「教員しか持てない教材」と嘘…高額教材販売会社に業務停止命令

 東京都は2月8日、「学校の先生しか持つことができない教材を独自のルートで入手した」「限定40セットでもう39セット出ている、早くしないとなくなってしまう」などと、嘘を告げて高額な中学生向け学習教材を訪問販売していた事業者に対し、6か月の業務一部停止を命じた。

教育・受験 その他
東京都
  • 東京都
  • 業務の一部停止命令の対象となる不適正な取引行為
  • 特定商取引法のクーリング・オフ
 東京都は2月8日、「学校の先生しか持つことができない教材を独自のルートで入手した」「限定40セットでもう39セット出ている、早くしないとなくなってしまう」などと、嘘を告げて高額な中学生向け学習教材を訪問販売していた事業者に対し、6か月の業務一部停止を命じた。

 業務の一部停止命令を受けたのは、神奈川県相模原市で学習教材の販売(おもに訪問販売)を行う「ユーアイ学習社」。東京都によると、電話アポインターが大手出版社名を名乗り「お子さんの教材の件で説明に伺ってもよろしいですか」「話だけでも聞いてみませんか」などと、小学6年生や中学1年生がいる家庭に電話し、訪問の約束を取り付けていた。

 訪問した営業員は「うちで扱う教材は、学校の先生しか持つことができない教材を独自のルートで入手したもの。テストは必ずこの中から出題されるし、教材を使えば必ず成績は伸びる」「○○中学校でも成績の良い子はこの教材を使っている」「限定40セットでもう39セット出ている。早くしないとなくなってしまう」などと不実を告げ、消費者が「×××万円以上もする教材なので主人に確認してから判断したい」と断っても、「どこのご家庭でも子どもの教育のことはお母さんが決めている。成績が上がった時にご主人に話せばいいんですよ」などと執拗に勧誘を実施。消費者がクレジット申込書に記入する際には「世帯主収入は多めに書いて、奥様の収入は×××万円で、前に働いていたところを今も働いていることにしてください」などと虚偽記載を指示していたという。

 これらの行為が、特定商取引に関する法律(特定商取引法)の「不実告知」「迷惑勧誘」「契約書面等虚偽記載教唆」などにあたるとして、命令日の翌日2月9日から8月8日までの6か月間、業務のうち「契約の締結について勧誘すること」「契約の申込みを受けること」「契約を締結すること」といった訪問販売に係る行為を停止するよう命じた。

 東京都内におけるユーアイ学習社に関する相談は平成23年度から毎年寄せられており、平成27年度までの5年間で合計30件にのぼった。平均契約額は77.3万円、最高額は113万と高額な被害が出ていた。

 東京都では、参考資料としてユーアイ学習社の事例を紹介するとともに、「迷っているならその場で契約しない」「キッパリと断る勇気を持つ」「クーリング・オフができる場合もあることを知る」「不審に思ったら消費生活センターに相談する」など、消費者へ向けたアドバイスも発信している。
《畑山望》

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top