「今の学校教育がうちの子に合っていないのではないか」
「将来、社会に出た時に本当に役立つスキルを身につけてほしい」
そんな不安や願いを持つ保護者の方も少なくないでしょう。
「社会に一番近い学び舎」をコンセプトに掲げる通信制高校サポート校「HR高等学院」では、不登校経験者が約8割を占めながら、通学率89%という驚異的な数字を記録しています。
かつては対人恐怖に悩んでいた学生たちが、自らAIを使いこなし、大手企業の社長の前で堂々とプレゼンを行うほど劇的な変容を遂げています。
一体、どのような教育が彼らの内なる可能性を呼び覚ますのでしょうか。
その「教育の真意」を探るべく、創設者であり、民間企業での豊かな人材開発経験を持つ株式会社RePlayce代表取締役CEOの山本 将裕さんにお話を伺いました。

社会とつながり「個」を磨く、HR高等学院独自の3つの教育アプローチ
「社会に一番近い学び舎」というコンセプトは、具体的にどのような学びによって支えられているのでしょうか。ここでは、学生たちの主体性を引き出し、実社会での課題解決に直結する独自の3つの教育アプローチを詳しく紐解きます。
探究・PBL・ロールモデルの3本柱で「社会に一番近い学び舎」を体現する
——貴学院では「社会に一番近い学び舎」というコンセプトを掲げていらっしゃると伺いました。現在、最も注力している活動についてお聞かせください。
山本 将裕さん当学院の特徴としては、大きく分けて3つの教育アプローチがあります。
1つ目は「探究的な学び」の推進、2つ目は「企業PBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)」の実施、そして3つ目は、「多様なロールモデルとの出会い」です。
——まず1つ目「探究的な学び」の推進について詳しく教えてください。
山本 将裕さん学生一人ひとりが自らプロジェクトを持ち、主体的に活動していくことをベースとしています。もちろん、最初は「テーマが決まらない」「やりたいことが見つからない」という学生もいますので、そういった目標を一緒に見つけるところからセットでサポートし、学びを提供しています。
大手企業の社長へ直接プレゼン!実社会の課題を解決する「企業PBL」の衝撃
——次に、「企業PBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)」についてお伺いします。具体的にどのような取り組みなのでしょうか?
山本 将裕さんこれは、実際の企業の課題に対し、解決策を考えることを通じて学生の課題解決能力を養うためのプログラムです。現在、NTTドコモ、MIXI、ロッテなど、様々な企業とコラボレーションして提供しています。
——そうした企業の皆様とは、具体的にどのような形で関わっていくのでしょうか?
山本 将裕さんNTTドコモの前田社長や、MIXIの木村社長の目前で学生が直接プレゼンテーションを行うなど、企業の皆様を巻き込んだ本格的な活動となっています。
——企業のトップに直接プレゼンするとは、大人でもなかなかできない貴重な経験ですね。そこから実際に、学生のアイデアがカタチになった事例などはあるのでしょうか?
山本 将裕さん実際の事例として、NTTドコモとの取り組みでは、学生が考えた事業アイデアが採用されて事業化するための予算がつき、現在共同で事業開発を進めているケースもあります。
毎週プロから学ぶ「トップランナーセッション」が、将来の夢の解像度を上げる
——続いて、「多様なロールモデルとの出会い」についてお聞きします。
山本 将裕さん当学院では、高校生の段階でキャリアのロールモデルを見つけることを非常に重視しています。
起業家や政治家、公務員、フリーランス、あるいはインフルエンサーなど、多種多様な大人たちのロールモデルを知ることは、子どもたちにとっての目標になります。「こんな風になりたい」「こんな仕事をしてみたい」といった将来の夢を見つけるきっかけになるため、そうした機会を数多く作ることを非常に大切にしています。
——多感な高校生の時期に憧れる存在に出会えるのは、今後の人生において大きな財産になりますね。そうした多様な大人と出会う機会は、具体的にどのような形で学校生活に組み込まれているのでしょうか?
