首都圏の私大の新入生、仕送り平均額は約9万円で過去最低に

 東京私大教連は4月9日、「2011年度 私立大学新入生の家計負担調査」の結果の一部をホームページに公開した。「受験から入学までの費用」は、自宅外通学者が212万4,051円(前年度比1万315円減)、自宅通学者が151万8,451円(前年度比3,115円減)となった。

教育・受験 その他
受験から入学までの費用(住居別)
  • 受験から入学までの費用(住居別)
  • 費目別の対前年度増減額(自宅外通学者)
  • 「受験から入学までの費用」の推移と各費目の構成比(自宅外通学者)
  • 「受験から入学までの費用」の推移と各費目の構成比(自宅通学者)
  • 自宅外通学者の「入学の年にかかる費用」
  • 「入学の年にかかる費用」の推移(住居別)
  • 仕送り額の推移
  • 家賃の推移
 東京私大教連は4月9日、「2011年度 私立大学新入生の家計負担調査」の結果の一部をホームページに公開した。

 同調査は、首都圏の私立大学に入学した新入生の家計負担の状況を明らかにすることを目的としている。初回調査は1983年度に「私立大学生の家庭(保護者)」を対象に行われたが、1985年度から調査対象を「私立大学の新入生の家庭」としている。今回は新入生の家庭に限定して27回目となる。

 対象となった大学は、1都5県(東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城、栃木)にある18大学・短大。2011年度に私立大学等に入学した新入生の家庭(保護者)を対象とし、調査票を郵送により依頼・回収。調査時期は2011年5月〜7月、有効回答数は5,496件。

 「受験から入学までの費用」は、自宅外通学者が212万4,051円(前年度比1万315円減)、自宅通学者が151万8,451円(同3,115円減)となった。その内訳をみると、自宅外通学者で「受験費用」が増額し、「家賃」「敷金・礼金」「生活用品費」「初年度納付金」が減額している。「受験から入学までの費用」に占める初年度納付金の割合は、自宅外通学者で61.9%、自宅通学者で86.6%となっている。自宅外通学者の「入学の年にかかる費用」は298万3,351円(前年比9,415円減)となった。また「仕送り額(4月~12月)」は85万9,300円(900円増)となった。

 自宅外通学者世帯の「税込収入に占める『入学の年にかかる費用』」の割合は33.2%。世帯の「税込年収」は、全体平均が895万8,000円(1.2%増)となり、3年連続で900万円を下回った。なお、世帯の有所得者数の平均は1.7人で、有所得者数が2人以上の世帯は全体の64.3%である。世帯の「税込年収」を住居別でみると、自宅外通学者の世帯で899万6,000円(2.2%増)、自宅通学者の世帯で892万8,000円(0.3%増)で、ともに増額した。

 「仕送り額」の平均は、出費がかさむ「5月」が11万100円(1,500円増)で「6月以降(月平均)」は9万1,300円(300円減)となり、過去最低額となった。「6月以降(月平均)」の仕送り額を過去最高だった1994年(12万4,900円)と比較すると、16年間に3万3,600円減額している。

 「家賃」の平均は6万1,000円(前年比100円減)となった。「6月以降(月平均)」の仕送り額9万1,300円に占める「家賃」の割合は66.8%となり、1986年度のデータ以来、過去最高となった。

 「6月以降(月平均)」の仕送り額から「家賃」を引いた「生活費」は3万300円で、1日あたりの生活費として算出すると、1,010円になる。2011年度の1日あたりの「生活費」は、ピークである1990年度の2,460円に比べると、約4割である。

 日本学生支援機構を含む奨学金は、「希望する」と希望者のうち「申請した」が全体平均でともに6割を超えた。希望者で奨学金を「申請した」は、調査開始以来、過去最高になった。住居別では、「自宅外通学者」で「希望する」と「申請した」が、7割を超えている。また、年収が低いほど「申請した」が高くなる傾向にある。

 日本学生支援機構がまとめた奨学金受給率合計は35.9%(2010年度実績)である。その内訳は私立大学生で34.6%で、国公立大学生の40.5%と比べても低い。資料によれば、先進国のなかで給付型奨学金がないのは日本だけであるという。国が家庭に直接交付する返済義務のない私立大学授業料の補助制度である「直接助成制度」を「必要あり」と回答した割合は全体で85.3%となっている。

 入学費用を「借入れ」した家庭は18.5%で、住居別でみると、「自宅外通学者」が「自宅通学者」に比べ高い傾向にある。「借入額」の全体平均は164万2,000円(前年比6万3,000円増)となった。「自宅外通学者」の借入額は189万6,000円で、「自宅通学者」より51万8,000円多い。受験から入学までの費用の負担は、9割を超える家庭で「重い」と感じている。

 なお、調査結果の全文の冊子は、東京私大連あてにメールで注文することができる。実費「80円切手×13枚」(1,040円)となっている。
《前田 有香》

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