シャドーイングと言えば、英語の学習方法として人気かつ効果が高いと言われる手法ですよね。
英語を習得しようとしている人は、やったことがなかったとしても、聞いたことくらいはあるのではないでしょうか。本当に効果があるならやってみたいと思う人もいるでしょう。
そこでこの記事では、シャドーイングの効果ややり方をご紹介します。
これからシャドーイングをやりたいと思っている人はもちろん、シャドーイングを実践しているのに効果がでない人も、これを参考にすれば効果的なシャドーイングが出来るようになるはずです。
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シャドーイングとは?

シャドーイングがどんなものかあまり知らない人のためにご説明すると、シャドーイングとは、音源を聞いて、まるで追いかけ再生や輪唱をするように音源を真似る手法のことを言います。
ちなみに輪唱とは、「カエルの歌が聞こえてくるよ」という歌詞でおなじみの「かえるのうた」のように、同じ旋律を一定間隔でずらして追いかけて歌うもののことを言います。
英語で言うシャドーイングでは、もちろん英語の音源を使います。
また、基本的には音源のスクリプトは見ずに聞いたままを追いかけて行くのですが、スクリプトを見て行う場合も「シャドーイング」となります。
シャドーイングの5つの効果

英語学習にシャドーイングを取り入れると、どんな効果があるのか気になる人は多いでしょう。ここではシャドーイングの効果を5つにまとめてご紹介します。
ここで紹介するスキルに伸び悩んでいる人には、シャドーイングはとてもおすすめの学習方法ですよ。
1. リスニング力が向上する

シャドーイングでは英語の音源にじっくり耳を傾けることになります。シャドーイングでは聞き取ったものをそのまま真似をするのですが、しっかり音を聞かなければならないため、自然とリスニング力が向上していくのです。
特に英語の音に慣れていなくて、子音や音の繋がりであるリエゾンが聞き取れていない人は、シャドーイングを習慣化することでリスニング力もアップすることができるでしょう。
2. 発音が改善される

シャドーイングをする場合は、聞き取った文章を発話することになりますから、繰り返していれば発音も改善されていきます。
日本語はほとんどの音に母音がくっついていますが、英語は子音単体の音が多いです。そのため、日本人にとって英語は発音しづらい言語のひとつなのです。
英語のレベルが上がっても、不要な母音がくっついていたり、母音メインの発音になってしまったりする人はいます。
しかしシャドーイングをすることで、子音のみの発音をする訓練をすることになりますから、英語らしい発音が次第にできるようになっていくのです。
3. 英語のリズムや強勢が身に付く

英語には英語独特のリズムや強勢といったものがあります。
特に日本人が英語を話すと、平坦でロボットのような話し方になりがちなのですが、シャドーイングで英語音源のリズムや強勢も真似ることで、自然と英語のリズムや強勢が身についていくのです。
しっかりシャドーイングができていれば、あまり「リズムや強勢をチェックする!」と意識しなくても、繰り返しているうちに自然と身についていきます。
4. 語彙力や文法力がつく

シャドーイングが正しくできていれば、語彙力や文法力もついていきます。
特にスクリプトを見てシャドーイングをしていれば、真似をするときに聞き間違えたまま発話することはありませんから、正しい語彙・正しい文法が身についていくでしょう。
シャドーイングで語彙力や文法力を向上させるためには、スクリプトが必須です。さらに日本語訳がついていれば、意味を間違えて覚えることもありません。
5. 英語を読む力がつく

スクリプト付きでシャドーイングをする場合は、自然とリーディング力もアップしていきます。これは、英文を目で見て読むことが習慣になるからですね。
その文章に慣れていなくて、最初はただ音と文字を拾っているだけだったとしても、同じ音源を繰り返し使っていれば、余裕が出てきて読みながら発音しながら理解ができるようになっているはず。
英語を読む力をつけるためには、何度もシャドーイングをすることが大事ですが、シャドーイングのやり方次第ではリーディング力もかなり向上するでしょう。
シャドーイングは正しいやり方が大事!

ここまでシャドーイングの効果を見て、「シャドーイングをすれば、かなり英語力アップにつながる」と感じた人もいるでしょう。確かにシャドーイングはリスニングやスピーキング力だけではなく、さまざまな英語のスキル向上に役立ちます。
しかしそれは、シャドーイングを正しく英語学習に取り入れた場合。もしも効果が出づらい方法でシャドーイングを繰り返していると、思ったほど英語力の向上を感じないかもしれません。
シャドーイングは聞いた音源を追いかけ再生のように真似て発音するものですが、本当に英語の音源をただ聞いたまま真似しているだけでは、なかなか英語力向上に結びつきません
なぜなら、そもそもリスニングスキルが足りていない人は聞き間違いをするからです。
聞き間違いをしたまま発音をしても、リスニング力もスピーキング力もあまり向上しないだけではなく、語彙力や文法力といった面でも、間違えたまま覚えてしまいます。
そのため、英語学習にシャドーイングを取り入れる場合は、しっかり効果が出るようなやり方でシャドーイングに取り組むべきなのです。
シャドーイングの効果を最大限に発揮するやり方とは?

