「できる自分も、できない自分も、どちらも大事なんだよ」。取材の中で何度も語られたこの言葉に、みらいゲートが大切にしている“安心”の本質が詰まっていると強く感じました。
学研グループが運営する「みらいゲート」は、不登校や登校しぶりに悩む小学1〜6年生のためのフリースクールです。多くのフリースクールが4年生以上を対象とするなか、増え続ける低学年の不登校に向き合うために生まれました。「居場所」と「学び」を掛け合わせ、復学率は約6〜7割。3つの部屋を使い分ける環境設計、小学校教員や保育士の資格を有し、小学校や学習塾、学童、保育園での勤務経験を持つスタッフにて構成されたチームでのサポート、無学年方式のICT教材、そして小さな成功体験の積み重ね。一つひとつの取り組みが、子どもの“安心”と“自己肯定感”を育むという一本の軸で貫かれています。
取材を通して印象的だったのは、「経験値が可動域を広げる」という岡田さんの言葉でした。学習を全身で拒んでいた女の子が、読み聞かせをきっかけに2年5ヶ月かけて学校へ“完全復活”したエピソードには、現場の丁寧な伴走と熱量がにじんでいます。みらいゲートのリアルな取り組みを、花塚様・衣川様・岡田様3名のお話からお届けします。
学研グループが小学生専門のフリースクールを始めた理由
それでは1つ目の質問です。学研グループという大手が手がける小学生のためのフリースクールとして、みらいゲートさんが目指す理念や、設立の背景にある思いをお聞かせいただけますでしょうか。
花塚様みらいゲートは学研グループの「学研ココファン・ナーサリー」が運営しています。弊社ではもともと、保育園や学童、児童発達支援事業を運営していて、これらの事業を行う中で、近年増え続ける不登校のお子様を支えるフリースクールの必要性が高まり、みらいゲートが設立されました。
花塚様背景にあるのは、「すべての人が心ゆたかに生きることを願い、今日の感動・満足・安心と明日への夢・希望を提供します。」という学研の理念です。不登校は近年、深刻な社会課題になっていることから、すべての人が心ゆたかに生きられるよう「だれ一人取り残さない」という思いの元、みらいゲートがスタートしました。
学研さんは小学生のイメージが強かったのですが、未就学児から中高生まで、幅広い年代のお子さんをサポートされているんですね。その全体像のなかに、みらいゲートはどう位置づけられているのでしょうか。
花塚様学研は、子どもから大人まですべての人が心ゆたかに生きられるよう幅広いサービスを提供しています。弊社は未就学児と小学生が対象ではありますが、だれ一人取り残されることのない社会を目指すなかで、不登校のお子様とそのご家庭を支えるみらいゲートは重要な役割を担っていると考えています。
まさに「人育て」「人の支援」を、担っていらっしゃるんですね。そうした土台のうえで、みらいゲートはどのような思いで立ち上がったのでしょうか。
花塚様みらいゲートができたのは約3年前になります。きっかけは、不登校の低学年化でした。
花塚様1~3年生の不登校児童が増える中で、多くのフリースクールは4年生からというところが多く、低学年のお子さんが安心して通える場所が、まだまだ少ないのが現状でした。
増え続ける低学年の不登校という社会課題に向き合う
確かに、これまで取材させていただいたフリースクールも、高学年以降を対象にされているところが多かったように思います。低学年に特化されているのは、どのような理由からなのでしょうか。
花塚様もともと不登校の児童数としては4~6年生が多く、そこを対象にしたフリースクールは多く開校していました。ただ、最近になって1~3年生の不登校がどんどん増え、そこに対応できるスクールが足りていなかったんです。
そこに着目して、みらいゲートでは1年生から6年生まで受け入れられるフリースクールとして開校しました。【不登校の低学年化】という社会課題を解決したいという思いから始まった事業なんです。
花塚様特に1年生は、幼稚園や保育園からいきなり大きな集団に入ることになります。環境の変化が大きく1年生の最初のうちから学校に行けなくなってしまうお子さんもいらっしゃいます。実際にみらいゲートでも1〜3年生の体験のお申し込みやご入会が、すごく増えているんです。
