「心の隅にある『本当は楽しみたかった』、その気持ちを叶えたい。」不登校から自信を取り戻す居場所、飛鳥未来きぼう高等学校 町田キャンパス キャンパス長保坂さんに聞く

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飛鳥未来きぼう高等学校

「もし心の隅に、実は学校生活を楽しみたかった、勉強もちょっとやってみたい、友達づくりも本当は楽しみたい、という気持ちが少しでもあるのなら…」。今回の取材で最も心に残ったのは、飛鳥未来きぼう高等学校 町田キャンパス キャンパス長・保坂亜砂美さんのこの言葉でした。

飛鳥未来きぼう高等学校は、学校法人三幸学園が運営する単位制・通信制の高校です。「技能と心の調和」を教育理念に掲げ、不登校を経験した子どもたちの「居場所」であることを大切にしています。月1日から選べる通学スタイル、服装も髪型も自由な校風、失敗と成功を繰り返しながら自信を取り戻す「SANKOサクセスシステム」、生徒との距離が近い職員室、そして保護者まで支えるサポート体制。今回は、町田キャンパスの保坂さんに、その一つひとつの実践を伺いました。

印象的だったのは、「自分の居場所を見つけた子は本当に強い」という言葉。9年間の不登校を経て大学に4年間通いきった生徒さんのお話など、一人ひとりの歩みに寄り添う温かさが伝わる取材になりました。

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目次

「技能と心の調和」を大切に。飛鳥未来きぼうが目指す居場所

ミツカル教育通信編集部

本日はよろしくお願いいたします。まず伺いたいのが、飛鳥未来きぼう高等学校が大切にされている教育理念についてです。どのようなお考えのもとで学校を運営されているのか、お聞かせいただけますか。

保坂さん

私ども三幸学園では、大学、短大、専門学校、高校すべてに共通して「技能と心の調和」を教育理念としています。

高校分野でいくと、機能はお勉強にあたる、当たり前に大切にしなければいけない部分ですね。ただ、それと同じくらい心の教育を大切にしていまして、卒業して社会に出たあとも、活躍して愛される存在になってほしいと考えています。挨拶がしっかりできること、時間や約束を守れること、感謝の気持ちを大切にできること。そうした力を卒業までに身につけてほしいんです。

ミツカル教育通信編集部

学園全体で「技能と心の調和」を掲げ、勉強だけでなく、社会に出てから愛される人になるための心の教育も同じように大切にされているんですね。その理念のもとで、飛鳥未来きぼう高等学校という学校はどのように始まったのでしょうか。

保坂さん

私どもは2009年に、姉妹校にあたる飛鳥未来高等学校を開校したところからスタートしています。もともとは専門学校を母体にしてきた学園なんですけれども、その中で、学校になかなか通うことが難しい子どもたちや、力を出しきれずにいる子どもたちを救える手はないか、という思いがありまして。

その子たちの居場所として私どもの学校を提供できたら、という思いで開校したのが飛鳥未来グループなんです。現在は全国に45キャンパスございまして、ちょうど町田キャンパスが45キャンパス目になります。

ミツカル教育通信編集部

もともと専門学校を運営してこられた学園だからこそ、学校に通うのが難しいお子さんの居場所をつくりたい、という思いから始まったんですね。通信制でありながら、特に大切にされていることはありますか。

保坂さん

居場所を提供するのはもちろんなんですけれども、通信制をとってはいても、Face to Face、人と人との繋がり合いのようなものをとても大切にしています。オンライン、オフラインに関わらず、ですね。通う頻度やお勉強の仕方はそれぞれ違えど、人との繋がりを感じられる経験は、卒業までにぜひしてほしいと思っているんです。

ミツカル教育通信編集部

なるほど、通信制という形であっても、人と人との繋がりを何より大切にされているんですね。社会に出れば一人では生きていけませんから、その繋がりの経験は、お子さんにとって大きな財産になりそうです。

保坂さん

そうですね。一人ではどうしても生きていけませんから。実際に社会に出たときに生きてくる経験になればと思っています。

「教員から挨拶する」が生む、繋がりの第一歩

ミツカル教育通信編集部

挨拶を大切にされているというお話が印象的でした。小学生のうちはよく言われますが、高校生くらいになると少し照れてしまう年頃かなとも思います。挨拶が飛び交うような環境にするために、何か工夫されていることはあるのでしょうか。

