気づきや成長を促す“旅のチカラ”…JTB交流文化賞8/1募集開始

 旅の体験記や観光交流・地域活性化の取組みを募集する「JTB交流文化賞」が今年、記念すべき第10回目を迎える。ジュニア部門を中心に、JTBブランド戦略推進室の原禎芳グループリーダーに話を聞いた。

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JTBブランド戦略推進室の原禎芳氏
  • JTBブランド戦略推進室の原禎芳氏
  • 原禎芳氏
 旅の体験記や観光交流・地域活性化の取組みを募集する「JTB交流文化賞」が今年、記念すべき第10回目を迎える。ジェイティービー(JTB)は8月1日から9月15日まで、交流文化賞(組織・団体)、交流文化体験賞 一般部門(高校生以上一般個人)、交流文化体験賞 ジュニア部門(小学生・中学生)の各作品を募集する。

◆賞を通じて旅の魅力や意義を伝えたい

 2012年にスタートし、昨年は801本の応募があった交流文化体験賞 ジュニア部門を中心に、JTBブランド戦略推進室の原禎芳氏に話を聞いた。

 「われわれが目指すのは交流の創出です。交流とは人と人、人と地域、人と文化、あらゆるものを指します。交流から、文化が生まれ、新しい価値が生まれ、それはやがて経済発展や世界平和にもつながる。交流文化の一つの手段が旅なのです。」と原氏。

 だが近年、わざわざ出かけて行かなくてもネットで見られると、旅に興味をもたない若者も気になるところだという。「しかし、実際にその場に行くことでしか得られない感動、気づきがある。この賞を通じて旅本来の魅力や意義を伝えたい。」と語る。

◆旅のチカラ

 「私たちは“旅のチカラ”と呼んでいるのですが、旅にはさまざまな効果があります。旅を通じて家族の絆が深まる、会話が生まれる、知らない人との出会いの中から何かを発見する、知らなかった何かに気づく。しかも、旅が嫌いだという人は少ない。これだけ多くの人から愛され、さまざまな気づきを与えてくれるものは、旅のほかに、ないのではないでしょうか。」

 JTBの調査によると子どものときに旅を経験した人は、大人になってからも旅に行く傾向が強いという(2009年「20代独身男女 過去3年間の旅行経験に基づくアンケート調査」)。原氏自身は10歳のときに新幹線に乗って一人旅をした経験をもち、このとき「一人でものを考えて判断する」ことを学んだという。

 「子どものときの旅の経験が素晴らしければ素晴らしいほど、大人になってから自分の子どもにも同じ思いをしてほしいと子どもを旅に連れていく、そんなよい循環が生まれることを願っています。」と言う。

◆子どもならではの気づき、成長がジュニア部門の特徴

 ジュニア部門には、小学生の部と中学生の部がある。ジュニア部門に応募してくる作品には、一般部門(高校生以上)の作品との決定的な違いがあるという。「それは、旅の経験の中に、必ず子どもたちなりの気づきや成長の跡が見えること」と原氏。

 たとえば、中学生の部で最優秀賞を受賞した、「旅のお土産」という作品は、友だちと電車に乗って昔住んでいた土地を久しぶりに訪ね、昔馴染みのたこ焼き屋でたこ焼きを買う、それだけのストーリーだ。しかし、その過程で描かれた、「弟にぜひ懐かしいたこ焼きを食べさせたい」という思い、たこ焼き屋のおじさんとの心のふれあい、同行の友人たちとの友情、家族の絆が読む者の心を打つ。

 「子どもたちは、電車の待ち時間のちょっとした出来事や、ふとすれ違った人と交わした一言、大人なら見過ごしてしまうような小さな出来事から、多くのことを感じているのです。子どもならではの気づきや視点の中に、私たちも、旅本来の素晴らしさに気づかされます。」

◆観光地に行くことだけが旅ではない

 応募作品は、立教大学観光学部の安島博幸教授、作家の森まゆみ氏、VISIT JAPAN大使の政所利子氏、元NHKアナウンサーの松平定知氏、ジャーナリストの見城美枝子氏、JTB常務取締役の久保田穣氏の6人の選考委員が審査し、各々について最優秀賞1作、優秀賞2作、ジュニア部門はそれに加え入選5作を決定する。

 昨年の第9回の授賞式は、1月23日(木)に京王プラザホテルで行われた。小学生の部の最優秀賞、優秀賞をそれぞれ受賞したのは井崎英乃(あやの)さんと英里(えり)さんの姉妹。姉の英乃さんは「今回このような素晴らしい賞をいただき、とてもうれしく思います。また、妹の英里まで優秀賞をいただき、家族でたいへん驚いています。」と喜びを語った。応募のきっかけは「2分の1成人の10歳の思い出、これからの自分への課題として、この作品を書きました」とし、「これからたくさん勉強し、いつか素敵な日本語を使える女性になりたいと思っています」と語った。

 ジュニア部門の応募は自筆による手書きで、受付けは郵送のみ。規定文字数の作文に、絵や写真の添付も可能だ。なお、未発表作品に限られるが、学校内展示作品は応募可能。

 体験談は、過去1年の体験であればいい。泊りがけで遠くに出かけた旅だけでなく、徒歩や自転車、車で出かけたことや、自分の街を訪れた人との出会いなども対象となる。「ちょっと遠出をして知らないことを経験した、知らない人と出会った、非日常の空間に身を置いて何かを感じたという体験であれば、それは旅です。『こんな体験ではだめだな』と考えないで、どんどん応募してほしいですね。文章が上手かどうかも関係ありません。文章力よりも、旅を通じて自分は何を感じたか、どう成長したか、旅の素晴らしさを感じさせる体験談をお待ちしています」と原氏は締めくくった。

◆第10回 JTB交流文化賞 概要
・部門と対象・副賞
 交流文化賞(対象:組織・団体)
  副賞:最優秀賞 賞金100万円、優秀賞 賞金50万円
 交流文化体験賞 一般部門(対象:高校生以上一般個人)
  副賞:最優秀賞 賞金20万円、優秀賞 賞金10万円
 交流文化体験賞 ジュニア部門(対象:小学生・中学生)
  副賞:最優秀賞 旅行券10万円、優秀賞 旅行券5万円、入選 旅行券1万円
※個人参加、学校やクラスなど団体での参加ともに可

・募集期間
 8月1日(金)~9月15日(月・祝)
《石井栄子》

石井栄子

子育てから、健康、食、教育、留学、政治まで幅広いジャンルで執筆・編集活動を行うフリーライター兼編集者。趣味は登山とヒップホップダンス、英語の勉強。「いつか英語がペラペラに!」を夢に、オンライン英会話で細々と勉強を続けている。最近編集を手掛けた本:『10歳からの図解でわかるSDGs「17の目標」と「自分にできること」』(平本督太郎著 メイツ出版)、『10代から知っておきたいメンタルケア しんどい時の自分の守り方』(増田史著 ナツメ社)『13歳からの著作権 正しく使う・作る・発信するための 「権利」とのつきあい方がわかる本』(久保田裕監修 メイツ出版)ほか多数

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