少し近づきます。
他にも、こんな工夫がしやすいと思います。
- 英語日記で、今日の感情を一文だけ書いてみる
- オンライン英会話で、教材の答えに本音を一言足してみる
- 言えなかった表現を、レッスン後に調べて自分用の例文として残しておく
大事なのは、立派な英文を作ることではありません。
自分の生活とちゃんとつながっている英語にすること。そして「これなら自分でも言いそう」と思える形まで、少しだけ近づけることだと思います。
口から出てこない英語は、まだ「自分の言葉になる途中」なのかもしれない
英語が覚えられない、覚えたのに口から出てこないと、記憶力や努力不足を責めたくなることもありますよね。私もそうでした。
でも、「知っているのに、口から出てこない」英語の多くは、まだ自分の生活や感情と結びついていないだけかもしれません。
今日少し心が動いたことを、できるだけ簡単な英語にしてみることから始めましょう。
「今日のレッスンで聞き返すのが怖かった」なら、
I was afraid to ask my teacher to repeat.
「うまく説明できなくて悔しかった」なら、
I felt frustrated because I couldn’t explain what I meant.
完璧な英文にする必要はありません。
少し不格好でも、「これなら自分が言いそう」と思える英語にして、声に出してみる。
言えなかった一言を、そのまま終わらせないことが、会話で使える英語を増やす一歩になるのだと思いますよ。
