1200時間の放課後を一生の財産に。common流山おおたかの森が仕掛ける、非認知能力を伸ばす探究の場とは

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1200時間の放課後を一生の財産に。common流山おおたかの森が仕掛ける、非認知能力を伸ばす探究の場とは

仕事を終えてお迎えに行くまでの数時間、わが子が「ただ時間を潰しているだけ」になっていないか、ふと不安を覚えることはありませんか。

預け先があることへの安堵の裏で、その時間が子どもの将来にどう結びつくのか、確信を持てずにいる保護者の方は多いはずです。

今回は、放課後を「自ら問いを見つけ、社会と繋がる時間」へと定義し直すアフタースクール「common流山おおたかの森」代表の空田 真之さんにお話を伺いました。

地域住民との交流や独自の活動を通じ、生涯続く学びの土台を築くための情熱的な教育を実践されています。

テストの点数や受験という目先のゴールではなく、その先の長い人生を自立して歩むための「原体験」の重要性を紐解きます。

目次

「預かり」から「学びの場」へ。放課後の時間を再定義するcommonの挑戦

common流山おおたかの森
common流山おおたかの森

年間1200時間という膨大な放課後の時間を、子どもたちはどう過ごすべきでしょうか。単なる安全な「預かり」の場を超え、未来から逆算して子どもたちの意欲を呼び覚ますための、common独自の教育観と具体的な学びの環境について伺います。

「好奇心の種」を植える探究プログラムとcommonタイム

——まずは、活動や取り組みについてお伺いできますでしょうか。

空田 真之さん

私たちは「民間学童」という位置づけで運営していますが、その中でも特に「探究」に力を入れているのが特徴です。民間学童には英語教育やSTEM教育に特化したところも多いですが、私たちは「探究」を軸に据えています。

——なぜ「探究」を重視されているのでしょうか。

空田 真之さん

背景には、「2040年代や2050年代の社会はどうなっているか」という未来を見据えた教育であるべきという考え方があります。

子育てや教育はどうしても「積み上げ式」になり、「小学校受験はどうする」「次は中学受験だ」という目の前のステップに意識が向きがちです。しかし、そうではなく、未来の社会像から逆算して「今、何が必要か」を考えてほしいとお伝えしています。

私たちの教育理念は、「学びの土壌を育て、子供たちの世界を広げていく」ことです。知識を一方的に詰め込むのではなく、子供たちの「学びたい」という好奇心の種を植えていく。それが私たちの役割だと自負しています。

——公式サイトを拝見しましたが、非常にオープンな姿勢で教育に取り組まれていますね。

空田 真之さん

私たちの取り組みは、基本的にもてる情報をすべて公開するようにしています。手の内を明かすことが、結果として子供たちや社会全体のためになると考えているからです。

——具体的なプログラムの内容についても教えてください。

空田 真之さん

「common(コモン)タイム」というプログラムを実施しています。コンセプトは「子供の『好き』という体験を作ること」です。

昨今の大学入試において、総合型選抜が非常に増えていますよね。大学の先生方とお話ししていても、「自ら学び続ける力を持った学生が欲しい」という声をよく耳にします。そのため、幼少期のうちに「自分はこれが好きなんだ」という原体験を育むことが、将来の力になると信じてプログラムを構成しています。

プログラミングから生け花まで、1つの拠点で完結する多様な学び

——教室の立地や環境についてお伺いできますでしょうか。

空田 真之さん

学童保育を検討される際、保護者の方にとって「利便性」は非常に重要なポイントだと思います。当施設では、1つの教室内でプログラミング教室、英語教室、そして4月から開校した生け花教室という3つのプログラムを展開していく予定です。

——1つの場所でそれだけ多様な学びが完結するのは、非常に効率的ですね。

空田 真之さん

さらに、当施設は駅前のショッピングセンターの中に位置しています。同じ施設内には、目の前に体操教室、上の階にはサッカー教室などがあるため、当施設を拠点として他の習い事へ「中抜け」して通うことも可能です。ここを1つの拠点にしていただくことで、放課後の時間をトータル的な学びに変えていくことを目指しています。

——預ける場所というだけでなく、学びのプラットフォームのような役割ですね。

空田 真之さん

子供たちが放課後に過ごす時間は、年間で約1200時間にも及びます。私たちは、この膨大な時間を単なる「預かり」ではなく、価値ある「学び」の時間に変えていきたいと考えているのです。