「居場所」と「学び」を両立し、復学までサポートする
低学年のお子さんが安心して通える場所は、まだまだ足りていないんですね。そうしたなかで、みらいゲートならではの特徴は、どのあたりにあるとお考えでしょうか。
花塚様みらいゲートは「子どもたちに居場所と学びを」というのがコンセプトです。多くのフリースクールは居場所だけ、あるいは学びだけというところが多いのですが、私たちは学研としてどちらも重視していますので、居場所と学びを掛け合わせたフリースクールを作りたいと考えました。
花塚様そのうえで、子どもと保護者様のファーストプレイスになることを大切にしています。
以前はサードプレイス、第3の居場所という言い方をしていたのですが、学びの多様化が進むなかで、フリースクールが第1の居場所になってもいい、との思いから最近はファーストプレイスと呼んでいます。
「第3の居場所」ではなく「ファーストプレイス」と言い切るところに、ここを安心の拠点にするという覚悟を感じますね。一方で、学校に戻る選択をするお子さんも多いのでしょうか。
花塚様はい、多いです。お子様が不登校になると、心はもちろんですが、その期間の学習に関してもご不安に思われる方もいらっしゃると思います。そこでみらいゲートでは「すらら」という無学年方式の学習教材を使って、復学した先でも困らないようにサポートしています。復学をゴールにはしていないのですが、安心して過ごしながら学びを積み重ねた結果、約6割から7割のお子様が学校に戻られています。
花塚様そして、期間としても約8ヶ月から10ヶ月ほどで学校に戻られる方が多く、ここはかなり強みかなと思っています。さらに、学校とも連携して出席認定が取れるようサポートもさせていただいております。
コロナ禍が映し出した、子どもたちの変化
復学率が6〜7割で、しかも8〜10ヶ月という数字には説得力がありますね。ところで、不登校の低学年化は、コロナ禍に幼稚園児だったお子さんと重なるように感じたのですが、実際に関係はあるのでしょうか。
花塚様大いにあると思います。詳しくは岡田からお話しします。
岡田様みらいゲートを開校した当時、コロナのときに小学1年生だったお子さんのご入会がとても多かったんです。来た当初は気持ちが落ち込んでいるお子さんも多く、心も体も状態がよくありませんでした。
そこをきっかけに、この子たちの心と体を両方持ち上げていく。その変化は、明らかにみらいゲートにも表れていましたね。
コロナ禍の影響が、低学年の不登校という形で表れているんですね。だからこそ、みらいゲートのような居場所の存在が、いっそう意味を持つのだと感じました。
安心できる居場所をつくる、3つの部屋と「好きを否定しない」関わり
2つ目の質問です。学校や家庭以外の居場所を求める子どもたちにとって、みらいゲートが安心できる居場所になるための環境設計や、受け入れ時に工夫されていることをお伺いできればと思います。
衣川様では私からお話しします。環境設計でほかと違うかなと思うのは、お部屋が3つあるところです。それぞれの部屋に違った役割を持たせていて、1つ目は、ソファやふわふわのクッションを置いた広い部屋。みんなで集まっておしゃべりをしたり、本を読んだり、マンガを描いたり、ゆったり過ごせる空間です。
岡田様2つ目は奥にある広い部屋で、みんなで実験をしたり、プログラムをしたり、ボールで遊んだり、体を動かして活発に過ごせるスペースです。
3つ目は少しこじんまりとした部屋で、1人になりたいときや気持ちが高ぶったときに、職員と一緒にクールダウンしてから、みんなのところに戻れるようにしています。
活動的に過ごしたい子も、少し落ち着きたい子も、その日の気持ちに合わせて居場所を選べるんですね。受け入れの場面では、どのようなことを大切にされていますか。
衣川様受け入れで共通して大事にしているのは、好きなことを絶対に否定しないことです。その子の好きを突き詰めてもらうことを、一番に意識しています。何かが好きということは、その子のエネルギーの源だと思っているので。
衣川様「それが好きなんだね」「教えて」と、こちらからあなたに興味があります、知りたいと思っていますと伝えるんです。自分に関心を持ってもらえたという喜びや安心感に、少しずつつなげていけるようにしています。
