英語の勉強をしている人は、聞き流し学習というものの存在を知っているのではないでしょうか。
英語を学ぶ上で、聞く力は非常に重要ですが、リスニングを苦手にしている人も多いのが実情です。英語を聞いて理解ができない人は、リスニング力がアップするなら、聞き流しを学習に取り入れたいと思うでしょう。
ですが、本当に聞き流しは英語学習・リスニング力アップに効果があるのでしょうか。
この記事では、聞き流しの効果や、聞き流しをするときの注意点、やり方についてご説明していきます。
リスニング力が伸び悩んでいる人や、効果的な学習方法をお探しの人は、ぜひ参考にしてくださいね。
英語の聞き流しとは?
まず、聞き流しとはどのようなものなのか、簡単に説明しましょう。
聞き流しとは、文字通り英語の音源を流し、それを聞くことを言います。音源の種類は何でも良いのですが、聞き流しをしている人の多くが取り入れているのは、英語のPodcast、海外ドラマや洋画、英語学習用教材の音源などです。
聞き流しでは、こうした音源をただ流して聞いているだけで良いため、誰でも気軽に取り入れやすい学習方法だと言えるでしょう。
英語の聞き流しに効果はある?
ただ英語を聞いているだけの聞き流しという方法で、本当に英語力がアップするのか疑問に思う人もいるでしょう。
そこでここからは、英語の聞き流しの効果についてもご紹介していきます。こちらでご紹介する効果に惹かれたなら、聞き流しを取り入れてみてはいかがでしょうか。
英語に耳が慣れる
聞き流しではずっと英語を聞いているため、英語に耳が慣れていきます。特にスクリプトを見れば意味がわかるのに、英語の音に耳が慣れていなくて英語が聞き取れない人だと、聞き流しで耳が慣れていくことを実感できるでしょう。
英語のリズムが染み付く
上記の「英語に耳が慣れる」に含まれることですが、大事なことですから英語のリズムについてもご紹介しておきましょう。
英語を話すとき、どうも流暢に話せなかったり、どうしても日本人っぽい英語になってしまったりする人は、英語独特のリズムやアクセントが身についていない可能性が高いです。
そういう人の場合、聞き流しに取り組むことで、自然と英語のリズムやアクセントが身についていきます。
日本語を例にするなら、関東の人が関西弁を真似しようとすると、なんだか不自然な感じがしますが、実際に関西に住んで毎日関西弁を聞いていると、いずれはほぼ完璧な関西弁が話せるようになる感じです。
英語の聞き流しでも、それと同じことが起こるのですね。
スピーキングのレベルアップにも貢献
英語の聞き流しをしていると、英語の音に慣れて、発音やリズムなどが自然と身につきます。それはただ「聞いて理解できる」というだけではなく、自分で英語を話す際にも役立つのです。
ですから、聞き流しで英語の音やリズムに慣れていけば、スピーキングにもそれが反映され、より自然な英語を話せるようになるのですね。
自分の英語を聞いて、なんとなく不自然だと感じている人は、聞き流しの効果をかなり実感できるでしょう。
学習時間を確保しやすい
聞き流しには学習時間を確保しやすいというメリットがあります。
通勤通学中や、家事をしているときなど、単純な作業をしているときに取り組むことができるため、忙しくてなかなか学習時間を確保できない人でも、取り組みやすいのです。
これだけ取り組みやすければ、毎日聞き流しをやっても苦痛にはならないでしょう。英語の習得には反復練習が大切ですが、たとえば同じ音源を何度も聞き流しをすることで、その音源に出て来る言い回しや表現を身につけることだってできます。
聞き流しは学習時間を確保しやすいため、学習時間を確保しづらい方法に比べると、効果が出やすい学習方法だと言えるでしょう。
英語の聞き流し学習の注意点
ここまでご紹介したとおり、英語の聞き流しには一定の効果があります。しかし、ただ英語を聞き流しているだけでは、英語を話せたり読めたりするようにならないのも事実。
英語の聞き流しを学習に取り入れるのなら、気をつけておくべき点もあるのです。
そこでここからは、英語の聞き流し学習に取り組む場合の注意点を解説していきます。この注意点さえ知っておけば、聞き流し学習を効果的に取り入れることができるようになるでしょう。
ただ聞き流しているとBGMのようになりやすい
英語の聞き流しでは、確かに英語の発音やリズムなどに耳が慣れていくのですが、あまり何も意識せずに聞き流していると、まるでBGMのようになってしまいます。
音楽を聞く時に、歌詞の意味まで吟味して聞いている人はあまりいないでしょう。歌詞がついている歌でも、なんとなく音だけを聞いているのではないでしょうか。
その過程でなんとなく歌詞を覚えることはあっても、その時点では歌詞の意味をしっかりと理解していないことも多いはずです。
聞き流しもそれと一緒で、BGMのように聞いていると、BGMになってしまい、英語をただの音として認識するようになります。その結果、「意味を把握する」というスキルが伸びず、英語力としての効果を感じない人もいるのです。