山本 将裕さん基本的に毎週のように様々な社会人が学校を訪れ、学生に直接話をしてくれる機会を設けています。これが、メインの取り組みの一つである「トップランナーセッション」というプログラムです。
——学生がロールモデルを見つけやすい学習環境が整っているのですね。
山本 将裕さんおっしゃる通りです。大人と出会う機会を数多く作っているのは、自分のロールモデルが見つかれば、自然と学習に対する意欲も湧いてくるはずだと考えているからです。当学院では、何よりもその点を大切に教育を行っています。
——普通の高校では学べないような実績をお持ちで、まさに「社会に近い学び」を提供されているのですね。
山本 将裕さんもちろん、勉強をして単位を取得することも大切ですが、当学院ではそれ以上に「社会に出て活躍してもらうこと」を重視しています。大学に進学するにしても、いずれは必ず社会に出ることになります。そのため、「社会に出ること」をしっかりと意識して学びを設計するという点は、学校として非常に大切にしています。


不登校経験者が自ら通いたくなる「コーチング」と「対人スキル」の秘訣
不登校経験者が約8割を占めながら、通学率89%という驚異的な数字を維持できるのは、学校の「当たり前」を覆す仕組みがあるからです。なぜ学生たちがここを安心できる「居場所」と感じ、自ら一歩を踏み出せるようになるのか、その鍵となるコーチングと対人スキルの教え方に迫ります。
先生ではなく「コーチ」が伴走。高い通学率の秘訣は「安心できる居場所」
——貴学院は、過去に不登校を経験された方が約8割いらっしゃると伺っています。それにもかかわらず、入学後の通学率が89%と非常に高い数字を維持されています。皆さんが前向きに学校に通えている工夫は、どのようなところにあるのでしょうか?
山本 将裕さんまず、当学院には「先生」と呼ばれる存在がいません。「先生」という肩書きをなくし、代わりに「コーチ」という役割のスタッフを配置しています。
そして、当学院に通う高校生の皆さんを「生徒」ではなく、あえて大学と同じ「学生」と呼んでいます。それは、学生と大人の間の距離感や、上下関係をなくすことを前提としているからです。
——上下関係をなくし「先生」ではなく「コーチ」として接する上で、スタッフの方には具体的にどのようなスキルが求められるのでしょうか?
山本 将裕さんコーチに求められるのは、ファシリテーション能力、コーチング能力、コミュニティマネジメント、そしてメンターとしての役割という4つの要素です。これらを非常に重要視しており、そうしたスキルを持った大人がクラス担任として常に現地にいることがベースとなっています。
——そのような専門的な対人スキルを持った大人が伴走してくれるのですね。そうした環境面に加えて、カリキュラムなど学びの面でも独自の工夫があるのでしょうか?
山本 将裕さん入学後には「次世代教養」という時間を設けています。例えば、コミュニケーションの練習や、人と雑談すること、「聞く力」を養うといった内容です。コミュニケーションの取り方は誰からも教わらないにもかかわらず、社会に出た時に一番必要とされる能力です。私は、このアンバランスな状況が現在の教育業界の課題だと感じています。
——貴学院では、その課題に対してどのようにアプローチされているのでしょうか?
山本 将裕さん当学院ではまずコミュニケーションの練習からスタートします。その結果、自然と友達ができ、人と会話をしたり、大人に相談したりすることが当たり前になっていきます。このように、学校が子どもたちにとって安心できる「居場所」になっていることが、高い通学率につながっているのだと思います。
社会で最も必要な「雑談力」を言語化して教える、次世代のコミュニケーション教育
——先ほどおっしゃっていた「コミュニケーションは社会で必要なのに、通常の教育ではなかなか教えられない」という点には、私も非常に共感します。それを貴学院では、プログラムとして確立して教えられているのは、本当に素晴らしいことだと思います。
山本 将裕さん一見当たり前のことなのですが、これまで誰も手を入れてこなかった、あまり重視されてこなかった部分をきちんと大切にしていこうというのは、当学院の大きなテーマでもあります。
コミュニケーション能力などの対人スキルを育むことが、結果的に学ぶ意欲や学ぶ姿勢につながっていくと考えているため、その辺りは非常に大切にしています。
——実際に入学する前と後で、コミュニケーションが非常に苦手だった学生が、明るく陽気になったといった変化は見受けられますか?