保坂さん

大きな声でみんなが同じように挨拶できるかというと、高校生ですから、そこは無理に求めません。それを強制するような空気は全くないんです。ただ、教員のほうから挨拶をしていく、という雰囲気があります。

授業が始まる前のタイミングで教職員が外に出て、地域の方々にも「おはようございます」と挨拶をする時間があるんです。町田キャンパスは小規模なので、生徒も通るたびに挨拶してくれますし、職員室を必ず通らないと教室に行けない作りにしているので、小さい声でも頑張って「おはようございます」と言ってくれる子が多いですね。する習慣さえあれば、社会で愛される存在になってくれるかなと、大きく構えて見守っています。

ミツカル教育通信編集部

教員の方から先に挨拶をして、無理に求めない。そうした自然な積み重ねが、この学校で大切にされている人と人との繋がりの第一歩になっているんですね。とても素敵な取り組みだと感じました。

飛鳥未来きぼう高等学校

月1日から選べる通学スタイル。「自由」が生む安心感

ミツカル教育通信編集部

お話を伺う前にたくさんリサーチさせていただいたのですが、本当に多様な学びのスタイルを提供されていて驚きました。特に、一人ひとりの個性を大切にされている印象を受けたのですが、その個性に寄り添うために意識されている環境づくりについて教えていただけますか。

保坂さん

一番大きな特徴は、通学スタイルを選べることだと思っています。たくさん通いたい子もいれば、そうでない子もいる。お友達とたくさんコミュニケーションを取りたい子もいれば、まずは人間関係に慣れて卒業を目指したい、という子もいます。

主にスタンダード、ベーシック、3DAY、5DAY、ネットという5つのスタイルを用意していまして。たくさん通いたい子は5DAYや3DAY、スタンダード。まずは学校に慣れたい子はベーシック。対面がまだ怖いという子はネット、というように選ぶことができます。それから、服装と髪型が自由なので、「髪の色変えたんだね」「今日のメイク、可愛らしいね」といった会話が当たり前に飛び交うんです。一般的な学校では、なかなかありえない会話かもしれませんね。

ミツカル教育通信編集部

先生がメイクや髪型を褒めてくださるというのは、確かに一般的な学校ではなかなか聞かない光景ですね。生徒さんものびのびと過ごせそうです。

保坂さん

ただ、けじめはしっかりある生徒たちなので、3年生になって進路に向かいましょうとなったときには、髪を黒く、制服も整えて、いざ進路へ向かっていきます。その場に合わせてきちんとできる教育をしていけばいいかなと思っていて、普段は本当に自由でいいよ、とお伝えしているのが、特徴としては大きいかなと思います。

ミツカル教育通信編集部

普段は自分の個性を発揮できるからこそ、こういう場面ではこうしよう、と切り替える早さにも繋がっていそうですね。社会人に近い感覚を、高校にいながら自然と身につけられる環境なのだと感じました。実際の通学スタイルの割合は、どのような感じなのでしょうか。

保坂さん

圧倒的に多いのがスタンダードです。私たちが毎日授業を開いていて、そこにいつ来てもいいよ、いつ帰ってもいいよという、大学のような通い方をするスタイルなんです。なおかつ週1回のホームルームでは、クラスメートとコミュニケーションを取りながらクラス活動や学校行事の準備をする。通うペースは自由でも、お友達づくりはできるという、いいとこ取りのスタイルですね。3DAYや5DAYは全日制のように固定的に通いたい子向けで、キャンパスによって開講状況が異なりますが、そのような通い方も用意しています。

「何曜日に来なさい」がない。心理的負担の軽さ

ミツカル教育通信編集部

スタンダードは、その日の気持ちに合わせやすいのも魅力ですね。月曜の朝は元気がないけれど午後からなら頑張れそう、火曜はアルバイトを入れたい、というように調整できる自由度の高さは、生徒さんにとっても大きいのではないでしょうか。

保坂さん

そうですね。学年によって何曜日に来なさい、という指定をしていないので、そこが心理的な負担が軽いと、生徒たちから言ってもらうことは多いです。休むときに、わざわざ先生に言わなければいけないというのも、意外と負担になっていたようなので。こうした通学スタイルを選んでいる子たちは、その負担が軽いのかなと感じています。

