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大学受験に対する意識、高校生と保護者の間に温度差…ベネッセ調査

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ベネッセ教育研究開発研センター
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  • 大学を選択する際の項目
 ベネッセ教育研究開発センターは3月30日、「大学データブック」を公開した。これからの大学教育のあり方を考えるうえの材料として、同センターが2011年度までに実施した調査結果をまとめたもので、高校生の学習・進路選択の状況などが紹介されている。

 2011年に実施された「高校生と保護者の学習・進路に関する意識調査」では、大学生活そのものに重点を置く高校生と、就職などといった大学卒業後を意識する保護者の間に差があることがわかった。大学を選択するうえで重視する項目についての調査では、3,297名の保護者のうちの45.7%が「就職実績が良いこと」を選んだ一方で、同項目を選んだ高校生は3,231名中26.4%に留まった。また、6.4%の高校生は、大学が「大都市にあること」を選択理由のひとつとして上げたが、保護者は2.7%と約半数に留まった。大学生活の充実を望む高校生と、就職などの長期的視野を考慮した上での大学選択を望む保護者との差の現れだろう。

 また、学費や生活費などの経済面を考慮する保護者と、高校生の意識の差も明らかになった。大学を選ぶうえでの項目に「自宅(親元)から通えること」を選んだ保護者は、45.6%と、高校生の32.6%を上回り、「授業料が過度の負担にならないこと」を選んだ保護者も52.8%と、高校生の26.1%を大きく上回った。また、大学の奨学金の充実度を選択項目に選んだ保護者が21.9%だったのに対し、奨学金制度を意識した高校生は10.2%。大学進学における経済面の心配は、保護者が担当する項目だという認識が濃厚だ。

 大学受験そのものに対する意識の違いも興味深い。受験は「自分(子ども)の成長を促すよい機会」だと答えた保護者は70.3%と、高校生の59.1%を大きく上回った一方で、受験をできるだけ楽に済ませたいと考える53.4%の高校生に対し保護者は28.8%。受験そのものに対する高校生と保護者の意識の違いが明らかになった。また、受験勉強は学力をのばす良い機会だと捉える保護者が72.8%いたのに対し、高校生は64.7%。保護者は受験者以上に受験そのものが促す学力向上への期待が高いことが伺える。

 受験を失敗することに対しての危機感は、高校生の62.6%が抱いていることに対し、保護者は46.8%。また、受験で浪人するとその後の人生に不利になると考える学生も26.4%と、保護者の16.8%を上回り、現役合格へのプレッシャーを感じる学生が保護者を上回ったことも興味深い。保護者が感じている以上に、高校生は大学受験に対するプレッシャーを感じているのが現状で、保護者の理解とサポートが不可欠な状態が浮き彫りになった。

 では、大学卒業後を視野に入れた将来への意識はどうだろう。「世界をフィールドに活躍したい」と思う高校生は、有効回答数の4,647のうちの18.4%と低く、世界で活躍してほしいと思う保護者も4,647名のうちの22.4%に留まった。大学においての英語教育の充実度を求める高校生も5.1%と低く、保護者も6.7%に留まった。大学の秋入学や、文科省のグローバル30計画における国内の国際化に向けた取り組みが注目される中、国外に興味がある国内高校生や、彼・彼女らを支援する保護者が極めて少ないことに危機感を覚える人は少なくないだろう。

 経済面や就職に関する現実的な課題を考慮する保護者と、高校・大学生活に重点を置く学生。意識の違いは明らかになったが、国外に向ける視線は依然として最低限だ。国外に通用する人材を育てることを目的とするならば、超えるべきハードルは極めて高い現状が浮き彫りになったのではないだろうか。
《湯浅大資》

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