非認知能力を土台に、自ら学び方を選べる人を育てる姿勢

——先ほど伺った「放課後の学び」について、具体的にはどのような教育的背景を重視されているのでしょうか。

空田 真之さん

今後、社会での生き方や大学入試のあり方が変化していく中で、相対的に「非認知能力」の重要性が増していくと考えています。

私たちは学童運営のほかにも、大学と共同で高校生向けのリーダーシッププログラムなどを実施してきました。過去に法政大学)と連携した際も感じたことですが、他者とどう協調するかといった「感性」や「非認知能力」は、これからの時代に欠かせない要素です。

——その能力を育むには、どの時期が最適だとお考えですか。

空田 真之さん

発達段階で見ると、認知教育に重きを置くのは小学校の中学年あたりからが適正ではないかと考えています。私たちは、「非認知能力という土台の上に、認知能力が成り立つ」という考え方をしていますので、非認知教育は幼少期から小学校低学年からのアプローチが適正と考えています。

——土台を固めることで、その後の学習効果も高まるということですね。

空田 真之さん

その通りです。その上で、私たちが育みたい具体的な力として「思考力」「表現力」「行動力」「課題発見力」「社会性スキル」の5つを掲げています。これらは何かが突出していれば良いというわけではなく、バランスよく育てていきたいと考えています。

「逃げ場」としての多層的なコミュニティが子どもを救う

common流山おおたかの森
common流山おおたかの森

子どもにとっての居場所は、家庭や学校だけで十分なのでしょうか。失敗を恐れずに試行錯誤できる「安全基地」としての役割や、あえて複数のコミュニティを持つことで「逃げ場」を確保する重要性について紐解いていきます。

失敗を歓迎し、試行錯誤を支える「安全基地」の役割

——子供たちへの関わり方として大切にされていることはありますか?

空田 真之さん

私たちが大切にしている5つの指針があります。それは「試行錯誤と工夫」「安全基地」「多様な視点」「コミュニティを育むこと」「大人の背中」という視点です。

これらを意識することで、子供たちが安心して失敗でき、周囲との関わりの中で自ら学びを深めていける環境を整えています。

——素晴らしいですね。スタッフの皆さんも、あえて「手を出しすぎない」ように意識されているということでしょうか。

空田 真之さん

もちろん、全体としてはその方向を目指しています。ただ、相手は低学年の児童ですので、バランスが難しいところではあります。以前はもっと自由にさせていた時期もありましたが、自由なだけでなく、守るべきルールややるべきことはしっかりと伝えなければなりません。子供は子供としての成長過程にありますから、単に放任するのではなく、適切な関わり方を常に模索しています。

——低学年ですと、協力できなかったり、時には喧嘩に発展したりすることもありますよね。そうした衝突も、社会性を育む大切な場面ではないでしょうか。

空田 真之さん

その通りです。安全面には細心の注意を払っていますが、言い合いが起きたからといって、すぐに大人が割って入って止めることはしません。何が起きたのか、それぞれの言い分を後から一人一人丁寧に聞くようにしています。

——「自分を受け止めてもらえている」という実感が、他者を受け入れる力へと繋がっていくのですね。

空田 真之さん

そうですね。私たちは「common(コモン)スタジオ」というYouTube企画も行っていますが、そこで様々なお話を聞いていると、「誰か一人は自分を受け入れてくれる人がいる」という環境の重要性を強く感じます。それが祖父母であったり、両親であったりと対象は様々ですが、「ここが自分の安全基地なんだ」と思える存在や場所があることは、子供の成長において不可欠なのだと再認識しました。

公設学童との併用も推奨、1つの世界に閉じ込めない工夫

——現代の共働き家庭や子どもたちが抱えやすい課題には、どのようなものがあるとお考えでしょうか。

空田 真之さん

私たちは民間学童を運営していますが、入会説明会ではあえて「公立の学童保育と併用したほうがいいですよ」とお伝えしています。それは、親子双方にとって、コミュニティを複数持つことが非常に重要だと考えているからです。

学校の延長線上にある学童だけだと、コミュニティが一つに固定されてしまいます。そうなると、万が一トラブルがあった際に「逃げ場」がなくなってしまいます。一方で、私たちの施設だけに限定するのも、同様のリスクがあります。「ここでなんとかしなきゃ」と思い詰めてしまうのではなく、複数の居場所を持つことが大切なのです。