個から集団へ、グラデーションで馴染んでいく
初めての場所には、緊張して来られるお子さんも多いと思います。少しずつ慣れていくために、どのような段階を踏まれているのでしょうか。
衣川様まずは人と場所に慣れてほしいので、最初は職員がマンツーマンのように近くについて過ごします。時間をかけて慣れてきたら、先に来てくれている子どもたちにバトンタッチするような形で、少しずつ仲間入りしていけるようにしています。
衣川様通い方も、最初は朝の2時間だけなど、まずはここに来て過ごすことに慣れてから、少しずつ時間を伸ばしていきます。
子どもたちにも「今日から新しい子が来るからよろしくね」と声をかけて、迎え入れる雰囲気を一緒につくってもらっています。
一人ひとりを大切にしながら、集団生活にもグラデーションで馴染んでもらう。そのバランスが絶妙ですね。とはいえ、集団に入るのが難しいお子さんもいると思います。そこで工夫されていることはありますか。
衣川様そうですね。よく保護者の方にもお伝えするのですが、午前と午後に1時間ずつみんなでプログラムを行うなかで、いきなり輪に入るのが難しい子もいます。そういう子は無理に入れることはせず、近くにクッションを置いて、そこに座って「耳だけ向けてみようか」「目だけそっちを向けようか」と、同じ場所にいるところからスタートしてもらっています。
その子に合ったスモールステップを、確実に用意されているんですね。同じ空間にいることから始めるという発想に、安心を最優先にする姿勢を感じました。

有資格スタッフの専門性と、みらいゲートが大切にする「安心」
3つ目の質問です。ホームページを拝見して、有資格者のスタッフの方がとても多いと感じました。子どもたち一人ひとりに寄り添う際に大切にされている関わり方についてお伺いできればと思います。
衣川様まずは入会から慣れるまでの期間がとても肝心なので、そこをかなり丁寧に関わっています。個別対応が必要なお子さんには、決まった担当を必ず一人決めて寄り添うようにしています。
衣川様それから、一回一回の利用が本当に大切だと感じていて。帰りのお迎えのときに、子どもが笑顔で帰れるように意識しています。
途中で何かあっても、最後には気持ちが持ち上がる活動を必ず取り入れて、安心して過ごせる居場所が、ここでなくならないようにしています。
一回ごとの関わりを、そこまで丁寧に設計されているんですね。学びの場面では、どのような工夫をされていますか。
衣川様たとえば、日本語なのによく聞くと英語に聞こえる言葉遊びのように、笑いながら楽しみながら学べるプログラムを取り入れることも意識していて、楽しい時間のなかで、いつの間にか学んでいた、という状態をつくれるようにしているんです。
「できる自分も、できない自分も大事」という安心
計算されているはずなのに、それを子どもたちに感じさせない関わりに、確かな専門性を感じます。何度も“安心”という言葉が出てきましたが、みらいゲートが大切にされている安心とは、どのような状態だとお考えでしょうか。
衣川様安心とは、一番は、できる自分も、できない自分も、どちらも大事なんだよと思えることだと考えています。評価されるからではなく、ありのままの自分でいいんだよと、こちらも伝えますし、その子自身もそう思えること。それが安心のゴールかなと思っています。
できる自分だけでなく、できない自分も受け入れられる。自己肯定感という言葉を、本当の意味で体現していくことが安心につながるんですね。先ほどの丁寧な関わりについても、もう少し詳しく伺えますか。
岡田様入会して人と場所に慣れるまでは、受け入れの段階から担当を一人決めて、そのお子さんと一緒に行動します。たとえばLDやADHDの気質があれば、その特性をきちんと把握したうえでの対応が大切になるので、好きなことや、やってみたかったことに挑戦する新しい体験のなかで、好きや得意を見つけられるようにしています。
岡田様一人ひとりの目的や今の課題は、朝の申し送りやミーティングで職員間に常に共有しています。スキンシップを求めるお子さんには保育士が、新しい学びに喜びを感じるお子さんには教員資格を持つ職員がつく、と役割を分けることで、子どもたちも多くの刺激を受けてくれるんです。
