院生の4人に1人、奨学金で500万円以上の借金…返済に不安

 全国大学院生協議会(全院協)が大学院生の実態に関するアンケートを行った結果、 大学院生の3人に1人が週10時間以上のアルバイトに追われており、また奨学金を借入しているうちの4人に1人が500万円以上の借金をしていることが明らかになった。

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奨学金借入者の借入総額
  • 奨学金借入者の借入総額
  • 何らかのアルバイトに従事する大学院生の割合
  • 研究時間を十分に確保できていない理由
  • 授業料、研究費、生活費の負担主体
  • 奨学金借入経験者の、奨学金返済への不安(課程別)
  • 奨学金借入経験者の、奨学金返済への不安(借入額別)
 全国大学院生協議会(全院協)が大学院生の実態に関するアンケートを行った結果、 大学院生の3人に1人が週10時間以上のアルバイトに追われており、また奨学金を借入しているうちの4人に1人が500万円以上の借金をしていることが明らかになった。

 アンケートは6月15日~9月15日に全院協が実施し、118国公私立大学の大学院生1051人から回答を得た。

 実施したアンケートでは、大学院生全体の69.0%が何らかのアルバイトに従事しており、そのうちの3人に1人が、週10時間以上のアルバイトに追われていることがわかった。一方、「研究時間は充分に確保できているか」という質問に対しては、大学院生全体の27.5%、4人に1人以上が、アルバイトによって研究時間が確保できていないと回答している。

 奨学金については、利用している大学院生の50.2%が貸与型奨学金を利用していると回答。そのうちの49.5%が300万円以上の借入、25.3%が500万円以上の借入をしており、10人に1人以上の12.6%が、700万円以上の借入をしていることがわかった。1000万円以上の借入をしている大学院生も2.6%おり、大学院生の借金の重さが伺える。

 また授業料・研究費・生活費などを、おもにどのようなお金で負担しているかというアンケートでは、研究費、生活費を「アルバイト」で負担しているという回答数が「奨学金」の回答数を上回っていた。これは、アルバイトに研究時間を削られてでも、奨学金による借金を避けていることを示しているという。

 奨学金返済への不安についてのアンケートでは、84.6%が返済への不安について「かなりある」または「多少ある」と回答。これは過去のアンケートと比較して、もっとも大きい数値だという。返済への不安についての数値は、学年があがるほど、また借入額が高額なほど大きく、多くの大学院生が、社会に出る前に大きな借金を背負うことの、心理的負担の重さを示す結果となった。

 全院協は、アンケートで明らかになった大学院生の声や実態をもとに、12月4日に国会要請を行うという。
《塩田純子》

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