国際学力調査、日本の15歳の読解力が8位に向上

 経済協力開発機構(OECD)は12月7日、2009年に実施した国際学習到達度調査の結果を発表した。65か国・地域、約47万人の生徒を対象とし、「読解力」を中心分野として行った。

教育・受験 その他
総合読解力における習熟度レベル別の生徒の割合
  • 総合読解力における習熟度レベル別の生徒の割合
  • 「情報へのアクセス・取り出し」における習熟度レベル別の生徒の割合
  • 「総合・解釈」における習熟度レベル別の生徒の割合
  • 「熟考・評価」における習熟度レベル別の生徒の割合
  • 読解力平均得点の国際比較
  • 数学的リテラシーにおける習熟度レベル別の生徒の割合
  • 科学的リテラシー習熟度レベル別の生徒の割合
  • 数学的リテラシー及び科学的リテラシーの平均得点の国際比較
 経済協力開発機構(OECD)は12月7日、2009年に実施した国際学習到達度調査の結果を発表した。65か国・地域、約47万人の生徒を対象とし、「読解力」を中心分野として行った。

 同調査は、略称PISA(Programme for International Student Assessment)と呼ばれ、OECD加盟国などの教育政策や実践に活かすため、15歳児を対象に、世界共通の問題を出題し、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野について調査するもの。第1回目は2000年に32か国が参加して行われ、以後3年ごとに実施されている。毎回実施ごとに参加国・地域は増えている。

 調査には、全国から抽出された185校の高等学校等の1年生、約6,000人が参加。筆記型調査として各生徒はテスト問題に2時間取り組んだ。なお、国際オプションとして、わが国を含む19か国・地域でコンピュータ使用型読解力調査(ERA: Electronic Reading Assessment)を実施した。

 日本の成績結果についての注目ポイントは、OECD加盟34か国の平均をほぼ500点と換算した得点でみて、総合読解力が前回(498点)を上回り、520点で全参加国中8位となったところだ。前回・前々回の15位・14位から好転した結果となった。中でも「情報へのアクセス・取り出し」についてはレベル5以上の割合が高く、2番目の好成績となっている。数学的応用力は9位で529点(前回523点)、科学的応用力は5位で539点(同531点)でほぼ変わらずだった。

 一方、成績下位層であるレベル1a以下の割合は、少ない方から8番目でOECD平均19%よりは少ないが、3分野とも10%を超えている。

 国際比較では、地域として初参加の「上海」が全分野で1位だった。中国政府は、国としての参加については準備不足として見送られているという。また、同じく初参加のシンガポールや韓国、香港が上位を占めている。北欧ではフィンランドが読解力(3位)、科学応用力(2位)に入っている。

 学校・生徒質問用紙のアンケートでは、日本は、生徒に起因する学級の雰囲気はOECD加盟国中で最も良好であるという結果になった。また、家庭の経済状況や教育環境の違いが読解力などに影響する程度が小さく、相対的に平等性の高い教育システムであると言えるとしている。

 PISAは、特定の学校カリキュラムの習得度をみるものではなく、15歳児が持つ知識や技能、概念の理解などを、実生活のさまざまな状況で活用する力を重視している。

 実施に関しては、オーストラリア教育研究所(ACER)とオランダ教育測定研究所(Cito)を中心に、テスト問題開発や結果分析などを行っており、日本では、国立教育政策研究所を中心に、文部科学省および国立大学法人東京工業大学教育工学開発センターと連携して行われた。
《前田 有香》

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