大学図書館、資料費は705億円…課題は電子ジャーナル購入経費

 文部科学省は3月31日、平成26年度「学術情報基盤実態調査」の結果を公表した。平成25年度の図書館資料費の総額は、電子ジャーナルにかかわる経費の増加から、前年度より1.4%増え、705億円となった。「機関リポジトリ」を持つ大学は、半数近くにまで増えた。

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図書館資料費・図書館運営費の推移
  • 図書館資料費・図書館運営費の推移
  • 図書館資料費の推移と内訳
  • 大学図書館における電子書籍のタイトル数の推移
  • 機関リポジトリを構築(公開)している大学数の推移
  • アクティブ・ラーニング・スペース設置大学数の推移
  • 大学図書館の組織・運営面における課題
  • 大学図書館の経費・設備面における課題
  • 大学図書館の機能面における課題
 文部科学省は3月31日、平成26年度「学術情報基盤実態調査」の結果を公表した。平成25年度の図書館資料費の総額は、電子ジャーナルにかかわる経費の増加から、前年度より1.4%増え、705億円となった。「機関リポジトリ」を持つ大学は、半数近くにまで増えた。

 調査は、大学の研究教育活動を支える大学図書館とコンピュータ・ネットワーク環境の現状を明らかにし、改善・充実への基礎資料にするため、平成17年度から実施されている。全国779校の国公私立大学がオンライン調査システムで回答した。

 平成25年度の図書館運営費の総額は、前年度比2.8%減の804億4,500万円。図書館資料費の総額は、前年度比1.4%増の705億5,400万円。このうち、電子ジャーナルにかかわる経費が245億9,600万円と34.9%を占めている。

 電子書籍のタイトル数(延べ数)は、平成25年度までに約470万タイトルに増加。このうち、海外出版社によるものが約97%にのぼっている。

 教育研究成果をインターネット上で無償公開するシステム「機関リポジトリ」を持つ大学は、平成25年度は373大学(47.9%)。前年度より100校以上増加した。機関リポジトリに登録されているコンテンツは、約半数が紀要論文となっている。

 複数の学生が集まり、さまざまな情報資源を活用しながら議論を進めていく学習スタイルを可能とする場「アクティブ・ラーニング・スペース」は、3年間で約2.5倍に増加。平成26年度は、338大学(43.4%)が設置している。

 大学図書館における課題では、組織・運営面は「専門性を有する人材の確保」(77.0%)と「教員との協働・連携」(73.8%)が8割近くにのぼった。経費・設備面では「外国雑誌・電子ジャーナル購入にかかわる経費の確保」(82.7%)、機能面では「利用者サービスの向上」(84.3%)とする大学が多かった。

 一方、ネットワークを介した遠隔教育は、平成25年度は281大学(36.1%)が実施。講義映像などを電子的に録画・保存し、利活用するデジタルアーカイブは、189大学(24.3%)が整備していた。

 セキュリティポリシーは、すべての国立大学が策定。全体では、平成26年度は540大学(69.3%)が策定していた。学内認証基盤を構築し、複数の学内システムの統一的な利便性・安全性を高めているのは599大学(76.9%)であった。

 情報システムをクラウド化しているのは、平成26年度は555大学(71.2%)。クラウド化の効果は「管理・運用などにかかるコストの軽減」、クラウド化しない理由は「セキュリティ面・信頼性への不安」という回答がもっとも多かった。
《奥山直美》

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