——共働き家庭が増えたことで、かえってコミュニティの幅が限定されてしまっている側面もあるのでしょうか。

空田 真之さん

そうですね。お忙しい家庭が多いからこそ、コミュニティが家庭と学校の往復だけに限定されてしまう傾向はあるかもしれません。

——先ほど「安全基地」というお話もありましたが、あえて一つの場所に限定しないことで、子どもたちが多様な大人と関わり、選択肢や可能性を広げられるのですね。貴校が唯一の居場所になることだけを目指しているわけではない、と。

空田 真之さん

その通りです。私たちは、子どもたちが世界を広げるための「拠点の一つ」でありたいと考えています。

リアルな大人の背中が、子どもの「やってみたい」を加速させる

common流山おおたかの森
common流山おおたかの森

「あんな大人になりたい」という憧れは、子どもの好奇心に火をつける最大の原動力です。地域に住むプロフェッショナルとの出会いや、子ども同士が刺激し合う環境設計が、どのように自発的な学びを引き出すのかを紹介します。

DJ、経営者、研究者…地域に住むプロフェッショナルとの遭遇

——子どもたちの意欲を育む上で、環境だけでなく「人」との関わりも大切にされているとお聞きしました。

空田 真之さん

子どもたちを見ていると、「実際にこの人のようになりたい」という具体的な憧れが、成長の強い原動力になると感じています。ヒーローや警察官への憧れもそうですが、「リアルな大人の姿」を間近で見せることは非常に重要です。そのため、当施設には本当に多様な方々に来ていただいています。2学期だけでも、約20人の方が足を運んでくれました。

——今はオンライン動画などで仕事を紹介するケースも増えていますが、できるだけ「対面」にこだわっていらっしゃるのですね。

空田 真之さん

私たちは、できるだけこの地域で活動している方々をお呼びすることにこだわっています。時には保護者の方が講師を務めることもありますし、地域住民の方が来てくださることもあります。「あの人かっこいいな」「この街にはこんなに面白い大人がいるんだ」という発見をしてもらえることが、何より嬉しいですね。

——実際に、どのような方々が来られているのでしょうか。

空田 真之さん

本当に多種多様です。例えば、宇宙関係の仕事を目指して月面ローバーの研究をしている学生がアルバイトとして関わってくれていますし、お祭りをテーマにした際には、プロのDJを招いて音楽の重要性について話してもらいました。その方はハーバード大学出身という経歴をお持ちで、国際的な視点についても興味深いお話をしてくださいました。

——多彩なバックグラウンドを持つ大人と触れ合えるのは、子どもたちにとって大きな刺激になりますね。

空田 真之さん

他にも、有名ファッションブランドの社長や、この近辺に住んでいるアメリカンフットボール日本一のチームのヘッドコーチ、地域で音楽活動をされている方など、本当にプロフェッショナルな方々ばかりです。こうした「本物」との遭遇が、子どもたちの世界を広げるきっかけになると信じています。

大人が教えるのではなく、子ども同士が教え合う環境設計

——子どもたちの「やってみよう」という学習意欲を育むために、施設として意識されている工夫や環境づくりについてお聞かせください。

空田 真之さん

いくつかありますが、まずは「環境を整えること」が第一だと考えています。本の配置一つから、けん玉や糸掛けといった遊びの道具に至るまで、子どもたちが少しずつステップアップできるように設定しています。

最終的に目指しているのは、子ども同士で教え合える環境です。大人が一方的に教えるよりも、子ども同士で刺激し合う方が、格段にやる気が引き出されるからです。

——確かに、同年代の仲間から受ける影響は大きいですよね。

空田 真之さん

「commonタイム」の中では、実験を行ったり、リアルな活動をしている大人に登場してもらったりと、実体験を重視しています。低学年の子どもたちは、頭で考えるよりも、実際に手を動かしたり、本物を見たり、直接話を聞いたりする方が、より深く理解できる年代です。

その場で興味を持つ子もいれば、2年後や10年後に「あの時楽しかったな、もっとやってみたいな」と思い出す子もいるでしょう。将来、自発的な学びに繋がるような「楽しさの記憶」を植え付けたいと考えています。

