大人に見えない子ども向け広告、スペインの児童保護団体が活用

 スペインの児童保護団体「ANAR」は、子どもにしか見えないポスターを掲載し、虐待などの加害者である大人と一緒にいる場合でも、気付かれることなく相談窓口の電話番号が表示される仕組みとなっている。

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大人が見たポスター
  • 大人が見たポスター
  • 子どもが見たポスター
  • 身長の違いで異なるメッセージを表示
 スペインの児童保護団体「ANAR」は、子どもにしか見えないポスターを掲載。虐待の加害者である大人と一緒にいる場合でも、子どもが気付かれることなく相談窓口の電話番号を見ることができる仕組みとなっている。

 ANARは、1970年にスペインに設立された非政府組織。児童保護団体として、カウンセリングや24時間態勢の相談窓口などのサービスをスペインのほかコロンビア・ペルー・メキシコなどでも提供している。

 今回掲載されたポスターは、アジェンシア・グレイ(Agencia Grey)という広告会社がANARのために制作したもので、ポスターを見る角度によって異なるメッセージが表示される仕組みになっている。子どもの身長から見た場合は「誰かに傷つけられているなら電話して、私たちが助けます」というメッセージとともに、電話番号が表示される。その一方で大人の目線から見た場合は、「児童虐待は、子どにしか見えないことがある」というメッセージが表示される。

 大人と子どもに異なるメッセージを表示するよう企画した背景には、ANARが2013年4月25日に発表した調査データがある。同調査によると、2012年にANARが助けた1,778名の被害者うち、父親が加害者だった場合が22.5%、母親が15.5%、継父・継母が8%、両親が6.3%だったという。

 この調査結果から、加害者である親と一緒にポスターを見た場合でも、加害者に気付かれずに相談窓口の電話番号を知ることができるようポスターが作られたようだ。

《湯浅大資》

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