【中学受験2013】入試に勝つ9月からの過ごし方<模試の活用>

 中学受験本番まで半年を切った。この大切な時期を、受験生たちはどのように過ごせばいいのだろうか。保護者には何ができるのだろうか。るSS-1の小川大介先生に聞いた。ここでは<模試の活用>について紹介する。

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小川大介先生
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  • SS-1 成城学園前教室の皆さん
 中学受験本番まで半年を切った。この大切な時期を、受験生たちはどのように過ごせばいいのだろうか。保護者には何ができるのだろうか。<模試の活用><勉強法と親のサポート><過去問とスランプ脱出法>について中学受験専門個別指導教室として、難関校へ多数の合格者を送り出しているSS-1の小川大介先生に聞いた。ここでは<模試の活用>について紹介する。

--9月から合格判定模試が始まりますが、その結果をどう捉えたらいいでしょうか。合格率80%、60%、40%それぞれのケースで教えてください。

小川氏:9月は、お子さんの勉強の到達度によって、「まだしばらく基礎力をつけたほうがいいのか」「過去問研究など志望校に向けた勉強をしたほうがいいのか」迷うときです。特に、理科・社会はこの時期、また勉強が完成していないお子さんが多いと思います。

 基礎力強化と志望校対策を同時に100%やることは不可能です。合格判定テストの結果は、その子が、まだしばらく基礎力を強化すべきか、志望校対策に移ったほうがいいのか、両方のバランスを見極めるいい材料になります。

◆合格率80%

 9月の時点で、合格率80%の子は、志望校の過去問演習に重点を置いて鍛えていっていい。あるいは、本人にその気があれば、もっと上の学校を目指すのもいいでしょう。

 80%の学校が第一志望に決定しているのであれば安心するのではなく、「これから半年はみんなが頑張って成績を上げてくるから、自分も同じくらい頑張らないと11月の合格判定模試のときには下がってしまうぞ」ということは言ってあげないといけません。

◆合格率60%

 合格率60%の子の場合は、「(1)すべての科目がまんべんなく60%の子」「(2)得意不得意があり、科目によって80%、40%とムラがある子」とでは、対策が異なります。

 (1)のお子さんは、基礎力が足りないので志望校対策に入る前に基礎力強化をしなければなりません。(2)のお子さんは、得意な(合格率80%の)科目は志望校別対策に入ってもいいのですが、苦手な科目は引き続き基礎力強化が必要です。

◆合格率40%

 合格率40%の子は、「(2)第一志望は40%しかないが、第2志望、第3志望では60%以上」「(2) 第一志望もそれ以外もすべて40%以下」の場合で分けて考えます。

 (1)は、押さえの学校が合格圏に入っているのであれば、志望校対策に入っていいでしょう。(2)は、基礎力の強化と、志望校の見直しが必要です。

 いずれにせよ、最終的な志望校の決定は11月までにできればいいですから、9月の時点では、本人が模試の結果を自分で反省し、挽回しようという気持ちがあるのなら、まだまだチャレンジしていいと思います。

--合格率60%で、国算は80%だけれど、理社の知識が足りなくて低い、というお子さんの場合、どうしたらいいでしょうか。

小川氏:トータルで一番点を上げられる方法を考えます。たとえば、算数で10点アップするのは難しいですが、社会で10点アップするのは算数よりも簡単です。国算がよくできているのであれば、国語に10時間かけるよりは、社会に10時間かけたほうがいいでしょう。

--他塾の模試は受けたほうがいいのですか?

小川氏:サピックス(SAPIX小学部)の場合、志望校別の模試、日々の授業の到達度を確認するテスト、合否判定のテストなどいろいろなテストがあります。このうえ、他塾の模試を受ける余裕はないでしょう。

 ただし、サピックスの場合、テストの内容が、難関校に合わせたものになっていて、中堅校を志望するお子さんには合っていません。中堅校を志望するお子さんは、サピックスの模試を受けずに四谷大塚の合不合の模試を受けたほうがいいでしょう。

 逆に、日能研、四谷大塚、早稲田アカデミーで難関校を目指すお子さんは、サピックスの模試を受けるとよいでしょう。一部、サピックスの模試を受けるよう、奨励している塾もあります。

--その他、模試の活用についてお聞かせください。

 模試は、「(1)資料として合格判定の数字を求める」「(2)その子の学習成果を高める」の2つの活用法があります。

 基礎力が十分についている子なら、(1)の目的で、自分の力を試すために模試を受ければいいでしょう。

 一通り勉強が終わっていない子は(2)の利用法で、模試の結果を、苦手を知りそれを克服するための材料とします。また、模試の問題をざっと見て、解ける問題、解けない問題を見極め、解ける問題だけは解いて手堅く点数を取るための訓練の場とする。この場合は、判定の結果は特に気にする必要はありません。

--模試はいつまで受けるべきですか?

小川氏:11月の模試が志望校判定の一つの節目です。12月の他塾の模試は、勉強がある程度終わっていて中だるみするのを防ぐためという子や、体調などの問題で11月の模試が受けられなかった子が受けるのはいいですが、判定を期待して受けるものではありません。
《石井栄子》

石井栄子

子育てから、健康、食、教育、留学、政治まで幅広いジャンルで執筆・編集活動を行うフリーライター兼編集者。趣味は登山とヒップホップダンス、英語の勉強。「いつか英語がペラペラに!」を夢に、オンライン英会話で細々と勉強を続けている。最近編集を手掛けた本:『10歳からの図解でわかるSDGs「17の目標」と「自分にできること」』(平本督太郎著 メイツ出版)、『10代から知っておきたいメンタルケア しんどい時の自分の守り方』(増田史著 ナツメ社)『13歳からの著作権 正しく使う・作る・発信するための 「権利」とのつきあい方がわかる本』(久保田裕監修 メイツ出版)ほか多数

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