——大人が主導するのではなく、子ども同士の関わりの中で自然と学びの渦に巻き込まれていくようなイメージですね。

専門性の高い正社員スタッフが支える、教育施設としての質

——社会性や人との関わりを育むために、意識的に取り組まれている環境設定などはありますか。

空田 真之さん

例えば「けん玉部」や「糸掛け部」といった、部活動のような小さなコミュニティを設けています。私たちはこの場を一つの「社会」と捉えており、その中で子供たちが自分の好きな活動に属せるようにしています。「自分はここにいたい」「これが好きだ」と思える居場所を選択できることが、社会性を育む第一歩になると考えています。また、当施設は他の学童保育と比較して、スタッフの正社員比率が非常に高いことも大きな特徴です。

——一般的な放課後事業では、曜日や時間帯によってパートスタッフが頻繁に入れ替わることも珍しくありません。正社員の方が多く、いつもの顔ぶれが揃っているというのは、子供たちにとって非常に安定した、恵まれた環境ですね。

空田 真之さん

現在、正社員だけで6、7名が在籍しています。通常の配置基準で考えれば、その半分ほどでも運営は可能かもしれません。しかし、私たちはここを単なる預かり所ではなく「教育施設」として捉え、その質を高めていきたいという強い思いがあります。そのためには、やはり責任を持って継続的に子供たちと関われる正社員主体の体制が望ましいと考えています。もちろん、熱心に関わってくださるパートスタッフの方々の力も借りながら、手厚い体制を築いています。

——実際に子供たちと接する中で、成長を感じた印象的な場面はありますか。

空田 真之さん

発表が苦手だった子が自ら司会に挑戦するなど、目に見える変化は多いですね。人前でマイクを持って話す姿を見て、「この子がここまでできるようになったのか」と驚かされる場面も多々あります。

——段階を踏んで成長を感じられる環境があるからこそ、子供たちの中に「挑戦してみたい」という前向きな気持ちが芽生えるのでしょうね。

空田 真之さん

そうですね。あとは、外部の大人が訪れた際に、自ら進んで発表する子が非常に増えました。普段から多様な人が出入りする環境なので、「自分も何かを聞いてみたい」「あの子が質問したなら、私もこれを聞いてみよう」といったポジティブな連鎖が生まれているのだと感じます。

密な情報共有が生む、保護者の心のゆとりと親子の会話

common流山おおたかの森
common流山おおたかの森

多忙な共働き家庭において、わが子の成長を細やかに見守り続けるのは容易ではありません。保護者の心理的負担を軽減し、親子の会話を「事務的な確認」から「豊かな対話」へと変えるための、手厚いフィードバックと支援の仕組みに注目します。

写真と文章で綴るアプリ活用、保育園のような手厚いフィードバック

——保護者の方との関わりについてお伺いします。日々の様子は、全体向けのお便りや直接の対話で共有されているのでしょうか。

空田 真之さん

私たちは、専用のアプリを使ってかなり細かく日々の様子を報告しています。写真もたくさん掲載して、活動の様子がリアルに伝わるように工夫しています。

——保育園の連絡帳のような、手厚いフィードバックですね。

空田 真之さん

そうですね。例えば、地域で活動している方をゲストにお招きした際の様子なども共有しています。子どもたちが積極的に手を挙げている姿や、マイクパフォーマンスを楽しんでいる様子などを写真と一緒に詳しく書きます。時には、かなり長文のレポートになることもありますね。

——それは素晴らしいですね。保育園の頃は先生から詳しく話を聞けても、小学校に上がると学校での様子がほとんど分からなくなるという悩みを持つ保護者は多いです。何歳になっても我が子の様子は気になるものですから、それだけ詳細な内容を共有してもらえるのは、大きな安心感に繋がります。

空田 真之さん

私自身も仕事をしながら子育てをしているので痛感するのですが、仕事で疲れ果てて帰宅した後、子どもに対して100%の力で向き合うのはなかなか難しいですよね。

——本当にそうですね。つい自分のことで精一杯になってしまいます。

「宿題やったの?」から「今日は何が楽しかった?」へ変わる質問

——先ほどご紹介いただいたようにアプリでの詳細な情報共有があることで、親子のやり取りの内容自体が大きく変わりそうですね。

空田 真之さん

その通りです。情報共有は、親子の豊かな時間を守るための仕組みでもあると考えています。親が具体的な活動内容を知っていると、子どもたちは「自分のことに興味を持ってくれている」「正しく理解してくれている」と感じます。これが親子関係の改善にもつながるのです。「宿題やったの?」と問い詰め、やっていないことに腹を立てるような負のコミュニケーションを減らすことができます。