山本 将裕さん大いにあります。例えば、対人恐怖症の診断を受けていた学生が、自ら手を挙げて質問するようになることもあります。
——それはすごいですね。
山本 将裕さん環境が変われば、子どもは全く変わると思っています。環境は本当に大切です。これまでに、家庭環境や学校環境など後天的な要因でネガティブな感情を抱えてしまった子どもたちもいると思います。
しかし、環境を変えることで、皆ポジティブで前向きになれると信じて接しています。そのような大人の姿勢が、子どもたちにも伝わっているのだと思います。


環境が才能を開花させる。民間出身コーチ陣と自社開発カリキュラムのこだわり
学生たちが劇的な変容を遂げる背景には、彼らを一人の人間として尊重し、伴走する大人たちの存在があります。一方的な指導を行う「教員」という役割に留まらず、民間経験豊かなコーチ陣がチームとして質の高い教育を届けるための、独自の組織設計と採用のこだわりに注目します。
民間出身の「コーチ」が伴走。教員経験に縛られない独自の採用基準と資質
——貴学院で働きたいという方は、通常の学校の先生とは求められる能力が違うのでしょうか?ファシリテーション能力なども必要かと思いますが、コーチを採用する際はどのような点を見ているのでしょうか?
山本 将裕さんまず、子どもたちと対等に接することができるかという基本的な人間性はもちろん見させていただきます。それに加えて、ファシリテーションの経験や、1対1の面談におけるコーチングの経験、また、コミュニティマネジメントの経験なども重視して採用を行っています。
——実際には、塾や学校などで教える仕事をされていた方も多いのでしょうか?
山本 将裕さん割合で言うと、教員経験者は少ないかもしれません。学校の先生も多く応募してくださるのですが、選考を通過しないケースが結構あります。
——やはり、民間企業での経験がある方のほうがマッチしやすいのでしょうか?
山本 将裕さんそうですね。まず大前提として、「組織人として動けるかどうか」が非常に大切だと考えています。学校の先生の中には、職人気質で「自分はこのやり方でやってきた」というこだわりの強い方も少なくありません。
——そういった独自路線を強く持っている方は、基本的にはお断りしているということですね。
山本 将裕さんはい。当学院には独自の教育の設計思想があり、その枠組みの中でチームとして動けるかどうかを非常に重視しています。組織として共通の認識を持って動くからこそ、質の高い教育を均一に提供できると考えているからです。
——通常の学校とは異なるシステムや環境を作るための採用基準となっているのですね。
山本 将裕さんはい、おっしゃる通りです。ただ、いずれにしても、相手が大人であれ子どもであれ、人と接することが好きで、人と真剣に向き合うことに全力を尽くせるかどうかという点が、採用における大前提としてあります。
ビジネスやデザインを学びの「ネタ」に。社会を生き抜く力を養うカリキュラム設計
——社会のプロが伴走者として関わり、ビジネスやデザインなど実社会で役立つことを教えていらっしゃいます。そうした専門分野の学びと教育を、具体的にどのように融合させているのでしょうか?
山本 将裕さん実社会の学びについては、まず「社会や世の中に興味を持ってもらうきっかけ」と位置づけています。社会に出れば、誰もが何かしらの仕事を選びます。それをテーマにして、コミュニケーション能力や課題解決能力を養うためのコンテンツを制作しています。
——特定の専門知識を詰め込むのではなく、実社会の仕事をテーマにすることで、根本的な「社会を生き抜く力」を養っているのですね。授業では、具体的にどのようなテーマやアプローチを取り入れているのでしょうか?
山本 将裕さん社会の出来事はあくまで学びの「ネタ」の一つです。例えば起業家教育も行っていますが、それは課題解決能力や主体性を育むためのアプローチです。AIの活用についても同様で、AIを使ってものづくりをして、自分が考えたアイデアが実際にアプリとして動くといったクリエイティブな体験を通じ、想像力などの能力を養っていくことを目指しています。
様々なテーマを扱いますが、それらはあくまで能力を育むためのきっかけに過ぎません。私たちの授業は、「いかに楽しく学べるか」に特化してコンテンツを設計しています。
——高度で最先端な内容を教えるとなると、現場のコーチ(教える側)のスキルもかなり求められそうですが、その点はどのように設計されているのでしょうか?
