【中学受験の塾選び】首都圏の人気塾の合格力(2012年度版)

 首都圏で人気の5つの進学塾「日能研、SAPIX、四谷大塚、早稲田アカデミー、希学園」について、2月末日時点の速報値を基に難関校・上位校の合格実績を比較し、それぞれの合格力を見ていく。

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表1:学校別に見た各塾の合格者数(2012年度)
  • 表1:学校別に見た各塾の合格者数(2012年度)
  • 表2:学校別に見た各塾の定員に対する合格率(2012年度)
  • 表3:難関・上位校別に見た各塾の定員に対する合格率(2012年度)
  • 表4:塾別に見た各塾の合格者増減数(2012年度)
 2012年度の各進学塾の合格実績がほぼ確定してきた。そこで、首都圏で人気の5つの進学塾「日能研、SAPIX(サピックス)、四谷大塚、早稲田アカデミー、希(のぞみ)学園」について、2月末日時点の速報値を基に難関校・上位校の合格実績を比較し、それぞれの合格力を見ていく。

 合格実績の比較対象とする中学校は次のとおり。難関校としては、男子校の「開成・麻布・武蔵・慶應義塾普通部・栄光学園・聖光学院・筑波大学附属駒場」、女子校の「桜蔭学園・女子学院・雙葉学園・豊島岡女子学園・フェリス女学院」、共学校の「慶應義塾中等部・早稲田実業・渋谷教育学園幕張」、そして上位校としては、男子校の「攻玉社・巣鴨学園・城北・芝・本郷・サレジオ学院・桐朋」、女子校の「鴎友学園・学習院女子・光塩女子学院・横浜雙葉学園・横浜共立学園」、共学校の「青山学院・都立武蔵・明大明治」合計30校だ(※1)。

 これらの中学校は、対象塾が必ずしも首都圏全域で展開している塾ばかりでないため、広い地域から受験生が集まる人気校という条件で、リセマムが独自にピックアップした。なお、上位校の一部については、2011年度版から入れ替えを行っている。

 表1に、中学校別の定員(※2)と塾別の合格実績を示す(※3)。難関校計の1位はSAPIXで、2位の日能研の2倍近い1,977人。これは、難関校の定員計の約3分の2を占める。次いで、3位が四谷大塚、4位が早稲田アカデミー、5位が希学園となっている。

 御三家にフォーカスしてみると、日能研が239人(昨年比+28)、SAPIXが444人(昨年比+5)、四谷大塚が195人(昨年比+13)、早稲田アカデミーが176人(昨年比+48)、希学園が15人(昨年比−5)で、早稲田アカデミーの躍進が目立つ。また、5塾の合計では、開成が483人(昨年比+67)、麻布が390人(昨年比+27)、武蔵が196人(昨年比−5)で、開成における人気塾の合格力の高さがうかがえる。武蔵は、5塾の合計では減っているが、塾別に見ると唯一、早稲田アカデミーは増えている(昨年比+13)。

 上位校計についても、難関校計ほどの圧倒的な強さはないものの、1位はSAPIXで、以下の順位は変わらない。学校別に見てみると、渋谷幕張は、他塾が合格者数を減らす中、四谷大塚が昨年比+58の伸びを示している。城北は、希学園を除く4塾間の合格者数が昨年よりも拮抗してきた。鴎友は、四谷大塚と早稲田アカデミーで昨年の半分以下となっている(ただし、今年の数値が速報値のため、今後増える可能性はある)。早稲田アカデミーは、今年も早稲田実業で最多合格者数を獲得している。

 表2は、表1のそれぞれの合格人数を各中学校の定員数で割り、中学校別・塾別の合格率として計算した結果である(合格者数が定員より多い中学校もあるため、100%を超える場合もある)。塾別に見てみると、SAPIXが18校で最高値を獲得。次いで日能研の6校、早稲田アカデミーの3校、四谷大塚の1校と続く。SAPIXの最高値は、開成、麻布、栄光学園、聖光学院、筑波大学附属駒場、桜蔭、豊島岡女子、慶應義塾中等部といった難関校において、他塾を大きく引き離しているのが特徴的だ。日能研は、武蔵、神奈川の女子校(フェリス、横浜雙葉、横浜共立)で、昨年同様に最多を獲得している。四谷大塚は、昨年は上位校で躍進が目立ったが、今年は難関男子校の合格率を上げた一方、難関・上位ともに女子校で下げている学校が多く見られる。早稲田アカデミーは、男子校や女子校に比べて、共学校での合格率が高い傾向がある。

 表3は、表2の30校を難関・上位別に、男子校・女子校・共学校でまとまた。表1および表2の考察を反映し、すべてにおいてSAPIXが最多となっている。

 表4は、各塾の2010−2011年および2011−2012年の合格者数の増減数を、難関校の男子校・女子校・共学校別にまとめた。2010−2011年は、5塾とも合格者数を伸ばす傾向にあったが、2011−2012年にかけては大きな伸びは見られず、日能研、早稲田アカデミー、希学園では逆に減少している。たとえばSAPIXについて見ると、2010−2011年は、男子校・女子校・共学校すべてにおいて増加し、合計で+191人であったが、2011−2012年は、女子校で増加したものの男子校と共学校で減り、合計では+5人にとどまっている。

 なお、SAPIX、早稲田アカデミー、希学園は塾生数を公表しており、それを基に、2010・2011・2012年の塾生数に占める難関校の合格率を計算すると、SAPIXが40・43・41%、早稲田アカデミーが18・21・21%、希学園が39・50・53%と推移している。


※1 中学校の選択について:難関校・上位校は比較のためにリセマムが独自にピックアップしたものであり、公式に定義されているものではありません。
※2 中学校の定員について:2012年度の東京・神奈川・千葉の各自治体の発表資料、および中学校の募集要項を基に算出しています。また、発表されている帰国生の数を含みます。詳しい内訳および2013年度の募集人員等については、各中学校にお問合せください。
※3 塾の合格実績について:それぞれのWebサイトから得た2012年2月29日現在の情報です。最新の情報については各塾にお問合せください。また、合格実績の定義は、塾生をどの範囲まで含めるか、また重複合格者をどうカウントするか等によって異なります。ここでは各塾が公表している数値をそのまま使用しています。
《柏木由美子》

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