【無料試し読み】「ダメ子育て」を科学が変える!全米トップ校が親に教える57のこと(1)

 SBクリエイティブの協力により、星友啓著『「ダメ子育て」を科学が変える!全米トップ校が親に教える57のこと』の第一章を紹介する。

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「ダメ子育て」を科学が変える!全米トップ校が親に教える57のこと
  • 「ダメ子育て」を科学が変える!全米トップ校が親に教える57のこと
  • 感情の働きをする右脳・理性的な働きをする左脳

 さまざまな情報が飛び交い、先の見えない今の時代。だからこそ「子育てこそ科学的エビデンスが必要」というのは、スタンフォード・オンラインハイスクールの校長の星友啓氏だ。氏は現在、世界40か国以上からの中高生とその保護者をサポートしつつ、スタンフォード・オンラインハイスクール入学を希望する小学生の支援プログラム運営も行っているという。

 SBクリエイティブの協力により、星氏の著書『「ダメ子育て」を科学が変える!全米トップ校が親に教える57のこと』の第一章を紹介する。

第1章 子供の脳と心について知っておくべきこと(1)

「すぐに𠮟る」は逆効果

 「やだ、絶対やだ!」そう言って、大声で泣きだす子供。やらなくちゃいけないのに嫌がって、揚げ句の果てに大泣き。そうなってくれば、こっちもイライラ。ダメなことはダメだということを教えるために、今こそ𠮟って、しつけなくては!

 「お兄ちゃんが先にやったんじゃん!」「いやそっちが変なこと言ってきたからだよ」そこからいつものようにエスカレート。パンチにキック。涙に叫び声。ケンカ両成敗。ちゃんとすぐに教えなくては。今がチャンス。こういうときに、繰り返し説明していけばきっといつかわかってくれるはず。

 このような「ヤダヤダ」や「ケンカ」などの例は子育てのあるあるです。この他にも、ゲームやテレビを約束の時間を過ぎてもやめられなかったり、遊び場からいつまでも帰ろうとしなかったり、食べてほしいものを食べてくれなかったり……。

 子供が子供である限り何をするべきか教えたり、それはなぜかを教えてあげたり、子供がやったことがなぜダメなのかを説明してあげるべき。そしてそれは、すぐにやってあげると効果的!なぜなら、後からでは忘れてしまうから。鉄は熱いうちに打て!

 この「すぐに𠮟る」子育て法は、非常におなじみで、幅広く実践されている方もいらっしゃるかと思います。

 しかし、「すぐに𠮟る」子育て法は、脳科学的には逆効果になってしまうのです!子供の脳の成長過程を理解して、注意して声かけしていく必要があります。それでは、子供の脳について、少し解説していきましょう。

子供がカッとなりやすい脳科学的な理由

 うれしかったり、悲しかったり、怒ったり、楽しかったり、不安に感じたり、怖かったり、驚いたり……。人間の脳はそうした感情を感じる働きを持つ一方で、論理的に考えたり、分析したり、言語化したりといった、理性的な働きも持ち合わせています。そして、その感情的な働きと理性的な働きは、それぞれ脳の違う部分でカバーされています。たとえば、大まかなイメージとして、「右脳が感情の働きで左脳が理性的な働き」などといわれています。嫌なことを言われて、カッとなってしまったときに、感情を抑えて冷静な対応をしたとしましょう。このとき脳の中では、右脳がヒートアップした状態になるものの、左脳がそれを落ちかせているのです。
 

感情の働きをする右脳・理性的な働きをする左脳

 しかし、子供の脳は、この理性的な働きをする左脳がまだまだ未発達

 だから、子供は感情的になったとき、昂(たかぶ)った感情を抑えることができないのです。

 そして、カッとなって感情が昂ってしまっている状態では、左脳が理性の働きをできず、やるべきことを論理的に順序立てて考えたり、親の指示や指導を理解しようとする子供の脳の働きがストップしてしまうのです。

 つまり、感情が昂っているときにしつけを試みても、子供の脳は、それをうまく呑み込むことができず、火に油を注ぐ結果になってしまうのです

子供が感情的になったら まずやるべき脳科学テクニック

 子供が泣きだしたり、カッとなってしまったとき、その場で教えるべきことを教えようとしても、子供の脳がそれを受け入れることができない。それならばどうしたら良いのか?ここでおすすめするのが、世界的ベストセラー作家でもあるカリフォルニア大学ロサンゼルス校のダン・シーゲル教授の提唱する「コネクト&リダイレクト(Connect &Redirect*1 )」です。 *1 D.J. Siegel & T.P. Bryson (2011), The Whole-Brain Child: 12 Revolutionary Strategies to Nurture Your Child's Developing Mind. Bantam Books: New York.

 子供の感情が昂っているとき、まずは「コネクト」、つまり子供の心とつながることから始めます。小さい子供ならば、抱っこしてあやしてあげたり、背中をなでてあげたりして、気持ちを落ち着かせましょう。ある程度言葉が通じる子供ならば、「そうか、そうか、嫌なんだね」「怒ったんだねぇ」などと、子供の気持ちを言葉に出してあげましょう。まずは気持ちを理解したということ、それを行動や言葉で伝えてあげることで、子供の気持ちをリラックスさせることが第1ステップです。

 そうして子供が落ち着いてきたら、「リダイレクト」と呼ばれる次のステップに移ります。子供の気持ちを「向き直す」という意味です。感情が昂っていたときのことを思い出させながら、さっきやるべきだったこと、やってはいけなかったことなどを説明しましょう。

 オーバーヒートしていた右脳が落ち着き、未発達の左脳でもものごとを理解する準備ができた状態で、丁寧にやるべきことや、やってはいけないことを説明します

 これが脳科学的に理にかなった声かけの方法です。

 また、子供が怒ったり、泣いたりしたときに、優しく落ち着けるようサポートすることは、子供を甘やかしていることになりません。それどころか、子供が自分の気持ちを落ち着かせるスキルを身に付けるためのトレーニングにもなっていることを押さえておきましょう

 感情が昂ったとき、子供は自分で収拾がつけられない感情のうねりを収めるのにサポートが必要で、大人がそのサポートをすることによって、感情を抑えることのトレーニングができます。

 ちょうど、鉛筆が持てない子供に対して、まず一緒に鉛筆を持って書かせてあげるようすをイメージしてみてください。どんな子供も、最初はそうしたサポートが必要で、そうして何度も鉛筆を使っていくうちに、自分一人でも書けるようになります。

 同様に、感情が昂ってしまったとき、子供はどうすれば心を落ち着けることができるのかがわかりません。そこで、親が背中をなでたり、声をかけたりして、心を落ち着かせてあげます。子供は、そうした体験を繰り返すことで、昂った感情を自分自身で落ち着かせるスキルを少しずつ身に付けることができるのです。また、そうしたサポートなしには感情を落ち着かせるスキルを身に付けるのが遅くなってしまいかねません。

 つまり、子供がカッとなったときに、すぐにしつけようとするよりも、「コネクト&リダイレクト」をする方が、圧倒的に子供が自分の感情をコントロールできるようになる近道なのです

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