有資格のスタッフの方が情報を共有されることで、一人の目線だけでなく、多角的な視点でその子へのアプローチを組み立てられるんですね。一人のお子さんに、支柱になる方がたくさんいる。衣川様からも、補足があればぜひお伺いできますでしょうか。
衣川様補足としては、できたことを褒めるのはもちろんですが、まずは「いてくれて嬉しい」「あなたに会えて嬉しい」と伝えることを大切にしています。そこに存在しているだけでプラスのことを起こしているんだよ、来てくれてありがとう、と。
衣川様来たばかりの子は「ここはどこなんだろう」と警戒心や不安が強いので、それを和らげていきたいと思っています。
絶対に否定せず、むしろ「教えて」という関わりのなかで、あなたを大事に思う人たちがここにはたくさんいるんだよと伝えていく。みんなが意識して行っていることだと思います。

「経験値が可動域を広げる」、小さな成功体験が自己肯定感を育む
好きなことを否定しないという関わりを、繰り返し大切にされているんですね。好きを否定しないことと同じように、ほかに大事にされている声かけやスタンスはありますか。
衣川様声かけとしては、「次いつ来るの?」と、あなたが来てくれるのを楽しみにしているよ、という気持ちを伝えるようにしています。
岡田様私からも補足すると、みらいゲートでは成功体験をたくさんできるといいなと思っています。やったことのなかったコマ回しやけん玉も、最初は全くできなかった子が、日々練習を重ねて1回できたところから2回、3回とできるようになる。その経験値が、その子の可動域を広げて、自信につながっていくと考えています。
「経験値が可動域を広げる」というのは、もうキャッチコピーになりそうな言葉ですね。好きなことだけに目を向けがちな昨今ですが、新しいことができる喜びも知ってほしいというのは、とても素敵です。
岡田様ありがとうございます。自分のなかで「すごくできた」という体験ができたときは、お迎えに来た保護者にも「見せたい」と、喜びがお父さんお母さんにまで広がっていくんです。好きなこと、プラス、新しい体験のなかでの成功体験ですね。
岡田様たとえば運動が苦手な子も、最初は見学から始めて、ドッジボールなら外野で攻撃を1回だけ、というところからやってみる。そこでうまく投げられると「内野もいけるんじゃない」と、段階を踏んでステップアップしていけるんです。
できたところを見逃さない、という姿勢ですよね。お子さんのほんの小さな変化を、確実に拾い上げていらっしゃるのが伝わってきます。
岡田様そうですね。もともと持っていた力を引き出すというか。できなかったのは練習不足なだけで、本当は力を持っていたんだよね、というところに持っていくんです。「やっぱりできたね」って。
個人を大切にする以上に、その子の力を発掘しにいく。お話を伺って、みらいゲートの関わりの奥深さを、ものすごく感じました。
ICT教材と無学年方式、「自分で決める」学びと新しい個別プログラム
運動のお話が出てきたので、一方で学習面についても伺えればと思います。無学年方式を取り入れたICT教材で、勉強に苦手意識を持つお子さんが主体的に学びへ向かえるよう、具体的にどのような工夫や配慮をされているのでしょうか。
衣川様みらいゲートでは学習時間を50分ずつ設けていて、だいたい30分はICT教材の『すらら』を、20分は持ってきてくれた自分のドリルや宿題に取り組んでいます。お子さんの状況によって、ここは個別に調整しています。
衣川様やっぱり、勉強が好きという子はなかなか珍しいです。なので、まずはここに来てくれる、続けてくれることを一番大事にしていて。勉強が嫌だとならないように、本人が興味のあるものや好きなものから学習を進めていくようにしています。
好きなものから始めて、まず「わかる」「できた」を感じてもらうんですね。そこから、少し苦手な科目には、どのようにつなげていかれるのでしょうか。
衣川様得意なものでできた、わかったという小さな自信が、次の意欲を育ててくれます。漢字のように、人として生きていくうえで大事だけれど子どもが苦手にしがちな科目にも、得意なものから始めて、少しずつ気持ちをつなげていきます。
