1時間で学習できるプログラミングに挑戦…教材は「モアナと伝説の海」

 アメリカでプログラミング学習を推進しているCord.orgのプログラミング教育推進運動「Hour of Cord」が今年も開催された。Apple Japanの「Hour of Cord」ワークショップに小学2年生の子供と参加したレポートをお届けする。

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Apple Store表参道で開催された「Hour of Code」
  • Apple Store表参道で開催された「Hour of Code」
  • Apple Store表参道「Hour of Code」でプログラミングに挑戦する子どもたち
  • Apple Store表参道「Hour of Code」
  • 世界的なプログラミング教育イベント「Hour of Code」
  • 「Moana: Wayfinding with Code」
  • ワークショップの最後に賞状をもらって記念写真
  • Apple Store表参道「Hour of Code」のゲストとして登場したSpheroの「BB-8」
  • Apple Store表参道で販売されているスマートトイ「SPRK+」
 アメリカでプログラミング学習を推進しているCode.orgのプログラミング教育推進運動「Hour of Code」が2016年も開催された。「Hour of Code」では、1時間で学習できるプログラミングチャレンジとして、12月7日から13日までの「コンピューターサイエンス教育週間」に合わせ世界中でプログラミングワークショップを開催している。

 日本でも、期間中は全国各地で子ども向けのプログラミングワークショップが開催された。そのうちのひとつ、Apple Japanの無料ワークショップに、小学2年生の子どもと参加したレポートをお届けする。

◆1時間でプログラミングの基礎を学ぶ

 今回取材を行ったのは、Apple表参道店。ワークショップ「Hour of Code」では、4歳から小学生までの9人の子どもが参加し、Code.orgの提供する教材を用いてプログラミングの基礎を学んだ。

 ワークショップの最初に、「なぜプログラミング教育を行うのか」というHour of Codeの主旨が親子向けに解説された。説明によると、プログラミングを学ぶことは「世の中で色々なものに役立つ」、「ロジカルな考え方ができるようになる」という利点があるという。

 次に、これから行う教材についてビデオと講師からの説明を受けたあと、子どもたち全員にそれぞれiPadが配布され、いよいよプログラミングに挑戦となった。

 今回使用した教材は、ディズニーが2016年冬に公開した新作映画「モアナと伝説の海」(日本では2017年3月公開予定)をモチーフにした「Moana: Wayfinding with Code」。海を舞台に、主人公のモアナたちと一緒にプログラミングで数々の問題を解決していく、というストーリー仕立てのプログラミング教材だ。「前に進む」や「よける」といった命令ブロックを並べ、コードを書いていくビジュアルプログラミングなので、幼児や初めてプログラミングを学ぶ子どもでも楽しみながらプログラミングを学べる。

 全部で19のステージがあり、最初は「船を進めて魚を獲る」という簡単なコードから始まり、次第に「ジグザグに船を進める」、「海賊の攻撃をよけて反撃する」といった複雑なコードへと進んでいく。

 プログラミングの挑戦が始まると、子どもたちは口を閉じ、一転してコーディングに夢中になる。考え込み、時折「ああ、そうか!」といったつぶやきが漏れる。各々が試行錯誤をして取り組んでいるようすが印象的だった。

◆表参道店ではスペシャルゲストも登場

 子どもたちが黙々とiPadに向かう中、途中で休憩をはさみ、子どもたちの興味をひくスペシャルゲストが登場した。こうしたサプライズはApple Storeごとに異なった演出があり、表参道では映画「スター・ウォーズ」のドロイドBB-8がやってきた。このBB-8はSpheroが2015年秋に発売したリモコン型のロボットで、腕に装着して操作できる「フォースバンド」やスマホで操作が可能。子どもたちは、足元を自由自在に駆け回るBB-8を興味深そうに観察していた。

 休憩後は再びコーディングに挑戦。子どもたちの進度はバラバラだが、自分のペースで進められるのも、このワークショップの利点だ。9ステージ以降からかなり難しくなっていくとのことで、平均的な達成目標はだいたい10ステージまで。早い場合は、19ステージまで終わらせてしまう子どももいるという。

 小学2年生の息子を見ていると、最初はたどたどしくブロックを並べていたが、途中からコツをつかんだようで、1時間の間にどんどんブロックの組み方が上手くなっていった。ステージが段階的に進んでいくので、失敗してしまったミッションも、「前のこのコードを使えばいいんだ!」ということに気付くと、スムーズにクリアできるようだった。

 ブロックには「繰り返し」という命令もあり、この繰り返しを上手く使うことで、よりシンプルにコードを書くことができる。そういうことに気付ける発想力も、プログラミングを学ことで自然に養っていけるというわけだ。

◆家庭でも学べる無料のプログラミング教材

 子どもにとってはあっという間の1時間。結局16ステージまで進んだ息子は、残り3ステージをやりきることができなかったのが悔しかったようだ。終了後には「家に帰ったら続きをやりたい!」と意欲を見せていた。

 ちなみに、今回参加した子どものほとんどは自宅でiPadを利用しているという。参加者のほとんどはプログラミング初心者が多いとのことだが、プログラミング教育に関心が高く、そのきっかけとして参加する家庭も多い。

 Apple Storeのワークショップは、「これから世界を変えていく」可能性を持つ子どもたちが、プログラミングと出会うきっかけとなってほしいという話で締めくくられた。

 息子にとっても、真剣にプログラミングに取り組んだ1時間は大きかったようで、「プログラミングは楽しいもの」「挑戦しがいがあるもの」という意識を持てたようだ。これでスラスラとコードで書けるようになるわけではないが、この意識がついただけでも、参加した意義はあったように感じた。

◆毎年即満席のワークショップ 人気の土日に申し込むには?

 Apple Japanの「Hour of Code」のイベントは、Apple Storeで無料のプログラミング学習ができるとあって、毎年人気が高い。先着順で受け付けるため、土日の回はすぐ埋まってしまうほどの盛況ぶりだ。参加を希望する場合は、毎年12月初旬のコンピューターサイエンス教育週間にあわせて開催されるため、11月中旬ごろからAppleのサイトをまめにのぞいて、申込みに備えておくのがおすすめだ。

 Hour of Codeの教材は、家庭でも無料で学ぶことができる。今回使った「Moana: Wayfinding with Code」をはじめ、さまざまな教材がHour of Codeのサイトに公開されているので、興味のある場合はぜひ親子で挑戦してみてほしい。
《相川いずみ》

教育ライター/編集者 相川いずみ

「週刊アスキー」編集部を経て、現在は教育ライターとして、ICT活用、プログラミング、中学受験、育児等をテーマに全国の教育現場で取材・執筆を行う。渋谷区で子ども向けプログラミング教室を主宰するほか、区立中学校でファシリテーターを務める。Google 認定教育者 レベル2(2021年~)。著書に『“toio”であそぶ!まなぶ!ロボットプログラミング』がある。

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