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国連機関とEFのサマースクールで見た、国際社会で活躍する世界の若者たち

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サマースクール参加者
  • サマースクール参加者
  • ニューヨーク観光を楽しむ参加者
  • 参加者による活動団体の紹介
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  • グループワークはキャンパスのさまざまな場所で行われた
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  • 国連本部の訪問
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 国連機関のUNAOCとグローバルに教育事業を展開するEFは、8月17日から22日までの6日間、世界の70か国より75名の若者を対象にしたサマースクールをニューヨーク州タリータウンにて実施した。世界が期待する若者として10万人の応募者の中から選ばれた75名は、6日間のセミナーやワークショップに参加した。

 UNAOCとEFが世界中の若者を対象にサマースクールを行うのは今回が2度目。UNAOCは、2005年に当時の事務総長コフィー・アナン氏が立ち上げた国連機関で、宗教的信条と伝統に対する相互尊重を推進し、あらゆる分野で強まる人類の相互依存を再確認することを目的としている。留学や語学教育を通じて人類の相互理解を高めることを目的に事業を展開しているEFと理念が一致したことから、サマースクールが開設されたという。

 2度目の実施となった今回のサマースクールには、世界中から約10万人が応募。英語でのコミュニケーション能力を前提に、国際問題に高い意識と関心をもつ世界中の若者(18~35歳)75名が選ばれた。サマースクールは、セミナー、ワークショップ、ディスカッションなどを通じて国際問題に対するアプローチ、解決策などをともに考え、共通の課題をもとに国境を超えた連携を図ることを目的としている。日本からは、早稲田大学の梅澤直人さんとカタール大学大学院の後藤真実さんの2名が参加した。

 参加者は、8月16日にニューヨーク州タリータウンにあるEFのニューヨーク校に集結。サマースクール初日の17日は、ニューヨーク市の観光、セントラルパークでのピクニック、ボートツアーなど、国連が本部を置くニューヨーク市を楽しんだ。

 サマースクールが本格的に始まったのは2日目の18日。午前中に行われた開講式では、UNAOCディレクターのマシュー・ホーズ氏、紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表のザイナブ・ハワ・バングーラ氏、EFランゲージ・センター最高責任者エバ・コッカム氏が登壇。米国内名門大学の競争率を超える厳しい選抜基準を通過してサマースクールに参加していることを誇り感じてほしいという激励とともに、登壇者はさまざまな課題を抱える国際社会の次世代リーダーとしての自覚をもって活動に励んでほしいと語った。

 2日目と3日目はグループワークを中心としたセミナーがEFのニューヨーク校で実施された。コロンビア大学のウィリアム・ガルデリ准教授は「世界市民」の概念、ハーバード大学のジョシュア・ワイス氏は交渉術、Institute of Narrative Growthのマーク・ゴンザレス氏は背景の異なる人々との接し方など、国際社会における活動に必要な知識やスキルを参加者に伝えた。

 2日目の夜には、75名の各参加者がそれぞれ活動している団体の紹介ブースが設けられ、参加者同士が各ブースを回って意見交換を行った。アジア新興国における社会事業家のコンサルティングを行うNPO「very50」で活動する早稲田大学の梅澤さんや、日本を拠点に活動する国際人権NGO「Human Rights Now」でボランティア活動をするカタール大学大学院生の後藤さんは、それぞれが所属する団体の紹介ブースを設置し、ほかの参加者に事業内容を紹介していた。

 各参加者が携わる事業は、参加者それぞれの背景や興味・関心を表していることが多く、興味深い。ガンビアの大学の法学部で学ぶ19歳のハディ・ジョンガさんは、女性の権利に関する国内のさまざまな法案の立案に関わってきたと話す。現在は、大学生としての生活だけでなく、18歳から35歳の女性を対象としたワークショップを開催し、女性が活躍するためのノウハウやスキルを伝授し、政治参加の必要性を促しているという。

 グルジアのマリアム・パレケラシビリさんは、大学を卒業したばかりでありながら、同国で「Cooperation for Peace and Progress(CPP)」というNPOを設立。紛争が続いたグルジアの歴史的背景から平和を探る必要性を感じ、今回のサマースクールでは、他国の活動家とのネットワーク構築および意見交換を求めたと話す。

 75名の参加者それぞれは、自身の経験や知識をもとに国際的な問題を解決しようと活動している。解決しようと試みる課題は、紛争後の平和構築から、人権問題、社会事業の設立など幅広いが、コミュニケーションのベースとなる英語能力とそれぞれの活動に注ぐ熱意は同じだ。互いに意見交換を行いながらネットワークを構築し、それぞれの活動に効果的なノウハウを探る過程がレベルの高さを物語っていた。

 サマースクールの4日目は、参加者がニューヨーク市内の国連本部を訪問し、本部内の施設を見学。国連安全保障理事会が実際に行われる部屋に誘導された参加者たちは、ヤン・エリアソン国連副事務総長の話を聞き、質疑応答を行った。エリアソン氏の「情熱なしには何も成し遂げられない」という言葉が日々の活動に励む参加者に響いたのではないだろうか。

 5日目、6日目に行われたグループワークを中心としたセミナーが終了すると、参加者は各々、サマースクールで受けた刺激を活動に移すための帰路に就いた。日本から参加した梅澤さんは、数週間後にワシントンで開催されるワークショップに参加するためにまた米国に来ると今後の動向を明らかにした。後藤さんは、人権問題をテーマにしたセミナーに参加するために、英国に向かうという。参加者の活動範囲は常に世界を舞台にしており、国境に捕われずに動く若者たちの姿が印象的だった。

 サマースクールについてEFの日本法人EFジャパンの代表取締役社長の中村淳之介氏は、厳しい選抜基準の中で選ばれた日本人が2名もいたことが嬉しいとコメントし、世界レベルで認められる若者が日本にもいるという自信をもらったと話す。中村氏は、留学はあくまでも手段だと説明、大きな目標を実現するために留学する中高生、大学生を増やしていきたいと語った。

 文部科学省の発表によると、日本人の海外留学者数は減少傾向にあるが、留学の関心度は高まっているようだ。中村氏によると、EFジャパンは、短期留学、半年以上の長期留学、海外の大学進学に向けた準備コースの3つの留学コースを用意している。留学には、語学学習という側面もあるが、海外で生活をする、さまざまな国の人とコミュニケーションをとるという部分が大切だ。一度留学を体験すると、子どもたちの中の何かが変わると中村氏は説明し、特に中高生の若い時に経験することが帰国後の大学生活などによい影響を与えるだろうとコメントした。

 今後は、世界に目を向ける子どもたちが増え、日本からのサマースクール応募者が増えることを中村氏は期待している。募集内容は毎年5月ごろに発表されるようで、約1か月の募集期間が設けられる。2015年も日本からの参加者がサマースクールで活躍する姿に期待したい。
《湯浅大資》

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