英会話を使ってビジネスをしている人は、交渉が必要になる場面もあるかもしれません。
特に海外の企業と親密な取引がある人は、さまざまな場面での交渉も英語で行う必要があります。
しかし、ビジネスで交渉をするというのは、日本語であっても気を使いますよね。
言葉遣いも大事ですが、やり方を間違ってしまうと交渉決裂なんてことにもなりかねません。
ですから、ビジネス英会話で交渉をする際には、交渉に必要な表現や礼儀をしっかり身につけて置く必要があるでしょう。
この記事では、ビジネス英会話の交渉で意識するべきポイントと、交渉に使えるビジネス英会話フレーズ例をご紹介します。
高度なビジネス英会話を身につけたい人は、ぜひ参考にしてくださいね。
ビジネス英会話で交渉する際の7つのポイント
交渉という少々難しいことを母国語ではない英語で行う場合は、日本語での交渉以上に気をつけるべきポイントがあります。
まずはビジネス英会話での交渉の際に大切なポイントを7つ解説します。
「交渉」の意味を理解すること
交渉を行うなら、「交渉」の意味をしっかり理解しておきましょう。
交渉とは、自分の希望を伝え、相手に希望通りにしてもらうことではありません。
相手と自分の希望を並べ、お互いが納得できる着地点を探すことが交渉です。
「交渉」の意味はわかっているかもしれませんが、英語で交渉をする際には、もう一度交渉の意味を再確認しておきましょう。
なぜなら、英語のネイティブではない私たちは、うっかりストレートすぎる表現を使ってしまって、相手を不快な気持ちにさせてしまうこともあるからです。
自分が言おうとしているフレーズが、直接的すぎないか、押し付けがましくないかを、交渉の意味を意識しながら確認すれば、無用なトラブルを防ぐことができるでしょう。
交渉に適した英語表現を身につける
交渉をする際、自分の希望をしっかり伝えることは重要ですが、ストレートすぎる表現を使ってしまうと、失礼にあたることもあります。
ですから、交渉という少々高度なことを英会話でする際には、まず交渉に適した英語表現を身につけましょう。
交渉に適した英語表現とは、丁寧な表現のことです。
日常英会話がすでに出来ている人なら、膨大な量の語彙を覚える必要はありません。交渉に適した言い回しや文法を少しだけ覚えれば大丈夫です。
自分の希望を明確にする
交渉をするということは、相手に対して希望があるということですよね。
ですから、丁寧な英会話表現を使いつつも、そんな自分の希望を明確に伝えることを忘れないようにしましょう。
「失礼があってはいけない」と遠慮しすぎていると、相手に希望が伝わりづらい英語になってしまうかもしれません。
大事なのは丁寧な言い回しを使いつつ、自分の希望が相手にわかりやすく伝わることです。そのためにも、交渉に使える英会話フレーズを覚えることが重要なのです。
相手の希望や条件を聞く
自分の希望を伝えるだけでは、交渉にはなりません。
交渉をする際には、自分の希望も伝えつつ、相手にとってその希望がどうなのか、相手はどんな条件を望んでいるのかを聞くようにしましょう。
交渉をする際には、特に何も聞かなくても相手の方からも希望を伝えてくれるでしょう。
しかし、自分の希望を伝えっぱなしにするよりは、相手の意見を促すようなひとことを付け加えた方がスマートですし、相手からの印象もよくなります。
どちらかだけではなく双方にとってプラスになる着地を目指す
交渉で大事なのは、自分の希望を押し通そうとするのではなく、お互いの希望を確認しあい、お互いが納得のいく着地点を模索することです。
ですから、相手の希望・条件を聞いたあとは、それを踏まえてお互いにとって良い着地点が見つかるように話してみましょう。
最終的な条件はすべて明確にしておくこと
お互いにひとつの着地点で同意したと思っても、曖昧になっている部分もあるかもしれません。
ですから、最終的な条件はすべて明確にしておくことを忘れないようにしましょう。特にビジネスでは、書類や文字として残すことはとても大切です。
口約束だけで終わって終わないように、書類を作成したり、メールでやりとりをしたりと形に残るようにしてくださいね。
相手と常日頃から良い関係をつくっておく
交渉を成功させるためには、日頃から相手と良い関係を作っておくこともとても重要です。
全く初対面の相手との交渉は成功しづらいこともありますが、良い関係が作れている相手なら、意外とスムーズに交渉が進むはず。
また、初対面の相手であっても突然本題から入るのではなく、感じの良い挨拶をしたり、ちょっとした雑談を挟んだりして和やかなムードを作りましょう。
明るい雰囲気の中で交渉を進めれば、成功率は高くなるはずですよ。
「交渉」は英語でなんと言う?
交渉に関するビジネス英会話フレーズを学ぶ前に、「交渉」を英語でどう言えば良いかも覚えておきましょう。
これは交渉で使えるフレーズの基礎となる部分です。
「交渉」「交渉する」
「交渉する」という表現として一番よく使われるのは “negotiate” です。「交渉」という名詞は “negotiation”となります。
この2つの単語を使った表現も簡単にご紹介します。
- We are going to negotiate a long term contract with ABC company.