山本 将裕さん教える内容がコーチに依存しないよう、社内に専任のコンテンツ開発チームを設け、教材はすべて自社で開発しています。コーチとコンテンツ開発を分業している点は大きな特徴です。学校現場では、教える先生によって教育の質に差が出ることが少なくありませんが、当学院では基本的にその差が出にくい状態を生み出せていると考えています。


アウトプットが自信を生む。デジタル時代のクリエイティブ体験と成功事例
テクノロジーが進化する現代において、AIは既成の「答えを検索するための手段」ではなく、創造性を爆発させるための「ツール」へと進化しています。不登校から大手企業との事業開発にまで至った学生たちの歩みを通じ、アウトプットの習慣がもたらす自信と可能性の広がりをご紹介します。
AIは答えを出す道具ではなく「創造を加速させるツール」。自社教材が育む思考力
——先ほどAIのお話が出ましたが、AIが登場する前と後で、教育のやり方は大きく変わったと思います。例えば、どのように変わったのでしょうか?
山本 将裕さんAIリテラシーは非常に重要だと考えていますので、単に「AIに答えを聞く」という使い方は推奨していません。しかし、AIを活用してものづくりをしたり、アウトプットを出したりすることは非常に容易な世の中になりました。
——確かに、ゼロからすべてを自力で作る労力が減り、アウトプットのハードルは大きく下がったと感じます。そうした「簡単にアウトプットできる時代」において、教育現場が重視すべきポイントはどのように変わったのでしょうか?
山本 将裕さん分かりやすく例えると、料理をする際に、木をこすって火を起こすところから始めるのか、すでにガスコンロがある状態で料理を作ってアウトプットするのか、という違いだと思います。AIはあくまでツールであり、ガスコンロのような立ち位置です。
そこで重要になるのは、その「火」を使って料理を作るのか、キャンプファイヤーで感動体験を作るのか、どのように課題を解決していくかという想像力や創造性です。そうした力を養っていくことの方が大切だと考えており、そこにAI登場前後での教育の大きな違いがあると思います。
Claude Codeを駆使して「稼ぐ」までを視野に入れた、デジタルネイティブによる創作活動
——最近の学生はデジタルネイティブな世代が多いと思いますが、AIの使い方が上手いと感じることはありますか?
山本 将裕さんはい、特に当学院の学生たちは、プライベートも含めて日常的にAIを使っています。積極的に情報収集をしながら、例えばClaude Codeを使ってアプリを開発している学生もいます。
自分が実現したいアイデアを形にし、アウトプットする。さらに、それをリリースしてマネタイズしようと思えば、実際に稼げてしまう時代です。海外では、10代でAIを使ってアプリを作り、数億円を稼いでいるような若者も普通にいます。学生たちには、そうしたクリエイティビティをどんどん発揮してほしいと考えています。
——私が学生の頃にはAIなど影も形もありませんでしたので、本当に時代は変わっていると感じます。先ほどおっしゃっていた「環境次第で能力は大きく伸びる」という言葉の意味を、今改めて実感しました。
山本 将裕さんそうですね。学校によっては、そうした新しいテクノロジーの活用を「けしからん」と捉えるところも、まだ世の中にはあると思います。しかし私たちは、子どもたちがいかにその能力を発揮できるか、そして「発揮したい」と思えるかを最も大切にしています。これからも、学生たちのそうした挑戦をどんどん後押ししていきたいと思っています。
恐怖心が好奇心へ変わる。不登校から大手企業と事業開発へ挑む学生の変容
——黒板に書いて写すといった、いわゆる「聞くだけの授業」ではないということですね。企業と連携したプロジェクト学習(PBL)などを実践される中で、学生の変化や成長について、もう少し深掘りしてお伺いできますでしょうか。
山本 将裕さん変化という点でお話ししますと、中学校まで不登校で、高校で当学院に転校してきて、この3月に卒業した学生がいます。その学生は「推し活」が好きで、「推し活向けのサービスを作る」というテーマでNTTドコモのPBLに参加し、優勝しました。
2人チームだったのですが、2人とも不登校の経験がありました。しかし、ドコモの前田社長の前で堂々とプレゼンテーションを行い、高い評価を受けました。現在は実際に起業に向けて、ドコモの社員の方が専属で伴走してくださり、事業化に向けて動いています。
——すごいですね。大企業の社長の前で堂々とプレゼンテーションをするというのは、大人でもなかなかできることではありません。
山本 将裕さんもちろん、最初からそういったことができたわけではありません。私たちもプレゼンテーションの練習やノウハウの指導はかなり行います。その結果として、人前で何かを話すことが、学生たちにとっては当たり前になっています。