ですから、いくら「聞き流し」と言っても、何も意識せずにただ聞いているだけなのはおすすめできません。
リスニング力には繋がらないことも
聞き流しを英語学習に取り入れても、なかなかリスニング力に繋がらない人もいます。これは、聞き流している音源が自分のレベルに合っていなかったり、上記でご紹介したとおり、BGMのように英語を聞いてしまっていたりすることから起こります。
聞き流しでリスニング力を向上したいのなら、聞いていて全く意味が理解できないものではなく、7割くらいは理解できるような、自分のレベルに合った音源を選ぶことが重要です。
また、前述でも述べたとおり、BGMのように聞くのではなく、しっかり意味を理解するように聞き流すようにしましょう。
そうすれば、実践的なリスニング力も養われていきます。
聞き流しでは他のスキルが伸びづらい
聞き流し学習には一定の効果があるものの、聞き流しだけで英語を習得することは非常に難しいです。
これは、ただ英語を聞き流しているだけでは、新しい語彙が身につきづらく、また読み書きというスキルを効率的に伸ばすことができないからです。特に書くという点では、聞き流ししかしていない場合、スペルのわからない単語がたくさんできてしまいます。
もしも英語は聞いて話せるだけでいいというなら、聞き流しだけでもなんとかなるかもしれません。しかし、聞き流しだけではスピーキングの実践練習が足りないため、やはり他の学習を取り入れることになるでしょう。
つまり聞き流し学習は効果はあれど、万能なわけではないのです。
効果的な聞き流し学習のポイント
聞き流し学習だけでは、身につかないスキルがあったり、効率の良い学習ができないというのは、前述のとおり。ではそれをカバーする学習方法というものはあるのでしょうか。
ここからは、効果的に聞き流し学習をするためのポイントをご紹介していきます。聞き流しを英語学習に取り入れたいなら、ここからご紹介するポイントをおさえておきましょう。
今の自分の英語知識レベルに合った音源を選ぶ
効果的な聞き流し学習をするのにかなり重要なのが、今の自分の英語知識レベルに合った音源を選ぶということです。
もしも今のレベルに見合っていない難しい音源を選んでしまうと、全く意味がわからないため、英語の音に耳が慣れるという以外の効果が見込めません。目安としては、聞き流していて7割くらいは理解できるもの、もしくはスクリプトを見て8割〜9割くらい理解できるものを選びましょう。
今のレベルよりも簡単なものでも、英語の発音やリズムを掴むのには効果があります。リラックスして聞き流し学習をしたいなら、少し簡単だと感じる音源を選んでも良いでしょう。
意味を理解しようとすること
聞き流し学習で最も重要なポイントのひとつが、意味を理解しようとすることです。本当にただ聞き流しているだけでは、音楽をなんとなく流しているのと同じ状態になってしまいます。
その結果、英語を聞いたら自然とBGMのように聞くクセがついてしまうでしょう。
また、リスニング力アップに聞き流しを取り入れるなら、そもそも意味を理解できなければ意味がありません。リスニングでは、流れている音源の意味がわかっていることが大前提だからです。
ですから、聞き流し学習をするときには、意味を理解しようとすることを意識しましょう。
ただ、聞き流しをするときに、常に意味を理解しようとしなければならないわけではありません。疲れているときや、英語な気分に浸りたいときに、英語の音源を流して、ただ聞き流すのがダメというわけではないのです。
意味を理解しながら聞き流しをすることも習慣づいていれば、ただBGMのように英語を聞くだけの時間があったって構いません。
会話形式のものがおすすめ
聞き流し学習に取り入れる音源は、会話形式のものがおすすめです。
特にコミュニケーション能力をレベルアップさせたい人の場合、会話形式のものだと、ネイティブたちがどんなテンション・テンポで会話をしているかがわかるでしょう。また、日常会話の中でよく使われる表現などを学ぶこともできます。
日本語に比べると、声が表情豊かなことも感じ取れるかもしれません。
とは言え、一人の人が話し続けるスピーチ形式のものも、自分が実際にスピーチをするときには役立ちます。もしもスピーチもうまくなりたいということなら、スピーチ形式のものも、一緒に取り入れてみましょう。
要は、自分がどういうスキルを伸ばしたいかで、音源の種類を決めなければならないということです。
スクリプトを確認する時間を取る
聞き流し学習だけだと、英語を目にすることが少なくなってしまいます。また、本当にしっかり聞き取れているのかをチェックすることもできません。
ですから、聞き流しを英語学習に取り入れるときには、スクリプトを確認する時間も取り、自分がちゃんとしっかり聞き取れているのかを確認したり、知らなかった言葉のスペルをチェックしたりしましょう。
