【読書感想文 1/3】本選びは子どもの目線から、強制は本を嫌いにさせる

 小学生の夏休みの課題で親子ともに頭を悩ませるもののひとつに読書感想文がある。本選びから、内容や構成といった基本的な問題や具体的なテクニックまで、個別指導教室 SS-1の代表小川大介氏に聞いた。

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中学受験 個別指導のSS-1代表、小川大介氏
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 小学生の夏休みの課題で親子ともに頭を悩ませるもののひとつに読書感想文がある。どんな本を選べばいいのか、何を書けばいいのか、といった基本的な問題から、読書が苦手な子どもにどう読書感想文を書かせるのかなど、課題に対する姿勢から具体的なテクニックまで、個別指導教室 SS-1の代表小川大介氏に聞いた。

◆本選びでは子どもの興味を重視、強制は本を嫌いにさせる

 まず、本の選び方からアドバイスをお願いした。小川氏は、子どもが読書好きかそうでないかを保護者がまず理解し、そのうえで本の選び方を考慮すべきだと話す。

 読書好きな子どもには、「視野を広げるという意味で、日ごろ読まない本を選ばせるとよいと思います」と小川氏は話す。読書に抵抗のない子は、放っておいても自分から好きな本を読むので、むしろこのような機会を使って、いつもと違う本を読ませることを推奨する。読書感想文は推薦図書以外でも可能なので、新聞の書評欄を親子で見ながら本選びをするのもひとつの方法だ。本を選ぶ過程での親子の会話は、子ともの知識を深め、世の中を知ることにもつながるだろう。大切なのは、日ごろ読まない本を親が決めるのではなく、会話の中から子どもに選ばせることだと小川氏は話す。

 読書を得意としない子どもたちの本選びは、どのように進めるべきだろうか。小川氏は、推薦図書のリストを活用することをひとつの手段として勧める。そのうえで、「ここでも重要なのは、本人に選択させることであり、選んだ理由は問わないことです。タイトルが面白そうだったから、内容が面白そうだったから、といった子どもなりの理由で十分」だと語る。親が子どもに読んでほしい本を決めたり、その感想において過度な期待をしないことが重要だという。子どもと一緒に書店に足を運び、本選びをひとつのイベントとして捉えるのもひとつの手法だと小川氏はいう。

 何よりも避けたいのは、子どもの読書離れ。読書が子どもたちにとっての新しい世界への窓口だとしたら、感想文は読書への抵抗を減らす機会であるはずだ。小川氏は、「作文を嫌いにさせる先生というのは、子どもの作文に対して添削をたくさん入れる先生」だと語る。その一方で、「子どもを作文好き、苦手に感じさせない先生は、褒めるコメントを入れる(入れることができる)先生」だという。本との出会いやきっかけを大切にし、その出会いは大人が考える「立派」なものでなくてもよいという考え方が必要だという。

 保護者が大人の物差しで読むべき本を与えたり、感じるべき感想を強要したり、先生が子どもの感想に添削したりすることは、子どもたちのメリットにならないだけでなく、委縮し読書嫌いにさせてしまう可能性を秘めている。

 読書感想文を書くうえで、本選びは最初の一歩。だが、その一歩が読書感想文においての子どものモチベーションだけでなく、今後の読書に対する意識を左右する大切な選択であることがわかる。小川氏の話で印象的だったのは、保護者の立ち位置と子どもとの接し方。本選びを家庭内でイベント化することや、求めるだけでなく共感することで伸ばす子どもの能力。本連載では、読書感想文の実践的テクニックなどにも触れていく。今夏ぜひ、ご活用いただきたい。
《中尾真二》

中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。エレクトロニクス、コンピュータの専門知識を活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアで取材・執筆活動を展開。ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

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