——今日子どもが何に心を動かされたのかを知ることで、土日のお出かけ先や日常の遊びにも変化が生まれそうです。

空田 真之さん

実際にそのような事例がありました。当施設でベトナムに関するプログラムを実施した際、あるご家族が夏休みの旅行先にベトナムを選ばれたそうです。子どもの興味をきっかけに家族の行動が広がったことは、私にとっても非常に嬉しい出来事でした。

——素敵ですね。また、先ほど宿題のお話が出ましたが、学習面でのサポートはいかがでしょうか。

空田 真之さん

帰宅後のスケジュールの中に、宿題に取り組む時間を設けています。子どもたちが自ら「今日はこれをやる」と決めて取り組む形です。個別指導塾ではありませんので、基本的には自主性に任せていますが、分からないところがあればスタッフが答えるなど、サポートできる体制を整えています。

——保護者が仕事から帰宅して、それから宿題を見るのは体力的にも精神的にも大変です。「やらなきゃいけない」という細かい負担が積み重なるのは、親にとって大きなストレスになりますよね。

空田 真之さん

まさにそうした「やらなきゃいけない」の積み重ねを解消したいと考えています。

また、保育の現場と小学校の現場を繋ぐ中での課題も感じています。保育園までは子どもの主体性を大切にする教育が主流ですが、小学校に入るといきなり「座って授業を受ける」スタイルに変わります。このギャップは非常に大きく、保育士の方や小学校の先生方とお話ししていても、価値観の違いを感じることが多々あります。私たちは、そのギャップを埋める存在でもありたいと考えています。

送迎の工夫で生まれる、今日の子どもの姿を語り合うひととき

——送迎支援があるのも心強いですね。たとえ往復10分や15分の送迎であっても、「その時間に必ず家にいなければならない」という時間の制約があると、仕事の切り上げ時間は大幅に早まってしまいます。

空田 真之さん

その通りです。そこで私たちが送迎をサポートすることで、保護者の方は送迎のために仕事を中断する必要がなくなります。その結果、仕事の時間を減らさずに済むケースも多いのです。キャリアを大切にしたい方にとって、この時間の創出は非常に大きな意味を持つと考えています。

一方で、私たちは「送迎を利用しない場合は利用料を割り引く」という仕組みも取り入れています。その結果、現在は6〜7割ほどの保護者の方が自らお迎えに来てくださっています。

——「お迎え」を推奨する仕組みを作っているのはなぜでしょうか。

空田 真之さん

お迎えの際に、「今日はこんな素晴らしいことがありましたよ」とお伝えしたり、逆に保護者の方から「この辺りが少し心配で」と相談を受けたりするコミュニケーションを大切にしたいからです。保育園では当たり前だったこうした光景も、小学校に上がると「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」だけの関係になりがちです。私たちはそのギャップを埋めたいと考えています。

——ちなみに、こちらでは夜21時までの延長預かりも可能だと伺いました。

空田 真之さん

制度としては用意していますが、実際に利用される方はほとんどいらっしゃいません。

——そうなのですか。皆さん、大体何時ごろにお迎えに来られるのでしょうか。

空田 真之さん

18時半から19時の間が最も多いですね。保育園の延長保育の時間帯とも重なる、一般的なフルタイム勤務の方のニーズに合致しているのだと思います。

——19時頃まで預けることができれば、仕事もしっかりこなせそうですね。

空田 真之さん

小学校の登校時間に合わせて早めに出社し、17時や17時半には仕事を切り上げてお迎えに来るという方も多いようです。あるいは、お迎えの後に自宅で少し残務をこなすなど、柔軟にお仕事をされている印象です。

——物理的な時間の確保だけでなく、保護者の心理的な負担が軽減され、心に余裕が生まれることは、子どもにとっても非常に大きな好影響があるのではないでしょうか。

空田 真之さん

その通りだと思います。親のゆとりは、子どもへの接し方に直結するはずです。

20年後の未来を見据え、独自の「ストーリー」を持つ子どもへ

common流山おおたかの森
common流山おおたかの森

正解のない不透明な時代、子どもたちが自分らしく生き抜くために必要なものとは何でしょうか。既存のロールモデルに縛られず、自らの「ストーリー」を紡いでいくための、低学年期における豊かな原体験の価値を考えます。