聞き流しは他の作業をしながらできる学習方法ですから、1日何度も取り組む人もいるでしょう。ですから、毎回毎回スクリプトを確認する必要はありません。1日1回厳選してチェックするくらいでも十分です。
1回だけなら、学習時間は10〜30分程度ですから、忙しい人でも時間が取れるのではないでしょうか。簡単にチェックするだけなら、10分もあれば十分でしょう。
これをやっておくかどうかで、聞き流しの効果が抜群に変わります。当然スクリプトを確認した方が、リスニングスキルをはじめ、さまざまなスキルがレベルアップしやすいため、聞き流しを取り入れる際には、スクリプト付きの音源を用意しておくと良いでしょう。
語彙力を養う学習もする
聞き流しだけでは語彙力はなかなか伸びないかもしれません。また、語彙力というのは反復練習が必要なものでもあります。
ですから、聞き流しを取り入れる人は、それとは別に語彙力を養う学習も取り入れましょう。
語彙量アップのための教材を使うのももちろん良いのですが、机に座ってじっくり教材に取り組む時間があまり取れない人もいるかもしれません。
そんな人におすすめなのが、英語学習用のスマホアプリです。スマホアプリなら、聞き流し学習と同様に、移動中や隙間時間を活用して英語の学習ができるため、忙しい人でも学習を習慣にしやすいはずです。
英語学習アプリはかなり種類が多いのですが、その中でも単語や熟語などに特化したものを選ぶことをおすすめします。また、文法を学べるものもあると、さらに良いでしょう。
語彙力や文法力を養うことで、聞き流しをしているときに英語を理解しやすくもなりますから、こちらも日常的に取り組むことをおすすめします。
気に入ったフレーズは真似をする
ただ聞き流しをしているだけでは、なかなかスピーキング力が伸びません。聞き流しをしながら、スピーキング力をアップさせたい人は、聞き流しをしつつ気に入ったフレーズや、使えそうなフレーズは真似てみましょう。
真似るときは、スクリプトなしでも構いませんし、短い文章でも大丈夫です。真似をすることで、英語を話すときのリズムやトーンなどの練習ができるでしょう。
もちろん、スクリプトを見ながら長文を真似れば、より力がつきやすいです。ただ、スクリプトを見るとどうしても学習時間が長くなってしまいますが、「ながら学習」がしづらいので、何かの作業をしながら聞き流しをしているときは、スクリプトなしで真似てみてください。
会話練習もしておく
英語を習得したい人のほとんどが、英語で会話ができれば良いと願っているのではないでしょうか。しかし、残念ながら聞き流しはスピーキング力アップにある程度の効果があるものの、聞き流しだけで英語がペラペラになることはとても難しいです。
ですから、会話の練習は聞き流しと並行して、他の方法で行いましょう。独り言を言ったり、シャドーイングをしたりするのも良いのですが、それは発音や英語の文章を口にする練習にはなっても、実践的な会話の練習にはなりません。
つまり、会話で必要になるテンポや反射的な返しなどの練習はできないのです。
より実践的な会話練習を求めるなら、ネイティブの友人と会話をしたり、オンライン英会話などを利用して、会話の練習をしたりしましょう。
聞き流しも並行して行うことで、よりスピーディーに会話力が向上していることを感じられるはずですよ。
聞き流しにおすすめの音源
聞き流しにはどんな音源を使えば良いのか悩んでしまう人もいるでしょう。
基本的には、自分のレベルに合った音源を選ぶべきですが、それだけだとちょっと判断つきづらいですよね。
そこでここでは、レベル別におすすめのツールをまとめてみました。音源を選ぶときの参考にしてくださいね。
レベル | ツール |
入門〜初級 | 該当レベルのリスニング教材、旅行英会話教材、子ども向け英語アニメ(字幕付き)、英語の童謡、英語学習者向けYouTube動画など |
中級(TOEIC550点以上) | 該当レベルのリスニング教材、子ども向け英語アニメ(字幕付き)、英語の歌、英語学習者向けYouTube動画、ティーン向け海外ドラマ、英語学習者向けPodcast、オーディオブックなど |
上級(TOEIC800点以上) | 該当レベルのリスニング教材、英語の歌、英語学習者向けYouTube動画、海外ドラマ・洋画(恋愛・ヒューマンドラマ)、英語学習者向けPodcast、オーディオブックなど |
超上級(TOEIC950点以上) | 海外ドラマ・洋画全般、英語ニュース系Podcast、オーディオブック、英語のテレビ番組など |
聞き流しはポイントを抑えれば効果を発揮する!
よく効果があると言われる英語の聞き流しですが、実際のところは、闇雲に聞き流しているだけでは、あまり効果は期待できません。
ですから、聞き流しを効果的に取り入れたいのなら、ポイントを抑える必要があるのです。
今回ご紹介した注意点やポイントを意識しつつ、聞き流しをしてみれば、きっと効果を感じられるはず。なかなかまとまった学習時間が取れない人にも、気軽に取り組みやすい学習方法ですから、ぜひ試してみてくださいね。