【大学と就職】保護者の7割が誤解? 「就職留年に反対」はきわめて危険

 「就職留年」という言葉がある。簡単に言えば、内定が出なかった学生が、学校を留年して、就職活動をもう一度やり直すことだ。保護者の中には反対の声も多いが、今回はこの就職留年を軸に、内定が出なかった場合にどのような道を取るべきなのかを見ていきたい。

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雇用形態別就業者数の推移
  • 雇用形態別就業者数の推移
  • 正規職員・従業員の推移
  • 子供が就職できなかった場合の進路に関して
 「就職留年」という言葉がある。簡単に言えば、内定が出なかった学生が、学校を留年して、就職活動をもう一度やり直すことだ。保護者の中には反対の声も多いが、今回はこの就職留年を軸に、内定が出なかった場合にどのような道を取るべきなのかを見ていきたい。

 現在、企業の人材採用は多様化している。非正規雇用やアウトソーシング(自社の業務を他社に委託して代行してもらう)を積極的に取り入れ、人件費の削減や業務の繁閑に合わせた柔軟な雇用を行おうと必死だ。

 人々の働き方の多様化も相まって、この流れは今後も加速すると見られる。実際、アウトソーシング業界は今後の成長が期待される産業の一つだ。

 リクルートワークス研究所が発表した「2020年の『働く』を展望する 成熟期のパラダイムシフト」によれば、2020年には正社員比率が63.6%まで落ち込むと予想されている。

 また、総務省の「労働力調査」によれば、10年前の2004年の正社員数は3,410万人だったのに対して、2013年には3,294万人まで減っている。なお、雇用者数は5,408万人から5,545万人に増えている。つまり、非正規雇用が増えているということだ(ここで、「労働力調査」の「正社員」とは、役員を除く「雇用者」における「正規の職員・従業員」を指す)。

 正社員という椅子は現在、どんどん失われている。そして、その傾向は強まることはあっても、弱まることはないと予想される。

◆内定が出ないまま卒業するのはきわめて危険

 しかし、保護者の多くは、我が子に「正社員として働いて欲しい」と願うものだろう。今後の雇用情勢が厳しくなることを踏まえれば、その思いはより一層強くなると思われる。

 だが、やはり中には、内定を手にできない学生が出てしまうのも事実だ。採用枠に限りがある以上、誰もが望んだ内定を手にできるわけではない(仕事を選り好みしているなどの批判もあるだろうが、ここでは一旦置いておく)。

 こうして内定が出なかった就職活動生には、いくつかの選択肢がある。就職留年は、その一つだ。ほかには「一旦大学院に進学して、再び就職活動を行う」「卒業して就職活動を継続する」などがある。

 マイナビが2014年4月に実施した「就職活動に対する保護者の意識調査」によれば、子どもが就職できなかった場合の進路について、次のような結果が出ている(以下、賛成の保護者の割合)。

1. そのまま大学(院)を卒業して就職活動を継続:76.6%
2. 就職留年:35.9%
3. 大学院や専門学校へ進学して就職活動をやり直す:52.2%
4. 就職活動を諦め、一時的な仕事を探す:21.6%

※賛成の割合は、「賛成」「どちらかといえば賛成」の割合の合計
※4. の「一時的な仕事」とは、アルバイトや派遣などを指す

 これを見ると、我が子の就職留年に賛成する保護者は3割強だ。逆に、卒業して就職活動を継続することには、8割近い保護者が理解を示している。大学院や専門学校への進学も、過半数を超える保護者の賛同を得ている。

 だが、結論から言えば、この認識は大変危険である。理由は、「新卒生」であることが就職活動においては(俗な言い方になるが)大きなメリットだからだ。
《高嶌悠人》

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