成人年齢18歳へ引下げ、メリット・デメリットとは…法務省が意見募集

 法務省は9月1日、民法の成年年齢の引下げの施行方法に関するパブリックコメントの受付を開始した。民法の定める「成年年齢」が20歳から18歳に引き下げることで起こり得る支障や施行までの周知期間、施行日などについて国民から広く意見を募る。

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 法務省は9月1日、民法の成年年齢の引下げの施行方法に関するパブリックコメントの受付を開始した。民法の定める「成年年齢」が20歳から18歳に引き下げることで起こり得る支障や施行までの周知期間、施行日などについて国民から広く意見を募る。

◆引下げによる支障とは? パブコメ募集は9月30日まで

 法務省は、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げる法改正の準備を進めているが、その影響範囲は極めて広範におよぶことが予想される。たとえば、改正法施行時点ですでに18歳、19歳に達している者は施行日に成年に達するが、およそ200万人の者が一斉に成人することで支障が発生する可能性がある。

 施行までの周知期間は現在、改正法の成立後3年程度の周知期間を設け、具体的な施行日については「1月1日から施行する」「4月1日から施行する」ほか、改正法の公布から3年が経過した日から施行するなどの案を検討中。

 このほか、民法の成年年齢の引下げの法律上の効力についても慎重に論議すべき点を踏まえ、法務省は9月1日から9月30日までメール、郵送またはFAXによる意見を募集している。詳細は法務省Webサイト「パブリックコメント」で確認できる。

◆飲酒や喫煙、ギャンブル…一方で成人年齢引下げのメリットも

 なお、今回の意見募集対象には含まれないが、成年に伴う少年法の適用対象年齢や、飲酒、喫煙、競馬などのギャンブル、クレジットカードやローンの契約などを行うことができる年齢の在り方についても考慮される必要があるだろう。過去の検討では、婚姻年齢や養子を取ることのできる年齢についても議論が重ねられている。

 平成20年4月から9月の間に教育関係者や社会学者など、関係者を対象に行われたヒアリングでは、現在の若年者について「規範意識の低下」「ゲームや携帯電話の影響により、人間関係をうまく築くことができない」「(消費者関係事件の相談としては)(中略)騙されやすい」といった意見から、成人年齢の引下げを危惧する声もあがっている。

 一方で、「高校3年生で成人を迎えるとすることによって、高校教育の場で成人の意味や大人になるための教育を、現実味をもって指導することが可能になる」「(両親が離婚した場合の親権争いから)18歳、19歳の子が解放されることになる」「(親からの虐待を受けている)18歳、19歳の子が親権から解放され、自由に居所等を定めることができる」などの意見も見られた。

 ヒアリングの結果については、パブリックコメント「民法の成年年齢の引下げの施行方法に関する意見募集」内に参考資料として掲載されているPDFファイル「民法の成年年齢の引下げについての意見」で閲覧できる。
《佐藤亜希》

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