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諸外国のプログラミング教育事情再掲載…英国は小学校段階で週1時間

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文部科学省「教育の情報化」
  • 文部科学省「教育の情報化」
  • 英国(イングランド)の学校系統図
  • ロシアの学校系統図
 文部科学省は12月18日、6月に公表した「諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究の報告書」を再度掲載した。23の国・地域を調査し、各国のプログラミング教育の現状、目標、指導内容などをまとたもの。文部科学省の「教育の情報化」サイトに掲載されている。

 情報教育指導力向上支援事業「諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究」は、各国のプログラミング教育の位置づけや教育内容、指導方法などについての調査結果をまとめたもの。諸外国における現状を把握し、今後の施策検討等の基礎資料とすることを目的としている。

 調査対象となったのは、英国(イングランド)、エストニア、フランス、ドイツ、米国(カリフォルニア州)、シンガポール、インドなど23の国・地域。「プログラミング教育に関して先進的な取組みを行っている」、「国際的な学習到達度調査において評価が上位となっている」という2つの観点から選ばれた。

 調査の結果、ナショナルカリキュラムのもと、プログラミング教育を普通教科として単独で実施している国はなかったが、情報教育やコンピューターサイエンスに関わる教科での実施が見られたという。日本の小学校に相当する初等教育段階では、英国(イングランド)、ハンガリー、ロシアが必修科目として実施していた。また、中学校に相当する前期中等教育段階では、上記の3か国に加え香港が必修科目として実施、韓国、シンガポールが選択科目として実施していた。

 高校に相当する後期中等教育段階では、ロシア、上海、イスラエルが必修科目として、英国(イングランド)、フランス、イタリア、スウェーデン、ハンガリー、カナダ(オンタリオ州)、アルゼンチン、韓国などが選択科目として実施していた。

 英国(イングランド)では2014年9月より、従来の「ICT」を改め、新たな教科「Computing」を実施、小学校から中学・高校まで系統的に学習している。教科「Computing」は、CS(Computer Science)、IT(Information Technology)、DL(Digital Literacy)の3分野で構成。アルゴリズムの理解、プログラミングの作成とデバッグ、情報技術の安全な利用方法などを指導内容となっている。

 現地ヒアリングによると、一般的な指導時間は、プライマリースクールおよびセカンダリースクールKey Stage3では週1時間(年間約30時間)程度。セカンダリースクールのKey Stage4(「Computing」を履修している者)では、少なくとも週2時間程度となっていた。

 プライマリースクールは基本的に学級担任制のため、「Computing」専任の教員はいない。教科担当制のセカンダリースクールでは、専任の教員が指導しているが、ほとんどは以前「ICT」を指導していた教員だという。ただし、「Computing」の教員が不足していることもあり、数学や理科の教員が指導する場合もある。教員の知識・スキル不足、セカンダリースクールの教員不足、Key Stage3での指導時数不足が課題となっているようだ。

 ロシアではプログラミング関連の授業を2-11年生で一貫して教え、必修化している。2-4年生では、ほかの関連教科の一部としてアルゴリズムの初歩を教え、5-9年生・10-11年生は独立教科「インフォルマティカとICT」としてプログラミング教育を教えている。教科書は関連するDVDも含めて、出版社が発行するものを国が認定、その中から地域・学校ごとに選択する仕組み。指導時間は、3-4学年で2年間20~25時間、5-7学年は地域ごとの裁量、8-9学年で2年間105時間、10-11学年では「ICTベーシックレベル」で2年間70時間、「ICTプロファイルレベル」で2時間280時間となっている。

 また、多くの国で、特に初等教育段階において、体験的に論理的な思考や情報技術に関する理解を深める活動が行われていた。課題としては、プログラミング教育の体系化や指導者不足などがあがっていた。

 なお、「諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究の報告書」は当初6月10日に文科省Webサイトに掲載されたが、6月13日時点で非掲載とされた。調査のやり直しやデータ更新はないが、調査書の表記に関し見直しを行い、12月18日に再度掲載された。報告書は現在、文科省Webサイト内の「情報教育指導力向上支援事業(諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究)」で閲覧可能。
《黄金崎綾乃》

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