(ABC社との長期契約交渉に臨みます。) - I am not good at negotiation.
(私は交渉がうまくありません。)
「交渉」を意味する表現としては、一番使い勝手がよく使いやすいので、こちらはしっかり覚えておきましょう。
そのほかにも、discuss(話し合う)、bargain(商談する・取引する)、haggle(値引き交渉)といった言葉が使われることもあります。
「交渉が成功する」「交渉が成立する」
交渉が成立することを言い表すには、”negotiation” “negotiate” を使うこともできるのですが、そのほかに ”make a deal” という表現もよく使われます。
こちらも例文をみてみましょう。
- Our negotiation went well.
(交渉がうまくいきました) - We’ll have to make a deal on the new contract.
(新しい契約について交渉をしなければならないだろう。) - My boss just made a deal with ABC company to reduce the cost.
(私の上司はコスト削減をする交渉をABC社との間で成立させました。)
ちなみに「交渉成立ですね」と言いたいときには “It’s a deal.” といいます。
これはビジネス英会話だけではなく、友人や家族との会話でも使うので、こちらも覚えておくと良いですよ。
交渉で使えるビジネス英会話フレーズ
ここからはシチュエーション別に、交渉で使えるビジネス英会話フレーズをご紹介していきます。
こういったパターンがあると覚えておけば、実際の交渉シーンでもうまくやりとりができるようになるでしょう。
交渉を始めるときの前置きフレーズ
取引相手との交渉を始める場合は、これから何について話すかをまずは明確にしましょう。
本題に入る前に前置きがあれば、議題の確認にもなりますし、その後の会話がスムーズになります。
そんな前置きで使えるフレーズをいくつかご紹介します。
- I’d like to discuss about…..
(〜についてお話したいと思います。) - There are two things we would like to discuss.
(2つの点についてお話したいと思います。 - We would like to propose a deal.
(取引について提案があります。) - We would like to propose that…..
(〜することを提案したいと思います。)
前置きフレーズは、どんなものでも良いのですが、上記の例文でわかるとおり “I would like to” や “We would like to” という表現を使うと丁寧になり、スマートです。
ちなみにIなのかWeなのかは、「私」なのか「私たち・当社」なのかで判断しましょう。自分以外にも担当者がいたり「当社」と会社を代表して話す場合は、weを使います。
自分の希望を伝えるフレーズ
前置きフレーズを口にしたら、次にすることは自分の希望を伝えることです。
こちらもいくつか例文と日本語訳をみていきましょう。
- Could you possibly consider reducing the price to 3,000 yen per packet?
(1包3,000円への値下げを検討していただけないでしょうか。) - Would it be possible to postpone the deadline to the end of next month?
(来月末に期限を延期することは可能でしょうか?) - It would be ideal for us if you could agree on the suggested terms of the contract for the coming season.
(来期の契約条件の提案に合意いただけると、私たちにとって理想的なのですが。) - What we have to offer is….
(私たちがご提案するのは・・・)※提案内容を提示する
他にも色々と言い方はありますが、ここで注目したいのは、過去形がたくさん使われているということです。
英語は上記のように助動詞を過去形にした方が丁寧な言い回しになるため、相手を立てながら交渉をしたい場合は、こうした助動詞の過去形を使うのが理想的です。
「Can you consider reducing the price?(値下げを考えてくれませんか?)」だと、あまりお願いしている雰囲気が出ませんが、それを上記のように “Could you” とすると、「ご検討いただけませんでしょうか」というニュアンスが出るのですね。
ちなみに “could you possibly”のような表現は、イギリス英語ではかなり好まれて使われていますから、イギリス英語圏とビジネスをする時にはより意識して使うと良いですよ。
相手の希望に返答するフレーズ
自分の希望を伝えたら、その返答として取引相手から何らかの条件が返ってくるでしょう。その条件に同意するにしても、反対するにしても、丁寧な応対が必要になります。
そんな時に使えるフレーズもご紹介しましょう。
- What about 4,000 yen per packet instead of 3,000yen?
(1包3,000円ではなく4,000円ではいかがでしょうか?) - If you are not fully satisfied with the suggested terms, we could start with….
(提案条件に十分ご満足ではない場合は、まず〜ということもできますが) - Would you accept the deal if we could ….
(〜ということが可能になれば、交渉内容を受諾いただけますか?) - What if we take the middle?
(間をとるのはいかがでしょう?)
交渉の内容は非常に幅広いので、他にも使えるフレーズはあるでしょう。
しかし、ここで用いた “what about” や “what if” は相手の希望に寄り添った新たな提案をするときに非常によく使えるフレーズです。
また、”we could” も使える表現のひとつでしょう。
これらの表現を使いこなせるようになっておけば、実際の交渉の場面でも、スラスラとフレーズが口をついて出てくるはずですよ。
相手からの提案に同意するフレーズ
交渉時に相手から提案された内容が、自分たちにとって満足いくものである場合もあるはず。そんな場合には、シンプルに提案に同意して、交渉を成立させましょう。
そんな時に使えるフレーズは、以下のとおりです。
- That is a deal.
