【新中学生へ 2/4】挫折の悔しさは、成功体験で埋める

 志望校へ進学できないお子さんへのケアはどうすればよいのか。難関中学に合格者を送り出してきた個別指導教室SS-1代表の小川大介氏に聞いた。

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SS-1代表の小川大介氏
  • SS-1代表の小川大介氏
 難関中学に合格者を送り出してきた個別指導教室SS-1代表の小川大介氏と、この春新規開校する成城学園教室の竹澤智之室長に、2012年の中学受験はどうだったのか、志望校へ進学できない場合のケア、そして、入学までの準備、入学してからの学習について話を聞いた。4日連続で紹介する。

——志望校へ進学できないお子さんへのケアはどうすればよいでしょうか。

小川氏:実は、お子さんよりもお母様へのケアが大事です。

 子どもは、新しい生活が始まり、楽しいことがたくさんあるので案外簡単に立ち直れますが、お母様のほうは環境が変わらないから、いつまでも引きずってしまうのです。

 こういうときは、自分で自分が傷ついていることをまず認めましょう。次に、自分自身に問いかけてほしいのです。「私は一生懸命やらなかったのか」「あれ以上できたのか」と。

 おそらく答えは、「一生懸命やった」「あれ以上はできなかった」となるはずです。ならば、何も負い目を感じる必要はないのです。

 「いや、もっとできたのに」と思うお母様もいらっしゃるかもしれません。そのときは、「じゃあ具体的に何ができたのか」と冷静に考えてほしい。そうすると、案外「やっぱりあれ以上は無理だった」という答えになるはずです。

 こうやって具体的につきつめて、あいまいさを残さないことが大事です。なんとなく「もっとできたような気がする」と後悔の念にさいなまれていると、いつまでも引きずってしまいます。

 お子さんに関しては、もし失敗を引きずっているのなら「残念だったね」とまずは悔しさを受け止めてあげましょう。そして、「でも仕方がないから、今からがんばって、乗り越えようね」と声掛けしてあげることです。

 失敗はなぐさめて治るものではない。その後の成功体験を積むことで埋めていくしかないのです。

 心配なのは、お子さんが「どうせうまくいかない」という気持ちを持ってしまうこと。対策としては、何ができなかったか、次にがんばるべきことは何かをリスト化して確認することです。

 やるべきことをきちんとやって中間考査でよい結果を出し、早めに成功体験を積むことで「どうせうまくいかない」という思考回路に陥るのを防ぐことが大事です。
《石井栄子》

石井栄子

子育てから、健康、食、教育、留学、政治まで幅広いジャンルで執筆・編集活動を行うフリーライター兼編集者。趣味は登山とヒップホップダンス、英語の勉強。「いつか英語がペラペラに!」を夢に、オンライン英会話で細々と勉強を続けている。最近編集を手掛けた本:『10歳からの図解でわかるSDGs「17の目標」と「自分にできること」』(平本督太郎著 メイツ出版)、『10代から知っておきたいメンタルケア しんどい時の自分の守り方』(増田史著 ナツメ社)『13歳からの著作権 正しく使う・作る・発信するための 「権利」とのつきあい方がわかる本』(久保田裕監修 メイツ出版)ほか多数

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