ミツカル教育通信編集部

休む連絡をしなければいけない、というだけでもプレッシャーになりますよね。来たいときに来られる仕組みが、学校に向かう一歩のハードルをそっと下げているということですね。

飛鳥未来きぼう高等学校

挑戦の機会を重ねて、自信を取り戻していく

ミツカル教育通信編集部

次に伺いたいのが、不登校の経験や学校生活への不安を抱えていた子どもたちが、飛鳥未来でどのように意欲や自己肯定感を取り戻していくのか、という点です。具体的な変化のプロセスを教えていただけますか。

保坂さん

自信を取り戻していくプロセスを、私たちの学園では「SANKOサクセスシステム」と呼んでいるんです。生徒たちの成長ストーリーを描いたもので、教職員はいつでも挑戦できるチャンスや機会を与えて、背中を押す役割を担っています。

ミツカル教育通信編集部

SANKOサクセスシステムというのは、とても素敵なネーミングですね。そのシステムの中で、具体的にはどのような関わり方をされているのでしょうか。

保坂さん

機会を与える中で、もちろん失敗もあれば成功もあって、それを繰り返していくんですけれども、その繰り返しの中で自信を取り戻して、最終的に自分の力で羽ばたいていく。そこまでを「SANKOサクセスシステム」と呼んでいます。私たちはあくまで背中を押すだけの役割なんです。

ミツカル教育通信編集部

失敗も成功も含めて挑戦の機会を重ねていく中で、少しずつ自信が育っていくんですね。入学してくる時点では、お子さんたちはどのような状況であることが多いのでしょうか。

保坂さん

入学前の状況は本当に様々で、ほぼほとんどの生徒が不登校の経験を持っています。事情も様々で、勉強についていけなくなって学力不安が出てきて学校が嫌になってしまった子、お友達や先生との関係に悩んで足が止まってしまった子、転校生だと部活動でのトラブルを抱えていた子もいます。中には小学校からずっと学校に行けていない、という生徒もいるんです。

ただ、飛鳥未来に来てくれる子に共通しているのは、「本当は学校生活を楽しみたかった」「本当は青春したかった」という期待を、心のどこかに持っていることなんです。だからこそ、その奥にある希望や期待を少しずつ叶えるきっかけづくりをしていくのが、私たちの役割だと思っています。

5年分の不信感から、クラス委員へ。ある生徒の歩み

ミツカル教育通信編集部

心の奥にある期待を少しずつ叶えていく、というお話、とても印象的です。もし差し支えなければ、具体的な生徒さんのエピソードを伺えますか。

保坂さん

小学校のころにいじめにあってしまって、どうしても学校に足が向かなくなり、中学校3年生までほぼ通えなかった、という生徒がうちに来てくれました。入学してくれたタイミングでは、学校や教職員への不信感が5年分ほど積み重なっている状態で、まずはそこをほぐすところからのスタートでした。

最初に入学オリエンテーションのようなスタートアップセミナーを行うのですが、ここでまずは私たちの人間味を伝えて、教職員に安心してもらう。それから、お友達との交流を少しずつ進める中で、同じような経験をしている子もいるんだという安心感を持ってもらいます。ここなら大丈夫かもと思えたあたりで、少しずつ登校の練習を始めていくんです。

ミツカル教育通信編集部

いきなり毎日通うのではなく、安心感を育てながら一歩ずつ進めていくんですね。その生徒さんは、その後どのように変わっていかれたのでしょうか。

保坂さん

その子は、なんとクラス委員として頑張ってくれたんです。クラスをまとめる中で悩んで涙を流すこともありましたが、担任に相談しながら少しずつ問題を解決していって。最終的には学校行事でクラスのみんなとステージに上がり、評価をもらったことが大きな成功体験になりました。それが次に頑張る力になって、最終的には希望の大学に進学して、今もちゃんと通えているそうです。

ミツカル教育通信編集部

5年分の不信感を抱えていたお子さんが、クラス委員として人前に立ち、大学進学まで歩まれたというのは、まさにSANKOサクセスシステムが機能した素晴らしい例ですね。

保坂さん

クラスの一員として頑張って、少し課題はあったけれど勉強を少しずつ進めて、就職まで決めた子もいます。ステージはそれぞれ違えど、失敗と成功を繰り返しながら、私たちと伴走して成長していくのは、どの子も変わらないのかなと思います。