衣川様あとは、自分で決めるということをすごく大事にしています。「今日はどこまでする?」と本人に聞きながら学習を進めていて、やらされるのではなく自分で選ぶことが、主体性につながると考えています。
5月に始動した個別プログラムと、好きを進路につなげる伴走
自分で決めることを大切にされているんですね。学習面では、新しい取り組みも始められたと伺いました。どのようなプログラムなのでしょうか。
花塚様この5月から、無学年方式のすららだけでなく、本当に個別対応ができるプログラムを始めました。集団での学習に抵抗があるお子さんや、低学年で学習そのものが難しくて通えないお子さん、気持ちの落ち込みが深くて家から出られないお子さんも多く見られたので、受け入れたいけれど学びが止まる不安にも応えられるよう、集団と個別でプログラムを分けました。
花塚様個別プログラムでは、プログラムの段階を3つのフェーズに分けています。フェーズ1で安心・安全な居場所と認識してもらい、フェーズ2で興味や関心を引き出して自分を出せるようにし、フェーズ3でその興味関心を学びにつなげていきます。
集団が難しいお子さんにも、段階を踏んで学びにつなげる道を用意されているんですね。その先には、どのような出口を描いていらっしゃいますか。
花塚様私も衣川ももともと塾業界の出身ですので、中学・高校・大学その先の進路まで見据えながら、この子がどう進んでいくのかをサポートしたいという思いがあります。たとえば鉄道が好きな子なら、鉄道に強い高校の受験対策をしようというように、好きを進路につなげていくことも可能です。
「この子の好きが仕事につながるのかしら」という不安は、親一人ではなかなか抱えきれないものです。そこに学研グループの強力な助っ人が入ってくださるのは、保護者としてとても心強いですね。
花塚様ありがとうございます。個別プログラムは午前の時間を活用し、小学校の授業に合わせた45分1コマで、週に1回決まった時間に来ていただく形です。予定として組みやすく、保護者もお子さんも前向きになりやすいかなと思っています。
通信制学校のスクーリングのようなイメージですね。ちょうど5月に始まったばかりの取り組みについて、貴重なお話を伺えて大変助かりました。
学習を拒んだ女の子が「完全復活」するまで、2年5ヶ月の伴走と保護者へのメッセージ
次の質問です。みらいゲートに通うなかで、不登校や学びづらさを抱えていたお子さんが変化し、本来の笑顔や自信を取り戻した印象的なエピソードを、ひとつ、ふたつお伺いできればと思います。
岡田様では、私からお話しします。その子は、学習に対してすごく抵抗感の強い3年生の女の子でした。週に1回くらい施設を利用して、ほかは学校への別室登校をしているような状態だったんです。
岡田様入会から3週間ほどは、「学習したくない」というのを前面に出していて。学習の時間になると床に横になって、全身を使って「やりたくない!」という気持ちを思う存分表現してくれていました。
それでも職員が一人つきまして、共感しながらも「全くやらなくていいよ」とは言わず、近くで一緒に見守るところからのスタートだったんです。
否定もせず、無理にやらせもせず、まずはそばで見守る。その忍耐強い関わりから始まったんですね。そこから、どのように変化していったのでしょうか。
岡田様2ヶ月ほど経った頃、その子の好きそうな本を別室で「一緒に読もうか」と声をかけて読み聞かせをしたら、好きな分野の話だったので、すごく興味を持ってくれて。集中して静かに聞いてくれるようになったんです。
岡田様その読み聞かせの時間を心地よく感じてくれるようになって、さらに1ヶ月ほどで「読んでみる?」と声をかけたところ、「自分でも読んでみる」と音読するようになったんです。短いお話から始まって、徐々に長い物語も音読できるようになっていきました。
読み聞かせから始まった、2年5ヶ月の変化
本を入り口に、その子自身が一歩を踏み出していったんですね。そこから学習には、どのようにつながっていったのでしょうか。
岡田様音読をしていた個室で、「学習もちょっとやってみようか」という感じになってきて。算数の計算や漢字の書き取りなら、嫌いななかでもやってもいいかなという内容だったので、そこからスタートしました。学習時間も、20分から30分、40分、50分と伸びていったんです。
