高1の英語スピーキング能力はどのくらい?アルクが明らかに

 高校1年生の英語スピーキング能力は「定型的な受け答えならできる」がもっとも多く、英語教師60%が「多少の不自由さはあっても英語で仕事ができる」レベル以上であることが、アルク教育総合研究所の調査により明らかになった。

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高校1年生TSSTレベル分布
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 高校1年生の英語スピーキング能力は「定型的な受け答えならできる」がもっとも多く、英語教師60%が「多少の不自由さはあっても英語で仕事ができる」レベル以上であることが、アルク教育総合研究所の調査により明らかになった。

 アルク教育総合研究所では、日本の高校生の英語スピーキング能力とその学習実態を明らかにするため、2015年度の高校1年生を対象とした3年間の追跡調査を実施している。また、調査協力校の日本人英語教師の英語スピーキング能力と授業実態も同時に調査し、高校生の英語を話す能力の実態を多角的に検証している。今回発表されたのは、1年目(2015年度)の調査レポート。

 調査対象は日本の高校3校の1年生323人と、その高校に勤務する日本人英語教師30人。日本の高校生の実態に近い姿をあぶりだすため、特色の異なる3校に協力を仰いだ。英語のスピーキング能力の測定には、電話で受験できる英語のスピーキングテスト「TSST(Telephone Standard Speaking Test)」を使用している。

 高校1年生の英語スピーキング力は、9段階評価のうちレベル3(レベル9が最高レベル)にあたる「レストランでの食事の注文など身近な話題についてのある程度定型的な受け答えは、暗記した表現を多く使ってかなりできるレベル」の生徒が67.2%ともっとも多く、レベル1の「質問されて沈黙してしまう」はいなかった。

 また、レベル4の生徒が多かった学校では、英語の授業で「会話・ディスカッション」を積極的に実施していることもわかった。1段階上のレベルに到達するためには、語彙・文法学習のほかに「自分で簡単な文を作り出して話す」練習が必要だとしている。生徒の自宅での学習内容を調査したところ、自宅では「単語・文法・教科書」に関する学習が多く、「自分で文を作って話す」ことにつながる学習はあまり行われていないようだ。

 一方、英語教師のスピーキング力は「多少の不自由さはあっても英語で仕事ができるレベル」のレベル6以上を満たしていた教師が60%。残りの40%もレベル5に集中しており、「事前準備などをしっかりと行えば、英語で授業を行うことができる」教師が多いという。

 授業中の発話の25%以上を英語で行っている教師が82.4%、そのうち41.2%は半分以上の発話を英語で行っていた。しかし、76.5%の教師は「授業で理想通り英語を使用できていない」と考えており、「日本語で説明しないと生徒が理解できたかどうか不安になる」「授業で教師の話す英語は正しいお手本でなければならないと考えているが、常に正しい英語を使えるか不安」という理由があげられた。授業での生徒の英語使用率は、「教師と同じ」もしくは「それより少ない」が多かったが、教師が英語を多く使っていると、生徒も英語を多く使う傾向にあるという。

 今後もアルク教育総合研究所は、2015年度の高校1年生がどのような学習を積み、教師がどのような授業を展開するのか、また、それがスピーキング力の変化にどのように反映されるのかについて、16年度・17年度に追跡調査し、分析を重ね明らかにしていく。
《外岡紘代》

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