教職員が大切にする「目線を合わせる」こと

ミツカル教育通信編集部

そうした変化を支えているのが、安心できる環境の提供なのだとお話を伺って感じました。教職員の皆さんが、生徒さんに安心してもらうために特に気をつけていることはありますか。

保坂さん

私から教員に伝えているのは、「目線を合わせましょう」ということです。教職員みんなが学校に行けない経験をしてきたわけではないので、「気持ちがわかるよ」とまで言うのは難しい。だからこそ、生徒たちがしてきた経験や背景をふまえて、その目線に合わせてコミュニケーションを取ろうね、と話しています。

学校に一度来られること、授業を一度受けられること、課題を1枚出せること、お友達と一言話せること。それが当たり前ではなくて、それだけでもとても素晴らしいことなんだ、と捉える。その子その子でステップは違うので、目線を合わせながら関わっていこうね、とお伝えしています。

ミツカル教育通信編集部

先生と生徒がどう向き合うかという軸を、教職員の皆さんできちんと統一されているんですね。学校名に「未来」や「希望」という前向きな言葉が入っているのも、本人が一度諦めかけた未来に繋げていく、という意味なのだと腑に落ちました。

保坂さん

そう言っていただけると嬉しいです。そういった教育に共感して、入職してくれている教職員ばかりなのかなと思っています。

飛鳥未来きぼう高等学校

学校行事とキャリア科目が引き出す「やってみたい」

ミツカル教育通信編集部

安心できる学校生活の中で、自分のやりたいことや進むべき道を見つけていく生徒さんが多いのだと思います。独自のプログラムや課外活動も豊富にご用意されている印象でしたが、今、特に力を入れている分野があれば教えていただけますか。

保坂さん

学校行事をとても大切にしています。みんなで何か一つのものを作り上げる経験を大事にしていて、代表的なものが体育祭と文化祭です。体育祭は運動が苦手な生徒もいるので、足が速いから、というような競技賞のほかに、応援を頑張ったらもらえる応援賞や、大きな旗を頑張って作った子たちに与える装飾賞も用意しているんです。

首都圏では飛鳥未来グループが合同で体育祭を行っていまして、生徒に保護者の方を合わせると6000人ほどの規模になります。

ミツカル教育通信編集部

6000人規模というのは驚きですね。それだけ大きな行事を通して、生徒さんたちにはどのような変化が生まれるのでしょうか。

保坂さん

規模ももちろん大きいんですけれども、何よりも、今まで学校に行くことができなかったはずの子どもたちが、仲間と切磋琢磨しながら応援パフォーマンスを一生懸命作り上げる姿や、前で大きな声を出して盛り上げ、応援する姿が本当に感動的なんです。こんなふうに高校生として学校生活を楽しめるんだ、というところをお見せできる、とても素敵な機会だと思っています。

ミツカル教育通信編集部

学校に通うことが難しかったお子さんが、仲間と一緒に夢中になれる。その光景そのものが大きな意味を持っているんですね。行事のほかに、学びの面ではどのような特色があるのでしょうか。

保坂さん

キャリア科目という、学校で独自に用意しているカリキュラムがあります。メイク・ネイルやクッキング、医療事務、保育、福祉、ドローン、サイコロジーなど、姉妹校である専門学校や大学が持っている専門科目を、その分野の先生に来てもらって授業をしているんです。興味の幅を広げたり、進路のきっかけに繋げたりという意味で、とても良い科目だと思っています。国語や数学が苦手でも、こっちは面白い、と感じてくれて、この科目がきっかけで進路が決まりました、という生徒もいるんですよ。

