女子は男子より数学で遅れ、性差別に起因…ユニセフ

 ユニセフは2022年9月14日、「方程式を解く:数学を学ぶ子供たちのために」と題した報告書を発表。男子が数学のスキルを身に付ける確率は女子の最大1.3倍であることが明らかになった。

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教室の後ろで算数の授業を受ける10歳のフレシュタさん(アフガニスタン、2022年6月撮影) (c) UNICEF_UN0666832_Bidel
  • 教室の後ろで算数の授業を受ける10歳のフレシュタさん(アフガニスタン、2022年6月撮影) (c) UNICEF_UN0666832_Bidel
  • 東部アマンのユニセフが支援するマカニセンターで、マズーン・メレハンユニセフ親善大使から算数を教える10歳のシャヘドさん(ヨルダン、2022年8月31日撮影) (c) UNICEF_UN0696284_Matas

 ユニセフは2022年9月14日、「方程式を解く:数学を学ぶ子供たちのために」と題した報告書を発表。男子が数学のスキルを身に付ける確率は女子の最大1.3倍であることが明らかになった。基礎学習を習得していない子供たちは、問題解決や論理的推論等、重要なタスクの遂行に苦労する可能性があると警鐘を鳴らす。

 報告書では、100以上の国や地域を対象とした最新のデータ分析を掲載。男子が数学のスキルを身に付ける確率は、女子の最大1.3倍であることが判明した。女子は生まれつき数学を理解できないという、教師や親、同世代の仲間の間でもしばしば持たれる否定的なジェンダー規範や固定観念が、この格差の一因となっており、このことは女子の自信を失わせ、失敗を招くと報告書は指摘している。

 数学のスキルを学ぶことは、結果として記憶力、理解力、分析力を強化し、子供たちの創造力を向上させる。数学等の基礎学習を習得していない子供たちは、問題解決や理論的持論といった重要なタスクの遂行に苦労する可能性があると警鐘を鳴らす。

 報告書の対象となっている34の低・中所得国のデータを分析すると、女子が男子に遅れをとっている一方で、小学4年生の4分の3が基礎的な計算能力を身に付けていないことも明らかになった。中・高所得国79か国のデータでは、15歳の生徒の3分の1以上が、数学の最低限の習熟度に達していない。

 もっとも裕福な家庭の子供たちは、もっとも貧しい家庭の子供たちに比べて、4年生になるまでに数的能力を身に付ける確率が1.8倍にのぼる。また、就学前教育や保育プログラムに参加している子供たちは、そうでない子供たちに比べて、15歳までに数学の最低限の習熟度に達する確率が最大で2.8倍にもなるという。

 また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響が、子供たちの数学の能力をさらに悪化させている可能性が高いことも指摘している。女子が男子よりも学校に通えない可能性が高い国々では、数学の習熟度における全体的な格差はさらに広がっているとみられる。

 ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセル氏は、「子供たちの世代全体の学習が危機に瀕している今、口先だけの約束をしている場合ではありません。すべての子供たちのための教育変革に取り組むために、私たちは今すぐ行動を起こす必要があります」と述べている。


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《編集部》

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