過疎地域の教育機会拡大を目指す小中高生向け「越境教育エコシステム」

 あしたの寺子屋と地域・教育魅力化プラットフォームは2023年8月16日、「越境教育エコシステム」の共創に向けた協業を進めることを発表した。この取組みで、少子化が進む過疎地域での教育資源不足を解消し、学習環境の選択肢を広げることを目指す。

教育・受験 小学生
出典:あしたの寺子屋
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 あしたの寺子屋と地域・教育魅力化プラットフォームは2023年8月16日、「越境教育エコシステム」の共創に向けた協業を進めることを発表した。この取組みで、少子化が進む過疎地域での教育資源不足を解消し、学習環境の選択肢を広げることを目指す。

 過疎地域では、教育資源が不足しており、学校と地域・社会、学校同士のつながりを強化し、生徒の多様なニーズに対応できる環境を整備する必要がある。そのためには、地域との協働体制を築き、地域資源を効果的に活用することが重要だ。また、遠隔・通信・オンライン活用によって教育リソースを補完し、ほかの地域への越境・留学の機会を提供することで、生徒や文化との出会いや交流を実現することも求められる。

 この協業では、以下の4つのテーマから取組みを進めるという。

 まず、地元にいながら多様な人材や情報と出会い、生徒達の価値観を広げる仕組みを創出する。また、全国の小中学生を対象に高校留学の存在や受け入れ地域を知るためのプログラムを提供し、高校留学受入れ地域を広める取組みも行う。さらに、オンラインを活用した挑戦と出会いの場を創り、全国の高校生をサポートするオンラインプラットフォームの運営も行う。最後に、地方の教育支援関係者を対象に情報・人材ネットワークの創出を行い、地方の教育の発展を支援する。

 あしたの寺子屋は、深刻な過疎化により教育の地域間格差の課題を抱える北海道で2020年に創業。人口3万人以下の学校や塾が少なく、親や先生以外の大人との出会いの機会が少ない中高生を対象に、地域の大人と連携し各地の課題に合わせてオリジナルの夏期・秋期・冬期の通学型の学習支援や進路・キャリア支援を行っている。

 地域・教育魅力化プラットフォームは、「意志ある若者にあふれる持続可能な地域・社会をつくる」というビジョンを掲げ、2017年3月に島根県に設立。島根県教育魅力化特命官を務める代表理事の岩本悠氏は、隠岐島前高校の魅力化を推進し、地域みらい留学のモデルケースを創造。教育格差をなくし全国の学校に多様な出会いと学びの機会を届ける活動を行うカタリバ代表理事・今村久美氏、リクルートキャリア初代社長の水谷智之氏、地域みらい留学の立ち上げから活動を続けている尾田洋平氏らが、各分野での経験と実績を活用しながら、地域の教育から社会を変えることを目指して活動している。

 あしたの寺子屋の嶋本勇介社長は、「世界を拡げる一歩目を、どこからでも」というビジョンのもと、地域の人づくり・人の流れづくりに取り組んできたと言う。一方、地域・教育魅力化プラットフォームの岩本悠理事は、従来の枠を越えて社会的な共創を目指すと述べている。

 この協業を通じて、小中高生たちの学習環境が大きく変わることが期待される。地域間の連携やオンライン活用によって、教育の地域間格差を解消し、多様な学びの機会を提供することで、若者の成長と地域の発展につながるのではないだろうか。

《栄亜衣》

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