子育て中の介護「ダブルケア」…30代4人に1人が身近な問題

 ソニー生命や研究グループは、「ダブルケア」に関する調査の結果を公表した。ダブルケアとは、子育てと介護に同時に携わることで、晩婚化や出産年齢の高齢化で直面する人が増えている。調査では30代の4人に1人が身近な問題と回答し、今後も増加することがうかがえる。

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 ソニー生命や大学の研究グループは、「ダブルケア」に関する調査の結果を公表した。ダブルケアとは、子育てと介護に同時に携わることで、晩婚化や出産年齢の高齢化で直面する人が増えている。調査では30代の4人に1人が身近な問題と回答し、今後も増加することがうかがえる。

 「ダブルケア」は、横浜国立大学准教授・相馬直子氏とイギリスのブリストル大学講師・山下順子氏の研究グループが作った「造語」。これまで、ダブルケアの調査は横浜や静岡、京都などで子育てメールマガジンや子育て支援センターなどで行ってきたが、今回はソニー生命と共同で初めて全国調査を実施した。対象は全国の大学生以下の子どもを持つ母親1,000人。

 「ダブルケアという言葉を聞いたことがあるか」という質問では、「ある」と回答した人は8.1%で、ほとんどの人がまだ耳にしたことがなかったが、ダブルケアを経験したことのある人の2割は聞いたことがあった。

 ダブルケア(子育てと親・義親の介護が同時期に発生する状況)について聞いたところ、「現在、ダブルケア中」と回答した人は3.3%、「過去にダブルケアを経験」は4.0%、「現在直面中で、過去にも経験がある」は0.9%で、経験率は8.2%だった。

 また、「数年先に直面する」と回答した人は14.4%おり、すでに経験している人を含めると22.6%になり、ダブルケアが身近な問題である人が5人に1人以上いるとわかった。年代別でみると、30代がもっとも多く、経験または数年先に直面する人を合わせると27.1%で4人に1人となった。

 ダブルケア経験者に「何が負担に感じるか」(複数回答)を聞くと、「精神的にしんどい」がもっとも多く80.5%、「体力的にしんどい」が73.2%、「経済的負担」69.5%だった。さらに、「子どもの世話を十分にできない」62.2%、「親、義親の世話を十分にできない」51.2%と、子育てと介護を同時に行うことで、どちらかにしわ寄せがいってしまうケースも多いようだ。

 さらに、公的な子育てサービスは現状で十分か聞くと、「あまり十分ではないと思う」「十分ではないと思う」をあわせて84.2%となった。ダブルケアで大変なときに支えてくれた人を聞くと、「夫」が半数近くで、ついで「親・義親」、「ケアマネージャー」「親戚」「友人」と続いた。一方で「いなかった」と回答した人は15.9%いた。

 ダブルケアの経験、未経験者合わせて「支援で必要なこと」を聞くと、9割の人が「介護も育児も合わせて相談できる行政窓口」と回答している。研究グループは、団塊の世代が75歳以上になる2025年、さらに高齢人口がピークになる2040年に向けた支援策の開発が急務とコメントしている。
《田中志実》

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