先日も、TBS主催のイベントに当学院の学生たちが参加しました。そのイベントには、元Sexy Zoneのマリウス葉さんなど、普通に話しかけるには少し勇気のいるような著名な方々がいらっしゃる場でした。大学生も参加していたのですが、うちの学生たちは積極的にどんどん手を挙げていました。当学院では「自ら手を挙げて質問する」といったことが、息を吐くように当たり前になっていると感じます。
——すでに社会で生きる力が備わっているような印象を受けます。
山本 将裕さん本当にその通りです。あの姿勢があれば、どこの会社に行っても色々なことを吸収して重宝されるだろうと感じます。
当学院の授業は、ほぼすべてが「正解のないこと」に対して考え、発表し、質問し合うといった内容です。そうした授業を日常的に行っているため、社会で求められる力は相当養われていると思います。最初は全く喋れなかった学生でも、皆そのように成長していきます。
——山本さんも、以前は民間企業にお勤めだったのですよね。そういったご経歴があるからこそ、企業とのPBLなどをつなげやすいといった側面もあるのでしょうか?
山本 将裕さんそうですね。私はずっと民間企業におり、事業開発や社内起業家の育成など、大人の人材開発に携わってきました。企業とのコラボレーションの進め方や勘所については、私だけでなく他の社員も含め、よく理解しているメンバーが揃っています。そのため、普通の学校とは少し違う動き方ができる点は、当学院の大きな特徴だと思います。


日本を飛び出し世界へ。10代からアクションを積み重ねるキャリア支援
学びを教室の中だけに留めず、日本、そして世界のフィールドへ飛び出していくのがHR高等学院流のキャリア支援です。10代のうちに「アクションを起こす癖」をつけることが、将来の進路選択においていかに大きな強みとなるのか、具体的な越境機会の実例と共にお伝えします。
学生時代から「アクションを起こす癖」をつける教育の重要性
——人材育成において、大人と子どもとでは何か違いがあるのでしょうか。もしあるとすれば、どのような点が違うのかお聞かせいただけますか?
山本 将裕さん子どもの方が柔軟だと感じますね。大人になると行動するハードルが非常に高くなってしまいます。年齢を重ねるにつれて、理由をつけて行動しない方向へと進んでしまいがちです。
しかし、子どもは物事を吸収して実行に移すスピードが非常に速いです。私たちは基本的に、アクションベースでの学びを大切にしています。もちろん、知識を身につけるためのインプットも一定量必要ですが、インプットばかりしていても意味がありません。インプットした上で、それをアクションにつなげるハードルの低さや行動のスピードは、明らかに10代の方が上回っています。そのため、10代のうちにアクションを起こす癖をつけておくことが、非常に大きな意味を持つと考えています。
——やはり10代は柔軟で多感な時期ですので、本当にスポンジのように様々なことを吸収し、それを生かすことができるということなのですね。
山本 将裕さんええ、まさにその通りだと思います。だからこそ、その時期にずっとインプットだけをしているのか、それともアウトプットをする癖をつけておくのかで、その後の人生は全く違うものになると思います。
——私自身はまさにインプット中心の教育を受けた世代でしたので、「もし私が学生だったら、HR高等学院のような学校に通えたら楽しかっただろうな」と率直に思いました。
山本 将裕さん実は、保護者の方からは本当によくそう言っていただいています。おそらく皆さんがこれまでの教育に対して「何かおかしいよな」と感じていたことを、私たちも「おかしいよね」と共感し、「だからこそ今の時代に合った教育を提供しよう」と現代に合わせて形にしているのが、当学院の前提にあるのだと思います。
シリコンバレーやマレーシアで見つけるボーダーレスな進路選択
——「受験勉強に時間を割きすぎない」という方針の中で、学生の皆さんがどのように多様なキャリアを切り開いていっているのか、学校での様子を伺いたいです。
山本 将裕さん当学院は2025年4月に開校したばかりですので、受験の支援実績についてはこれから伸びていく部分もありますが、初年度の実績として、一般受験でICU(国際基督教大学)に合格した学生がいます。
また、先ほどお話ししたNTTドコモのPBLで優勝した学生は、デジタルハリウッド大学に総合型選抜で合格しました。現在、デジタルハリウッド大学は倍率も高く難易度も上がっているのですが、合格しただけでなく特待生にも選ばれました。総合型選抜の受験において、「NTTドコモの社長の前でプレゼンをして、現在こんな活動をしています」といった具体的なアピールができるのは強みになります。高校生でそのような経験をしている子は、他にはなかなかいませんからね。
当学院のカリキュラムは、大学受験における課外活動実績という点において、他の学校ではできない経験を積めるため、大きな強みになると考えています。
——ICUに合格された学生さんのように、一般受験を目指す学生に対しては、どのようなサポートを行っているのでしょうか?
