2024年度の中学受験を目指すご家庭では、そろそろ第一志望校・併願校を決定する時期だろう。
リセマムでは昨年に引き続き「中高6年間一貫教育を考える会」と連携し、お勧めの私立中学校をピックアップ。同会が発行する『とっておきの私立中学校』の中から抜粋して、注目校の魅力をお伝えしていく。
本記事でご紹介するのは、淑徳巣鴨中学高等学校。東京都豊島区にある中高一貫の共学校だ。学校長・矢島 勝広先生からのメッセージの他、特色のあるプログラムを紹介する。
校訓
感恩奉仕
令和元年、淑徳巣鴨は創立100周年を迎えました。本校は浄土宗の僧侶でもあった学祖・長谷川良信が残し、時代を超えて継承されてきた校訓「感恩奉仕」の精神を受け継ぎ、子供たちが利他共生の心をもって社会に羽ばたくことを目指しています。
ここ数年間、学校教育の現場ではコロナ禍の影響で閉塞感を感じる生活が続いてきました。しかし世界は変化を止めるどころか、グローバリゼーションは流動化を深め、世界の分断が進み、歴史の転換点として大きく動いています。これから世界に羽ばたく生徒たちには、誰かの役に立ちたいという大きな目標のために、さまざまな知識に触れ、多様な価値観を理解し、相手の立場に立って、人の気持ちに気付くことができる共生の心を身につけてもらいたいと思います。
軸となるのは、本校が標榜している「気付きの教育」です。「気付きの教育」には、小さな成功体験を積み重ねることで自己肯定感を高める仕組みがいくつもあります。子供たちが持って生まれた、潜在的な能力に気付かせること、日々の学びの中での気付きが子供たちに主体的に行動するきっかけを与え、その蓄積が自信へとつながっていくのです。気付きの連鎖は人間的に成長させ、やがて社会のために何ができるかを考えるようになるでしょう。
本校での学校生活で知性や感性を育み、能力を開花させる。そして、感謝の心をもって自分の力を社会に役立てたいという心豊かな生き方こそ、学びの証そのものなのです。淑徳巣鴨で、私たちと共に新たな一歩を踏み出しましょう。
探究型学び×気付き
自ら課題を発見し、探究を深めていく過程の中で、物事を多角的に観察する力や豊かな創造力を育む同校の探究型学びは、日々の授業の中、あるいは学校生活の中でも「気付きの教育」として取り組んでいるものです。学年ごとのテーマに基づいたグループワークやプレゼンテーションを行い、1つの結論を導き出すまでの過程を重視しています。その時々に気付いた「真実」は、将来、自分が活躍できる場の「発見」へとつながっていくはずです。
中1:自分史ワーク
「自分が何を与えられ、何を持っているのか」を見つめ、人との関わりや印象的な思い出などを綴っていきます。過去の自分を整理し肯定することで、現在、そして未来を見据えてもらい、中学校生活のスタートを切ります。
中2:ムービーワーク
些細な毎日の中にあふれる「自分の好きなもの」を自分らしく表現することや、みる人の立場に立ち、伝わりやすい表現を考えることで、表現力や伝える力を楽しみながら磨いていきます。
中3:卒業論文
自らテーマを設定し、研究を行います。その研究内容を“魅力的に”伝えるために工夫し、自分の伝えたい「論旨」をまとめることで、表現力、探究心、創意工夫の力を多角的に伸ばします。【テーマ例】愛の大切さ/日本の英語教育/方言の魔法/病気と医学/イルカの全てなど。
高校:総合探究・ポスター発表
中学で学んだ研究・探究のスキルを生かし、実践的な表現力や論理的思考力を養います。「キャリア甲子園」など学校外のコンテストにも参加し、さらに高いレベルの学びにつなげています。
グローバル教育×気付き
英語教育では特に、コミュニケーション能力を優先させていますが、文法や英単語の小テストも毎週実施するほか、スピーチコンテストなどで、競いながら楽しく学ぶプログラムも行われています。
実践としての海外研修も、中3のアメリカ修学旅行、高2のイギリス修学旅行に加え、オレゴンサマーキャンプなど英語体験の機会を多く作っています。中2ではネイティブの先生たちと英語だけでコミュニケーションを取り合う、2泊3日のイングリッシュキャンプ(国内)を行います。これは翌年のアメリカ修学旅行の準備とも言えるもので、この経験で英語での生活に親しみ、修学旅行のモチベーションを高めます。
理数教育×気付き
あらゆる思考力を育成する理数科目では、物事を論理的かつ多面的に捉える力や、自ら考える力を培い、理数の本質を見極める観察眼を磨いていきます。
1人でひたすら問題を解くイメージのある数学ですが、同校の数学は、協働して正解を導き出す過程を大切にしています。「数学がわからない」ことに気付くのも、わかる生徒が教えることも、チームで話し合って正解を導き出すことも、すべてが気付きをもととした数学の学びです。公式を覚えるだけではなく「考えるポイント」に気付くことを重視し、対話しながら数学力を高めます。
理科では実験の時間を多く設定していますが、Microsoft Surfaceを1人1台所有した授業で、さらに内容は充実しています。化学変化の過程を動画で撮影したり、難度の高い実験資料を閲覧したりするなど着実な理解へとつながっています。家庭学習においてもデジタル教材の活用で学びの幅が広がっています。
サポート体制×気付き
生徒ひとりひとりの学習状況や進路目標に合わせた手厚いサポート体制も同校は充実しています。月曜から金曜までのSHRの時間に行う国・数・英の朝テストや朝読書や、毎日自らに必要な課題を設定し、自学自習を行う「チャレンジノート」の取組みといった恒常的に学力を高めるサポートに加え、本校の教員によるフォローアップのための放課後「レベルアップ講座」や、企業人や大学の先生を招いて開講する「スポンサー講座」など主体的に学び、日々の学びを発展させるサイクルを取り入れています。
2021年より放課後学習支援の一環として導入したSSED(Shukutoku Sugamo Eureka Dream)プログラムでは、生徒の特性や希望に合わせて3つの個別指導を組み合わせることで、学習習慣を定着させ、基礎学力と応用力を向上させます。
学校概要
所在地:東京都豊島区西巣鴨2-22-16
アクセス:都営三田線「西巣鴨駅」A3出口徒歩3分、JR埼京線 「板橋駅」 東口徒歩10分、各線「池袋駅」東口都営バス8分
電話番号:03-3918-6451