専門科目との出会いが、進路のきっかけに

ミツカル教育通信編集部

高校にいながら、その先の専門分野に触れられるというのは、高校生にとってとても魅力的ですね。生徒さんたちの反応はいかがですか。

保坂さん

楽しそうにやっていますね。勉強嫌いな子は、勉強にマイナスのイメージを持っていることも多いので、それでも楽しめるというのは、とてもいいことだなと感じています。

ミツカル教育通信編集部

専門的な学びに触れることで、基礎科目もきちんとやっておかなければ、という気づきにも繋がりそうですね。

保坂さん

そうですね。まさに、医療事務の点数計算を少しやってみましょうとなったときに、やっぱり数学の基礎が要るな、と気づくことはあるかもしれません。好きなことから入って、基礎の大切さに自分で気づいていけるんです。

運営も応援も、生徒が主役になる

ミツカル教育通信編集部

そうした行事や活動の中で、子どもたちが主体になって動く場面もあるのでしょうか。

保坂さん

ありますね。実行委員の子たちが選抜メンバーとして、会の土台を支える運営をしてくれています。応援パフォーマンスは各団が百名規模になるんですけれども、そのトップに団長さんと副団長さんを置いて、チームを牽引してもらっています。司会も生徒がやりますし、競技備品の片付けや、当日の受付や誘導なども含め、自分たちで色々と考えてくれるんです。

ミツカル教育通信編集部

運営の裏方から、応援の主役まで、本当に幅広く生徒さんが活躍されているんですね。先生方はどのように関わっていらっしゃるのでしょうか。

保坂さん

行事を作り上げる中で悩んでしまったら、もちろん調整役として教員が入りますが、最初はできるだけ影に隠れて、団長さんや副団長さんが頑張って引っ張っていけるようにサポートします。生徒たちには自分たちで作り上げたと感じてもらえるように、教員は隠れる。そのバランスが、先生たちもちょっと難しいところですね。

距離の近い職員室と、保護者も支えるサポート体制

ミツカル教育通信編集部

生徒さんと接する際のコミュニケーションのあり方として、先ほどの「目線を合わせる」以外に、大切にされていることはありますか。

保坂さん

学校全体として、先生と生徒の距離がとにかく近いのが特徴で、生徒たちからも「親しみやすい」とよく言われます。少しお話ししたように、職員室をオープンにしていることで、生徒がのんびりお話ししに来てくれるんです。一般的な職員室とは少し違った雰囲気かなと思っています。

ミツカル教育通信編集部

休憩時間などに、生徒さんが気軽に職員室に来られるイメージなのですね。職員室がカウンターのようになっていて、生徒さんがすぐに覗けるような作りになっているのでしょうか。

保坂さん

そうですね。自分の授業がない時間に、ふらっと来られるような形になっていて、カウンター越しに生徒が来てお話ししてくれます。届けものの窓口のような作りにしているんです。

ミツカル教育通信編集部

なかなか一般的な高校生活では見ない風景ですね。先生と気軽にコミュニケーションを取れることで、環境づくりの上で生み出されている価値のようなものを感じますか。

保坂さん

学校に毎日生徒が来るわけではないので、授業に出ずとも、職員室にちょっとでも顔を出してくれた、その一瞬を逃してはいけないチャンスだと思っているんです。そのときの表情や交わした会話から、その子が今思っていること、楽しいことやしんどいことを汲み取れたらいいなと考えています。最終的には対面で卒業まで頑張ってもらわなければいけないので、小さなきっかけでもコミュニケーションを重ねていくことが、モチベーションの管理にも繋がると思っています。

小さな変化を見逃さない、保護者との連携

ミツカル教育通信編集部

その小さなコミュニケーションの中で生徒さんの変化に気づいて、もう少し話を聞こう、というサポートに繋がることもあるのでしょうか。

保坂さん

ありますね。授業に出ていない場合でも、職員室にいた教員が「なんだか今日は様子がおかしいな」と気づいて、担任に伝えて話を聞いてみる、ということはあります。先生がすぐに気づいて、この子が来たよ、あのとき少し表情が曇っていたよ、と即座に共有される。そういう環境だからこそできるサポート体制かなと感じています。

ミツカル教育通信編集部

コミュニケーションが一方的でなく、先生方の間でも共有されているのが素敵ですね。通信制の高校に通わせる保護者の方は心配ごとも多いと思いますが、保護者との連携や情報共有では、どのような関係を理想とされていますか。