山本 将裕さん重要なのは「勉強する姿勢」です。「将来こうなりたい」というやる気や目標ができれば、子どもたちは皆、自ら勉強を始めます。主体性を持って勉強に向き合えば、一般受験でも十分に合格できると考えています。また、学習計画の支援なども欠かせません。コーチが精神的なサポートにも繋がったと本人からもコメントをいただいています。
知識を教え込むことよりも、きちんと勉強に向かう姿勢を育むことの方が重要だと捉えており、その姿勢を作るためのサポートをとても大切にしています。国内の大学進学については、「一般受験」と「総合型選抜」という2つの軸で支援を行っています。
——海外の大学など、さらに外の世界へと目を向ける方もいらっしゃるのでしょうか?
山本 将裕さん海外の大学に興味を持つ学生も多くいます。先日、マレーシアの大学見学ツアーを開催したところ、7名ほどの学生が申し込み、実際にマレーシアへ行きました。また、外部機関と連携したサンフランシスコやボストンの留学プログラムにも、先日3名が参加しました。シリコンバレーへ行き、Google本社やスタンフォード大学などを訪問しています。
私たちはこうした取り組みを「越境機会」と呼んでいます。そうした「飛び出す経験」ができる機会を頻繁に設けており、学生が世界に興味を持つきっかけを数多く作っています。
「子どもを一人の人間としてリスペクトする」。震災経験を経て「活き人を育む」創設者のメッセージ
——これまでのご自身の歩みが、現在の教育活動の根底にどのように繋がっているのかをお伺いしたいです。
山本 将裕さん高校時代を振り返ると、正直なところ将来について深くは考えておらず、自分は勉強に全く向いていないと感じていました。大学へ入学後、人を集めてイベントを企画したり、コミュニティの場を作ったりすることに大きな楽しさを覚えるようになりました。それは大学生になってから気づいたことであり、社会人になってからも、結果的にそういった仕事にずっと携わっています。
もし高校時代に「勉強以外の物差し」があったら、全く違う人生があったのではないかと率直に思います。現在は総合型選抜など、勉強以外の実績でも大学に進学できる時代です。だからこそ、今の時代に合った教育を提供しやすい環境なのだと思います。
——大学卒業後、社会人として民間企業で働かれたご経験も、教育分野へ進む大きな転機になったのでしょうか?
山本 将裕さんはい。私はこれまで民間企業で人材開発に携わり、「自律性」をテーマに人材育成を行ってきました。しかし、ある程度の年齢になってから自律性を養うのは非常に難しいと痛感しました。根本的に、日本がもっと元気で輝ける国になるためには、やはり教育から変えていかなければならないという思いがあり、教育分野へ目を向けたのが現在の活動のきっかけです。
さらに、東日本大震災での経験も大きな原点です。当時、地震の瞬間に私は女川町の近くで、震源地から一番近い海沿いの場所にいました。「真っ直ぐ行くか、右へ行くか」で生死が分かれるような状況の中で、一命を取り留めました。しかし、会社は水没し、3日間ほど閉じ込められました。当時は5分に1回ほどの頻度で余震があり、「次に大きな揺れが来たら危ない」という状況下で死を覚悟しました。その時に「死ぬのなら、自分が存在したことで世界が少しでも良くなるようなことに携わりたい」と強く思ったのです。この死を覚悟した経験が、自分自身の存在意義を深く考える大きなきっかけになりました。
——もし、今の山本さんが学生時代の自分にアドバイスするとしたら、何と声をかけますか?
