「反転授業」の活かし方を考える…佐賀県武雄市が試行

 児童が自宅に持ち帰ったタブレットを使って従来の授業内容を学習したうえで、学校で発展的な内容を学ぶという武雄市の「反転授業」。9月24日、朝日新聞朝刊にドーンと掲載され、「教育」カテゴリの話題の中でバズワード化した。

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写真はイメージです。本文とは関係ありません
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2.低学年ほど、大人が映像を見るよう促す必要があり、保護者の協力が欠かせないことだ。家庭環境の厳しい子どもには、放課後に学習の場を設けるなどの工夫がいる。

 ここでも、次のように疑問視する声が聞こえてきます。

・保護者のしつけや、学習の関与度の差がさらなる学力格差を生み、学校のクラスでの授業がより難しくなるのでは?

 これもそのとおりの部分はあるかと思います。だからこそ朝日新聞のコメントでも「家庭環境の厳しい子どもには、放課後に学習の場を設けるなどの工夫がいる。」とあるわけです。

 一方、反転授業うんぬんは別にして、「家庭学習への保護者の協力が、いまの社会的温度感のままで良いのか?」という問題があります。

 もちろん「いまのままで良い」という意見もあるでしょうが、僕は「もうちょっと、保護者が家庭学習を支援しませんか? ちょっとした協力を低学年からしておくことで、将来の学力形成に大きく寄与しますよ」という意見です。

 やや古いデータですが、平成17年の家庭学習時間のデータ(文科省資料)を見ても、(当然ですが)学力の高低と家庭学習時間には相関がありますし、注目したいのは、その相関が、小学生から高校生になるにつれて著しくなる、という点です。

 小学校低学年のうちから、単に「(家庭学習を)やっている」だけではなく、「(家庭学習を)進んでやっている」という状態を形成することで、学習が習慣となり、将来に渡り、学力形成に寄与する家庭学習に取り組める人間になることが期待できるのではないだろうか、と。そしてこれはとても大切なことなのではないだろうか、と。

 保護者の協力といっても、なんでもかんでも関与するということではありません。これについては、保護者の「家庭学習支援力」のモデル(ベネッセ)がとてもキレイに表現しています。

 余談ですが、勤務先のZ会の小学生コース、特に1年生・2年生のコースは、保護者が協力する「シカケ」をつくり、自然な形で支援するシーンを創ることで、学力形成に大きく寄与させようとしています。

 話を反転授業に戻します。「学力形成に、家庭学習における保護者の協力は大切だ」の立場に立てば、「タブレット教材」ができることによって、次のような部分が、以前よりは増すと思います。

・子どもが進んで勉強するようになり、わからないところで保護者に「進んで」声をかけたくなる心理醸成が期待できる
・そのシーンの繰り返しで、自然に保護者が家庭学習の支援をするようになっている状態が形成できると期待できる
《寺西隆行》

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