岡田様半年後ぐらいには、ほかの子どもたちと同じ部屋で一緒に学習ができるようになって。1年10ヶ月後ぐらいには学校にも行けるようになり、友達もできて行事にも参加できるように。
そして2年5ヶ月後には、みらいゲートを卒業して“完全復活”。今は月曜日から金曜日まで、自分の教室に入れるようになったんです。
学習ができるようになるまで半年をかけて見守る、その忍耐強さに胸を打たれます。お話を伺っているだけで、感情が込み上げてきました。担当されたのは、どのようなスタッフの方だったのでしょうか。
岡田様図書館司書の資格を持っていた職員なんです。たまたまその子と本が好きという共通点があったので、彼女が担当になりました。会話のなかから「こういう本が好きかな」と探ってくれていたので、すごくいい関わりができたと思います。
保護者へ「ご自身のことも、大切になさってください」
本が好きという入り口に、司書資格を持つ方が寄り添える。専門性を持つスタッフがそろう環境ならではの伴走ですね。最後に、保護者の方へ伝えたいメッセージをいただけますでしょうか。
衣川様保護者様はどうしても自分のお子さんだけを見がちで、一人で抱え込まれていたり、なかなか相談できなかったりする方がすごく多いと思います。お子さんを大好きで愛しているからこそ、今の現状にマイナスな気持ちを持たれてしまうこともあると思います。
衣川様でも、ここに来てくれる子はみんな本当に素晴らしい子たちです。その子たちがより良くなっていくためにサポートさせていただくので、ご安心いただきたいです。
お子さんの個性を、まるごと受け止めてくださるんですね。保護者にとって、これほど心強いことはないと思います。ほかに、保護者の方へ伝えたいことはありますか。
衣川様一番大事なのは、お母様もお父様もご自身らしく、楽しみながら元気でいていただくことです。それが子どもたちの笑顔に、すごく繋がっていると、いつも感じています。
お子さんのことを考えるのと同じくらい、ご自身のこともしっかり大切になさってほしい。保護者様に向けても、こちらからいろいろアプローチをしているところです。
子どもだけでなく、保護者自身も大切にしてほしいという眼差しが、とても温かいですね。最後に、読者の方へひとこといただけますか。
衣川様みらいゲートは、毎月さまざまなプログラムをご用意しています。翌月の参考にしていただけるよう前月までに保護者の方へお伝えしていて、「行きたいな」「ワクワクするな」と思える形で来ていただけるようにしています。ぜひ一度、遊びに来るような気持ちで現地に来て、みらいゲートの良さを見ていただけたら嬉しいです。
みらいゲートの詳細情報
みらいゲート秋葉原は、学研グループが運営する小学生専門のフリースクールです。「好き」を否定しない関わりと、有資格スタッフによる一人ひとりに合わせたサポートを通じて、子どもたちの安心できる居場所と学びを支えています。
複数の路線からアクセスしやすく、午前・午後・終日と通い方を選べます。気になる方は、まず無料体験から始めてみてください。
| 施設名 | みらいゲート秋葉原 |
| 所在地 | 東京都千代田区神田須田町1-25 JR神田万世橋ビル 2F |
| 運営 | 学研グループ(学研ココファン・ナーサリー) |
| 対象 | 小学1年生〜6年生 |
| 開校時間 | 平日(月〜金)9:30〜17:30 |
| 入会金 | 33,000円(税込) |
| 月額基本料 | 12,100円(税込) |
| 利用料金 | 午前のみ5,390円/午後のみ8,690円/終日13,090円(いずれも税込) |
| 電話番号 | 03-5289-0281 |
| メール | mgate-akihabara@cocofump.co.jp |
| アクセス | JR秋葉原駅、東京メトロ新御茶ノ水駅・淡路町駅・神田駅、都営新宿線小川町駅、つくばエクスプレス秋葉原駅 いずれも徒歩10分以内 |
| 特徴 | 復学率約60%。保育士・小学校教員などの有資格スタッフによる、無学年方式の個別学習サポート |