答えのない時代、既存のロールモデルに縛られない生き方

——現在、子育てにおいて悩みや不安を抱えている保護者の方々へ、何かメッセージはありますか。

空田 真之さん

私自身も一人の父親として感じることですが、子育てにおいて「焦り」を感じる場面は非常に多いと思います。しかし、その焦りの正体を突き詰めると、親自身がかつて経験した「理想のモデル」に縛られていることが多いのではないでしょうか。

「良い大学に入って、安定した企業に就職する」といった過去の成功モデルは、今の時代には通用しなくなっています。これからは決まったロールモデルをなぞるのではなく、多様な人の生き方に触れ、自分や家庭に合った要素を組み合わせて「自分なりのモデル」を構築していく時代です。だからこそ、小学校低学年のうちに、自分自身の軸となるような豊かな原体験を積み重ねてほしいと考えています。

——周囲の子と比べて「あの子はもうあんなことができるのに、うちの子は……」と焦ってしまう保護者の方も多いかと思います。たとえ端から見れば同じことの繰り返しに見えても、その子がその瞬間に見ている世界を否定する必要は無いのだと感じました。

空田 真之さん

そうですね。「自己肯定感」と「自己受容感」という言葉がありますが、私は「自己肯定感」の方が先に来ると考えています。まずは、その子の存在そのものが肯定されること。そして自分の存在が認められるという安心感があってこそ、はじめて「自分ならできる」という自己受容感が湧き出てくるのではないでしょうか。

代表が携わる高等教育の現場で見えてきた、社会を生き抜く「リーダーシップ」の原点

——空田さんは学童の運営以外にも、大学と連携した活動に深く携わっていらっしゃると伺いました。

空田 真之さん

commonとしてではなく、あくまでも個人の活動ですが、法政大学が主催する高校生を対象としたサマープログラムの実施、また「One Young World Japan」の理事として、グローバルリーダー育成を目的に、国際教養大学(AIU)や立命館アジア太平洋大学(APU)での高校生向けのリーダーシッププログラムを実施しています。

——具体的には、どのようなプログラムを運営されているのでしょうか。

空田 真之さん

代表的なものに「グローバルリーダーシップキャンプ」があります。多様なバックグラウンドを持つ方々をお呼びし、フィールドワークやゲストトーク、グループワークを経て、最終的に英語でプレゼンテーションを行うという内容です。法政大学との取り組みでも、総長自らが「グローバルな学びの環境とは何か」を語り、学生が対話を通じて最後には英語で発表する、といった挑戦的なプログラムを行っています。

——高校生や大学生といった上の年代の教育現場に関わることで、何か共通して見えてきたことはありますか?

空田 真之さん

参加者の感想を見ると、「環境が異なる人たちに触れられたことが良かった」という声が非常に多いのが印象的です。また、大学の先生方とお話ししていても、「自ら学び続ける力を持った学生が欲しい」という言葉をよく耳にします。自分は一体何が好きなのか、何に心を動かされるのか。そうした「原体験」を育むプログラムの重要性を強く感じています。

——そうした「リーダーシップ」の原点は、やはり小学生時代の過ごし方に繋がっているのでしょうか。

空田 真之さん

小学生時代の原体験として、多様な価値観が混ざり合う場に身を置くことが不可欠だと痛感しています。私がアフタースクール「common」を運営しているのも、実はこの原体験作りこそがすべての教育の出発点であり、地続きで繋がっていると考えているからです。

——「原体験」が将来の「自分のストーリー」になり、自分自身の強みになっていくのですね。

空田 真之さん

豊かな原体験を持ち、自分自身のストーリーを語れる子の方が、大学の選抜などでも評価されやすい傾向にあります。誰かに用意された道をただ歩んできた人よりも、主体性を発揮してきた人の方が、本人にとっても周囲にとっても良い影響を与えるはずです。低学年のうちに主体性の土壌を育んでおくことは、その後の人生において大きな財産になると思っています。

地域全体で子どもを育み、未来の街を創るということ

「何のために学ぶのか」その答えは、大人が用意するものではなく、子ども自身が豊かな経験の中で見つけ出すものです。アフタースクールcommon流山おおたかの森での取り組みは、単なる放課後の過ごし方の提案に留まらず、地域全体で子どもを育み、20年後の街の価値を高める壮大な挑戦でもあります。

もし今、お子様の成長環境に焦りや不安を感じているなら、少し視点を未来へ移してみませんか。commonでの放課後の時間は、お子様にとって、将来の自分を支えるかけがえのない原体験になるはずです。

ミツカル教育通信の運営者

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