山本 将裕さん「もっと色々な活動をしてほしい」と伝えますね。当時は課外活動が受験に直結することはありませんでしたが、例えば団体を立ち上げたり、社会的な課題に目を向けたりしてほしいです。また、早い段階で留学などグローバルな分野に目を向けるべきだったと強く感じています。勉強以外の選択肢はたくさんあるのだから、そういった活動に精を出してほしいと言いたいです。
そして何より、「起業しろ」と伝えたいですね。高校生や大学生の段階であれば、失敗してご飯が食べられなくなるようなことはありません。多額の借金をするようなビジネスでない限り、基本的にリスクはほとんどない世界です。だからこそ、絶対に挑戦した方がいいと強く思います。もし自分が当時の高校生に戻れるなら、間違いなく起業に向けて行動します。
——山本さんご自身が「学生時代に戻れるなら起業する」とおっしゃるほど、アクションを重視されているのは、それが将来の可能性を広げることにつながるからでしょうか。
山本 将裕さんそうですね。ただ、大前提としているのは、生徒たちが卒業した後にそれぞれの進路を掴んで、ハッピーになってほしいという願いです。
私たちが目指しているのは「活き人(いきびと)を育む」、つまり自律した子供たちを一人でも多く輩出することです。将来をポジティブに捉えてアクションできる人が増えれば、世の中はもっと元気になると信じています。
——お子さんの将来を心配されている保護者の方は、世の中にたくさんいらっしゃると思います。不登校などで現在の教育環境に不安を感じている保護者の方に向けて、どのようなことをお伝えしたいですか?
山本 将裕さん一番伝えたいのは、「子どものことを信じてほしい」ということです。保護者の方とお話ししていると、「うちの子なんて……」と謙遜されたり、子どもが話している途中で言葉を遮って保護者の方が代わりに答えてしまったりするケースが少なくありません。
ある程度の青年期になれば、子どもにも親には見せない顔があり、精神的な自律が始まっています。家族であっても、自分自身ではない「一人の人間」です。だからこそ、子どもを信じて、一人の人間としてリスペクトしてあげてほしいと思います。私たちコーチ陣も、子どもたちを心から信じて接しているからこそ、良い変化につながっていると実感しています。教育について色々と調べたり考えたりすることも大切ですが、まずは「子どもをリスペクトして信じること」を意識していただきたいです。
——HR高等学院に入学してお子さんが変わるだけでなく、保護者の方自身にも変化が見られる瞬間はありますか?
山本 将裕さん保護者の方が直接的に変わったと私たちが言うのは少しおこがましいかもしれませんが、「自分の子どもがこんなに変わると思わなかった」と驚き、感動してくださるケースは非常に多いです。その結果として、保護者の方がお子さんのことをより深く信用できるようになるといった変化は、大いにあると感じています。
——最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
山本 将裕さん当学院は通信制のサポート校という形態ではありますが、通学を前提としています。文化祭や宿泊行事、発表会など、通常の学校で行われているような「青春」を感じられる活動も積極的に取り入れています。
保護者の方の世代では、「全日制の高校に行くのが当たり前」という価値観を持たれている方がまだまだ多いと思います。しかし、これだけ時代が大きく変化している中で、自分の子どもにとって「どのような教育が最適なのか」を、固定観念にとらわれずフラットに考えるきっかけにしていただけたら嬉しいです。
「自律」と「幸福」を、HR高等学院と共に描く
HR高等学院は、通信制高校サポート校という形態でありながら、代々木、渋谷、横浜に校舎を構え、実社会に直結したプロジェクトやコーチングを通じて、学生が自信を持って未来を切り拓くための場を提供しています。保護者がお子さんを信じ、リスペクトし、この新しい教育環境に一歩踏み出すことが、お子さんの可能性を無限に広げるきっかけとなるはずです。「生き生きと」自律し、幸福な未来を自ら掴み取るための挑戦が、ここから始まります。


インタビューでご紹介した独自のカリキュラムの詳細、入学・イベントに関する最新情報は、HR高等学院の公式サイトからご確認いただけます。ぜひご覧ください。
HR高等学院:https://hr-highschool.com/