(交渉成立です。) - This will be perfect!
(この条件は完璧です!) - Thank you very much for working this out.
(この件について調整いただきありがとうございました。)
同意フレーズはこの他にもたくさんありますので、上記は一例として覚えておきましょう。実際には、その時のシチュエーションに合わせたフレーズを用いてください。
相手からの提案をお断りするフレーズ
交渉時には相手からの提案をお断りする場面もあるでしょう。そんな時には、より意識して丁寧な表現を使うことが大切です。
ここからは相手からの提案をお断りするときのフレーズもみてみましょう。
- I am afraid we cannot agree on this.
(申し訳ありませんが、これには同意できません。) - I am afraid we cannot accept your proposal.
(申し訳ありませんが、ご提案はお受けできません。) - I am afraid I cannot sign the contract right now. I will discuss it with my supervisor.
(すみませんが、今すぐ契約することはできません。上司と相談します。) - I understand your point, however, these terms are difficult for us to accept.
(おっしゃることはよくわかりますが、この条件では受け入れるのが難しいです。)
お断りするときには “I am afraid” という表現を使うのをおすすめします。こちらは丁寧に謝罪しつつお断りするような表現で、ビジネスでも日常会話でもよく使われます。
また、相手の立場に寄り添うよう、または理解を示すような “I understand your …” という表現もおすすめします。
どんな場合でも、相手の希望を却下する場合は、相手への配慮を忘れないようにしたいですね。
また、断りながらも、相手の希望に寄り添った別の提案をすることも大事です。
上記のようにお断りをする場合は、「相手の希望に返答するフレーズ」を参考に、新たな条件を提示する一文も添えましょう。
交渉を成立させる英会話力を習得する方法とは?
ここまで、ビジネス英会話での交渉時におけるポイントや、例文フレーズをご紹介しましたが、実際の交渉となると状況はさまざまですし、英会話フレーズも色々なものが飛び交います。
ですから、たとえここまでの内容を参考にしたとしても、交渉がうまくいかないこともあるでしょう。
もちろん、交渉がうまくいかないのは条件自体が相手にとってよくなかったり、お互いの妥協点を見つけられなかったりということも影響します。
しかし、英会話力が足りず、交渉がうまくいかないなんてこともあるかもしれません。
英会話力の影響で、交渉決裂になるのを防ぐには、どうすれば良いのでしょうか。それにはビジネス英会話の実践的な練習が必要です。
そこで最後に交渉を成立へと導けるような英会話力を習得する方法をご紹介します。特に大切な交渉をまかされる機会がある人は、じっくり取り組むことをおすすめします。
ビジネス英会話・交渉関連の参考書を利用する
ビジネス英会話にはさまざまな参考書がありますが、その中でも交渉というテーマに特化した参考書もあります。
通常のビジネス英会話の参考書であっても、交渉というテーマは取り上げられていますが、より本格的に交渉を乗り切る英会話力を身につけたいなら、1冊丸ごと交渉に関するビジネス英会話について解説された参考書がおすすめです。
交渉における心構えやポイントなどもじっくり解説されていますから、こうした参考書を使って、より幅広い表現・交渉力を身につけていきましょう。
ビジネス英会話特化のオンライン英会話を受講する
ビジネス英会話に特化したオンライン英会話も、英語での交渉力アップにおすすめです。幅広くビジネス英会話を扱っていれば、交渉に関する教材やトピックもあるでしょう。
英会話での交渉を予定しているなら、そうした教材に集中的に取り組みましょう。講師と実践的なロールプレイをしても良いですね。
実践形式で会話の練習をすれば、実際の交渉時にもスムーズに物事を進めることができるでしょう。そのためには、ビジネス経験が豊富な講師を選ぶことも重要です。
コーチング英会話でビジネスコースを受講する
そもそもあまりビジネス英会話が得意ではない場合は、コーチング英会話で集中的にビジネスコースを受講するのもおすすめです。
費用はかかりますが、短期間で実践的なビジネス英会話力を身につけることができますし、オーダーメイド形式なので交渉力につながる英会話力が欲しいというリクエストも可能です。
ただしコーチング英会話の場合、毎日じっくり学習に取り組む必要があるため、忙しすぎて勉強の時間がない人には不向きです。
自分の状況とも照らし合わせながら、検討してみてくださいね。
交渉に必要な英会話力を身につけビジネスを成功させよう!
ビジネスシーンにおける交渉というのは、日本語であってもなかなか難しいものですよね。それが母国語ではない英語となると、なおのこと難しく感じるでしょう。
しかし、日本語での交渉に慣れていて、日常的な英会話力も問題がないなら、あとはビジネス英会話やフォーマルな英会話に大切な表現さえ覚えれば、英会話力という点では問題をクリアできます。
お仕事で英語を使って交渉をする機会がありそうな人は、ぜひ今から交渉に向けたビジネス英会話に取り組んで、未来の交渉を成功へと導きましょう!