保坂さん

大前提として、私どもにとってはたくさんいる生徒の一人ですが、親御さんにとっては大切なお子様なので、しっかりお預かりしているという意識を教職員は持たなければいけないと考えています。ですので、単位の修得状況はもちろんのこと、お電話した際には、ご本人の最近の様子や、今頑張っていることもお話しします。そうすると親御さんがとても喜んでくださるんです。会場のキャパシティが許す限り、学校行事にもお越しいただいていて、家では見せない成長した姿をご覧になって、涙を流して感動される方もいらっしゃいます。

ミツカル教育通信編集部

ご家庭では見えないお子さんの姿を、行事を通して保護者の方と分かち合えるんですね。面談やカウンセリングといった仕組みもあるのでしょうか。

保坂さん

進路に関わる部分での三者面談は行っていますし、それ以外にも、ご希望があればいつでも面談できるようにしています。単位の修得状況や登校状況が心配な場合には、お越しいただくこともあります。スクールカウンセラーもおりますので、ご本人はもちろん、保護者の方と一緒に、あるいは保護者の方だけでもカウンセリングを受けていただけます。教職員は全員に担任が付いていて、基本的には担任とやり取りをしていただく形ですね。

飛鳥未来きぼう高等学校

卒業後の進路と、いま不安を抱える親子へのメッセージ

ミツカル教育通信編集部

卒業された生徒さんは、どのような進路やキャリアを選ばれることが多いのでしょうか。また、単位制・通信制の高校で学んだ経験が、その後どのように生きているのかも伺えればと思います。

保坂さん

圧倒的に多いのが進学です。数字は前後するかもしれませんが、7割から8割ほどの生徒が、大学や短大、専門学校へ進んでいます。最初から決めきっているというよりは、高校3年間の中で悩みに悩んで、最終的に進学を選ぶ子が多いんです。姉妹校に進学する生徒もいて、その子たちは私たちと同じ教育理念のもとで学んでいくので、卒業後の頑張りも私たちが聞くことができます。一般の全日制の高校に行った生徒たちと同じように、在学中は悩みながら、まずは進学して、その中で将来の選択を広げていく、という子が多いように感じています。

ミツカル教育通信編集部

8割ほどが進学を選ばれるんですね。一度は不登校を経験した生徒さんも多いというお話でしたが、この学校で気持ちを立て直して、その後の学びに繋げていけるお子さんがほとんどなのですね。

保坂さん

そうですね。自分は学校にちゃんと行けたんだ、というふうにマイナスのイメージを払拭できているからこそ、もう一度頑張ろうと進学を考えてくれるのかなと思います。それに、私どもの通い方が大学に近い形なので、あまりギャップを感じずに進学できているようです。自己管理がすごく身につくので、大学と似ているね、と話してくれる生徒もいますよ。

ミツカル教育通信編集部

確かに、単位制の高校で時間割を自分で組む経験をしていれば、大学に入ってからもスムーズに移行できそうですね。学んだ経験という意味では、多様な仲間と過ごせたことも大きそうです。

保坂さん

そうなんです。様々な背景や価値観を持った人たちに囲まれて過ごせたことは、すごく大きかったと思います。いろんな考えの子、いろんな背景の子がいるのが当たり前という状態で育っていけるので、大学や専門学校で違う価値観の人とコミュニケーションを取ることになっても、ギャップを感じずに、受容感を持って関わることができる。それはうちの子たちの強みだなと思っています。みんなで何か一つのものを作り上げた経験も、進学後や就職後に生きてくれているのかなと感じます。

「何がきっかけになるか分からない」。二人の生徒の物語

ミツカル教育通信編集部

ここまで色々と伺ってきましたが、特に印象に残っている生徒さんのエピソードがあれば、ぜひお聞かせいただけますか。

保坂さん

小学校1年生から学校に通えていなくて、正直に言えば、先生のことを恨んでしまうくらいの経験をしてきた子がいました。学校という言葉を聞いただけで泣いてしまうほどで、中学校2年生のころから、うちの中学生向けの場で「学校だと思わずに、まずは通う練習をしようよ」と関わってきた子なんです。

入学してからも、最初は校舎に入ると涙が出てしまうので、練習するところからのスタートでした。好きな書道の授業を週1回出るところから始めて、少しずつ1日1コマへ。絵を描くのが得意だったので文化祭の装飾に誘ってみたら、そこでお友達ができて、行事にも出られるようになっていって。最終的にはその子は大学に進学して、4年間きちんと通いきったんです。不登校の期間でいうと、9年なんですよね。

