【大学受験】大学の学費、私大授業料が上昇傾向…旺文社

 旺文社教育情報センターは2023年9月29日、「2023年度大学の学費平均額」をWebサイトに掲載した。私立大学の授業料は上昇傾向が続いており、平均額では国公立大学の2倍近くになっている。私立大学の学費は、学部系統による差も大きいという。

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2023年度大学の学費 (c) 2023 旺文社 教育情報センター
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 旺文社教育情報センターは2023年9月29日、「2023年度大学の学費平均額」をWebサイトに掲載した。私立大学の授業料は上昇傾向が続いており、平均額では国公立大学の2倍近くになっている。私立大学の学費は、学部系統による差も大きいという。

 旺文社の「螢雪時代」では、全国の大学を対象に調査を実施しており、2023年度の学費については「螢雪時代8月臨時増刊 全国大学内容案内号」で大学別に掲載。今回、この調査の回答をもとに学費の概況などをまとめた。なお、初年度納入金とは、入学金や授業料、施設設備費、諸会費など、1年次に支払う学費を指す。

 国立大学の入学金と授業料は、文部科学省が定める標準額(入学金28万2,000円、授業料53万5,800円)の20%増を限度に各大学が決定できる。現在、標準額と異なるのは、入学金は東京藝術大学の33万8,400円のみ。授業料は、東京工業大学が63万5,400円、千葉大学・東京医科歯科大学・東京藝術大学・一橋大学が64万2,960円。

 公立大学は、入学者や保護者の住所によって入学金が異なることが多い。入学金の平均額は、地域内22万1,935円、地域外38万2,631円。授業料は、国立大学と同程度の大学が多いという。

 一方、私立大学は、国公立大学と比較して学費が高額。入学金の平均額は25万9,890円と国公立と大きな差はないが、授業料の平均額は97万1,664万円と、国公立の2倍近くになっている。高額な医学部系統や歯学部系統の数値の影響を受けない中央値をみると、私立大学の授業料は87万円となっている。

 私立大学では、学部系統によって入学金、授業料ともに差があり、理系は文系と比較して高額な傾向にある。たとえば、医学部系統は入学金134万7,000円、授業料268万4,000円だが、法学部系統は入学金21万8,000円、授業料79万5,000円。前年度との比較では、私立大学で授業料の上昇が目立ち、理学部系統、経済・経営・商学部系統は1万円以上の上昇がみられたという。

 さらに系統を学問分野別にみてみると、同一学部系統内に複数の学問分野があるとき、学費に差があるケースがあるという。差が顕著なのは私立大学の農・獣医畜産・水産学部系統の初年度納付金で、獣医学分野は215万円程度、農業経済学分野は145万円程度。看護・医療・栄養学部系統も学問分野で差があり、看護学分野は182万円程度、栄養学分野は151万円程度と約30万円の差がみられた。

 旺文社教育情報センターでは、学部系統別・学問分野別の公立大学・私立大学の学費平均額も一覧で掲載している。一覧からは、私立大学の授業料が軒並み上昇していることがわかり、入学金では数千円程度の低下傾向がみられたものの、それ以上に授業料が上昇し、初年度納入金は上昇傾向だと指摘している。

 学費については、施設費など、入学金と授業料以外にも注意が必要。4年間もしくは6年間の合計額も把握しておくべきだという。学費を検討する際は、奨学金や授業料減免制度、大学独自の支援などについても調べておくようアドバイスしている。

《奥山直美》

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