「姑息」は7割、「声を荒らげる」は8割が誤用…文化庁

 文化庁は9月15日、平成22年度「国語に関する世論調査」の結果について発表した。

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言葉に関心があるか
  • 言葉に関心があるか
  • 食べられない/食べれない
  • 来られますか/来れますか
  • 見られた/見れた
  • 出られる?/出れる?
  • 食べられない/食べれない〔過去の調査との比較〕
  • 来られますか/来れますか〔過去の調査との比較〕
  • 姑息〔全体・過去の調査との比較〕〔年齢別〕
 文化庁は9月15日、平成22年度「国語に関する世論調査」の結果について発表した。

 同調査は、日本人の国語に関する意識や理解の現状について調査し、国語施策の立案に資することを目的に平成7年度より毎年実施しているもの。全国16歳以上の男女3,485人を対象に、今年2月個別面接調査を実施し、2,104人の有効回答を得た。

 今年度の調査では、「言葉遣いについての意識」「日本国内で消滅の危機にある言語や方言についての意識」「官公庁が使用する言葉についての意識」など、一般の人々の国語に関する意識のほか、慣用句等の言い方・意味についても調査している。

 日常の言葉遣いや話し方、文章の書き方など、言葉や言葉の使い方についての関心の度合いを尋ねた質問は、「非常に関心がある」「ある程度関心がある」と回答した人は合わせて81.1%となった。年代別にみると、関心があると答えたのは40代の89.2%がもっとも多く、16〜19歳では75.0%に留まった。また過去3回の調査(平成12・15・18年度)と比較すると、50代を除くすべての年代で、今回の調査結果が過去を上回っている。

 男女の言葉遣いに違いがなくなってきていると言われることについての考えを尋ねた質問では、「自然の流れであり、やむを得ない」という回答が47.1%ともっとも多く、「違いがある方が良い」の36.8%を上回った。平成12年度の調査と比較すると、「自然の流れであり、やむを得ない」は12ポイント増加したのに対し、「違いがある方が良い」は15ポイント減少している。

 「食べられない」と「食べれない」などの「れる/られる」「せる/させる」の言い方について、どちらを使うかについて年代別にまとめている。その結果、若い世代ほど「食べれない」「来れますか」「見れた」「出れる?」といった、いわゆる「ら抜き言葉」を使用する割合が高くなっていることがわかった。さらに過去の調査と比較しても、全体で「食べれない」「来れますか」を使う人の割合は増加傾向にある。

 英語が国際的なコミュニケーションのための言葉になることについての考えを尋ねた設問では、「世界の人々のコミュニケーションのために、英語が共通の言語として使われるのは良いことだと思う」という回答が46.0%ともっとも多く、次いで「世界の人々のコミュニケーションのための言語として、英語が使われることは良いとは思わないが、仕方がない」が23.3%となった。平成11年度の調査と比較すると、「〜仕方がない」が5ポイント増加し、「日本語など英語以外の言語がもっと使われるようにすべき」は4ポイント減少し、6.1%に留まっている。

 また、(1)「情けは人のためならず」、(2)「雨模様」、(3)「姑息」、(4)「すべからく」、(5)「号泣する」の5つの言葉について、それぞれどの意味で使っているか尋ねている。いずれも辞書などに記載される本来の意味で使っている人は半数に満たず、とくに(3)「姑息」については、「『ひきょうな』という意味」と回答した7割を超え、本来の「『一時しのぎ』という意味」を選択した人は15%に留まっている。

 さらに、「間が持てない」「寸暇を惜しんで」「声を荒(あら)らげる」などの慣用句についても、それぞれが本来の言い方ではない「間が持たない」「寸暇を惜しまず」「声を荒(あ)らげる」を使うと回答する人の割合が大きく上回った。
《田崎 恭子》

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