ミツカル教育通信編集部

9年間の不登校を経て、大学に4年間通いきられたというのは、本当にすごいことですね。その子にとってのスモールステップがどこにあるのかを、一緒に探していかれたんですね。

保坂さん

もう一人、中学校でほとんど授業を受けたことがなかった生徒もいました。勉強が苦手だったので、中学校の復習ができる補習コースをつけて受けてもらって、勉強もクリアしていって。文化祭では、もともとやる気を出しにくいタイプだったその子に、思いきってダンスのセンターを任せたんです。「センターはあなたがいないと成り立たないよ」と話したら、ちゃんと真ん中で踊りきって、親御さんが泣きながら喜んでくださって。最終的には就職も決めました。本当に、何がきっかけになるか分からないなと思います。

いま不安を抱える親子へ。「自分の居場所を見つけた子どもたちは、強いんです」

ミツカル教育通信編集部

最後に、いま学びの場を探しながら不安を抱えている保護者の方や、進路に悩んでいるお子さんに向けて、保坂さんからメッセージをいただけますか。

保坂さん

今、学校に通えていない、通えていないから勉強についていけなくなってしまっている、人間関係に悩んで学校から足が遠のいてしまっている。そうした現状があったとしても、何かのきっかけさえあれば、いくらでももう一度学び直すこと、やり直すことができるんだよ、ということをお伝えしたいです。

もし心の隅に、実は学校生活を楽しみたかった、勉強もちょっとやってみたい、友達づくりも本当は楽しみたい、という気持ちが少しでもあるのなら、ぜひそれを叶える場所として私たちを利用してもらえたら、すごく嬉しいなと思います。

自分の居場所を見つけた子どもたちは、本当に強いんです。環境が変われば、いくらでも変わっていける。ぜひ自分に合った居場所を見つけて、心を元気に取り戻した状態で、キラキラ輝いて羽ばたいていってほしいなと思っています。

ミツカル教育通信編集部

「自分の居場所を見つけた子は本当に強い」という言葉、とても素敵ですね。私自身も今、少し胸がいっぱいになってしまいました。どこにいていいのか分からなくなると、それだけで不安になってしまいますから、ここを新しい居場所にしてほしいというメッセージを、大切に受け取らせていただきます。

保坂さん

ありがとうございます。私たちも、子どもたちの居場所づくりのお手伝いができたらと思っています。進路選択の応援も引き続きさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

飛鳥未来きぼう高等学校の詳細情報

飛鳥未来きぼう高等学校(取材した町田キャンパス)の基本情報をまとめました。通学スタイルや開講コースはキャンパスによって異なります。学費(就学支援金制度による負担軽減)や説明会・オープンキャンパスの最新情報は、公式サイトをご確認ください。

学校名飛鳥未来きぼう高等学校(単位制・通信制/学校法人三幸学園)
教育理念技能と心の調和
対象新入学(中学卒業見込み)・転入学・編入学
通学スタイル週1日〜5日から選択(5DAY/3DAY/スタンダード/ベーシック/ネットなど。町田キャンパスはベーシック/スタンダード/ネット)
コース(町田キャンパス)進学/補習/メイク/ネイル/オンライン個別学習指導/オンライン英会話・韓国語・イラスト・キャリア探究 など
校風・サポート服装・髪型自由/全員担任制/スクールカウンセラーによるカウンセリング(生徒・保護者)
所在地(町田キャンパス)〒194-0022 東京都町田市森野1-33-10 町田STビル2階
アクセスJR横浜線「町田駅」より徒歩8分、小田急小田原線「町田駅」より徒歩5分
電話(町田キャンパス)050-5830-5329
公式サイトhttps://www.sanko.ac.jp/asuka/kibou/

通学スタイルや開講コースはキャンパスにより異なります。上記コースは町田キャンパスの例です。

学費は国の就学支援金制度の拡充による負担軽減があります。詳細は公式サイトをご確認ください。

町田キャンパスでは2026年6月17日(水)〜27日(土)に、学校説明会・オープンキャンパス(中学3年生対象)・個別相談会を実施予定です。

掲載内容は取材時点(2026年6月)の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。

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