小3保護者の半数が「中学受験」検討…公立中高一貫校の増加で多様に

 公立中高一貫校の増加で、中学受験をする層が多様化しており、小3時点で保護者の半数が中学受験を検討中であることが、ベネッセ教育研究開発センターの「首都圏保護者の中学受験に関する意識調査」結果から明らかになった。

教育・受験 受験
中学受験をさせる予定
  • 中学受験をさせる予定
  • 中学受験の第一志望校
  • 中学受験をさせようと思う中学校
  • 中学受験をさせる保護者の世帯収入と学歴
  • 中学受験をやめさせようと思ったこと
  • 中学受験をやめさせようと思った理由
  • 中学受験を最初に言い出した人
  • ふだんの子どもの学習への関わり
 公立中高一貫校の増加で、中学受験をする層が多様化しており、小3時点で保護者の半数が中学受験を検討中であることが、ベネッセ教育研究開発センターの「首都圏保護者の中学受験に関する意識調査」結果から明らかになった。

 調査は2012年9月、首都圏の公立小学校3年生から6年生の子どもをもつ父親・母親5,256名を対象にインターネットを通じて実施した。

 中学受験をさせる予定の保護者は、小学校3~6年生全体の17.5%、6年生のみでは23.3%。そのうち、52.8%は私立中学校、7.5%は国立大学の附属中学校、33.9%は公立中高一貫校を第一志望としていた。また、約2割の保護者が、私立中学校と公立中高一貫校の両方の受験(受検)を検討していた。

 3割強が志願した公立中高一貫校は、私立中学校に比べて、さまざまな層に選ばれていることが分かった。私立中学校第一志望者は、世帯年収が「1,000万円以上」40.3%、「400万円未満」3.5%、「父親・母親の学歴がともに大学・大学院卒」45.3%なのに対し、公立中高一貫校第一志望者は、世帯年収が「1,000万円以上」17.6%、「400万円未満」6.7%、「父親・母親の学歴がともに大学・大学院卒」28.2%だった。

 小学校3年生時点で、「中学受験しない」と回答した保護者は半数にとどまり、約4割は「まだ決めていない」と保留。小学校6年生で「まだ決めていない」と回答した人も1割弱おり、「受験する・しない」の検討は長期化していることもわかった。

 中学受験をさせる予定の保護者(6年生)のうち44.3%が、受験をやめさせようと思ったことが「あった」と回答。理由には、子どものやる気、疲れ、ストレス、生活のゆとりなど、子どもの負担に関することが多数を占めたほか、受験準備費用、中学入学後の授業料など金銭面の負担、親子関係の悪化に関することも多数挙げられた。

 中学受験を最初に言い出した人は、母親52.3%、子ども自身22.1%、父親23.8%と、母親が主導している比率が高かった。また、中学受験をさせる予定の親は、中学受験をさせない予定の親に比べて、子どもの学習への関わりが強いことも判明。父親では「テストの点数を確認する」(15.5ポイント差)、「勉強している内容を確認する」(13.3ポイント差)、「勉強の意義や大切さを伝える」(16.8ポイント差)、母親は「勉強の計画を一緒に立てる」(22.9ポイント差)、「勉強の計画を管理する」(23.2ポイント差)、「中学校に関する情報を収集する」(61.4ポイント差)など、中学受験予定による差が大きく表れ、中学受験が家族ぐるみの取り組みになっている実態が浮き彫りになった。

 同センターでは、「公立中高一貫校が、より多くの家庭に選択の機会を提供することになったことは評価すべき点といえる。一方で、より多様な選択肢ができたこともあり、保護者の負担や悩みが長期にわたっていることは課題。中学受験の長期にわたる負担を軽減することについても検討する必要があるのではないか」としている。
《奥山直美》

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