効果的なシャドーイングをするためには、正しいやり方が大事というのは前述のとおりです。
では具体的に、どんな風にシャドーイングをすれば、効果を感じることができるのでしょうか。
ここからは、シャドーイングの効果を最大限に発揮するためのシャドーイングのやり方について解説していきます。
シャドーイングは基礎英語ができてからが望ましい

シャドーイングを英語学習に取り入れる前に、まずは基礎的な語彙力や文法力を身につけておきましょう。
これがなければ、音源を聞いたときに理解できることがかなり少なくなるからです。わかることが少ないことで、ストレスにも感じてしまうでしょう。
基礎英語とは、一般的に中学レベルの英語のことを言います。ですから、全くこれまで英語を習ったり勉強したりしたことがない人は、シャドーイングの前に中学レベルの英語習得からはじめてみてください。
とはいえ、初心者がシャドーイングを全くやってはいけないというわけではありません。基礎語彙力や文法力を身につけながら、習得した範囲でシャドーイングをやるという方法なら、習得した知識を確かなものにするのに役立ちます。
つまり、基礎英語が出来上がるまで、シャドーイングメインの学習はおすすめできないということなんですね。
シャドーイングを習慣化させる

シャドーイングを英語学習に取り入れるなら、習慣化させて、ほとんど毎日シャドーイングに取り組みましょう。
特にリスニングやスピーキングといった技能は、習慣化させることで、効率よく鍛えていくことができます。
シャドーイングには集中力が必要ですから、長時間取り組む必要はありません。10分ずつ3回にわけてやってみたり、15分ずつ2回など、色々と工夫してみましょう。10分15分くらいなら、忙しい人でも時間を作れるのではないでしょうか。
また、習慣化させるためには、「朝起きたらシャドーイングを1セットする」「帰宅したら即シャドーイングをする」など、日々のルーティンの中に自然に取り入れるようにしてみましょう。そうすれば、より習慣化しやすくなります。
一度に長時間はやらないこと

前項で少し触れているとおり、シャドーイングはかなり集中力を要するメソッドです。そのため、長時間やろうとすると疲れてしまいますし、ストレスにもなるでしょう。
脳が疲れた状態で学習に取り組んでも、あまり効果は望めません。ですから、シャドーイングに取り組むなら短時間で細切れに取り組むのが良いのですね。
おすすめは1回15分くらい。長くても30分くらいが良いでしょう。それを1日2回〜3回くらい行えば、シャドーイングによるリスニング力やスピーキング力の向上を感じやすくなるはずです。
ただし、シャドーイングが楽しすぎてやめられない!という人は、短時間にこだわりすぎる必要はありません。
やりたくてやっているなら、1時間でもシャドーイングに取り組むと良いでしょう。楽しいと感じているときは、しっかり効果が現れるからです。
つまり、モチベーションもなく、疲れも自覚している状態で無理に長時間取り組むのはやめましょうということです。
自分のレベルや目的に合った音源を選ぶ

シャドーイングをする際には、自分の今のレベルや目的に合った英語音源を選びましょう
初級レベルの人が上級レベルの音源に挑戦しても、急なレベルアップは見込めません。上級レベルの人が初級レベルのものに取り組んでも、あまり効果は出ないでしょう。
また、目的に合わせた教材選びも重要です。特に英検やTOEICなどの検定を受けようとしている人は、その検定で出てくる単語や文法問題に慣れる必要があります。
旅行英語を習得したい人は旅行英語の教材を使うのが良いでしょう。英語のレベルが高くて時々英語を身につけたいと思っている人なら、ニューススクリプトを使っても良いでしょう。
そんな風に現在の自分のレベルや目的に合った音源を選ぶことで、より効果的かつ効率よく、シャドーイングを英語習得に生かすことができます。
シャドーイングを録音する

シャドーイングをするときには、録音もしておきましょう。
自分の英語の発音を聞き、オリジナルの音源と聴き比べることで、自分がどういう音が聞き取れていないのか、そしてどの音が発音できないのかが明らかになっていきます。
録音を日付とともに保存しておけば、数ヶ月後に振り返って自分の上達度をチェックすることもできますね。録音をするなら、容量の多いストレージなども用意しておくのもおすすめです。
スクリプトを見ながらシャドーイングする

シャドーイングでは、基本的には何も見ずに聞こえてきた音をそのまま繰り返します。
しかしこの方法では、なかなか英語知識が育たないため、英語全体の総合力としては思うほどのレベルアップが見込めません。
これは、聞き間違いをしているものはそのまま覚えてしまうこと、また聞き間違いや発音の間違いに気付けないことが関係しています。
そのシャドーイングのデメリットをカバーするためには、スクリプトを見てシャドーイングをする手法も取り入れましょう。
スクリプトを見ながらなら、聞き間違いは起きません。発音の間違いはあるかもしれませんが、少なくとも読み間違いもしないでしょう。
また、スクリプトを見ることで、「何を言っているかわからなくて、真似ができない」という問題もある程度回避できます。スクリプトがあれば、何を言っているかは目で確認できるからです。
意味を理解しながら読み上げるよう意識をする

シャドーイングをする時には、音を追いかけることになります。
しかし、音だけを聞き、そのままその音を発話するという方法だと、単純に英語の音を習得するだけのシャドーイングになってしまいます。
ですから、シャドーイングをする際には、自分が真似ている文章の意味も理解しながら取り組むようにしてみましょう。
最初は音だけ拾って、音に慣れてきたら意味を考えるという流れでも構いません。とにかく、英語の音をBGMのように聞いてしまわないように、音を聞いて理解する訓練をしましょう。
ネイティブスピーカーに採点してもらう

シャドーイングは発音改善などに効果のある方法ですが、シャドーイングをしている自分の発音が正しいのか間違っているか自分では判断できないこともあるはずです。
しかし、間違ったままの発音で覚えてしまうと、あまりスキルアップは見込めませんよね。
そこでシャドーイングをしたら、自分の発音やリズム、強勢などをネイティブスピーカーにチェックしてもらいましょう。そして、著しく発音がおかしい箇所を直してもらってみてください。
相手は英会話講師でも友達でも構いません。シャドーイングを録音していればチェックしてもらいやすいですから、チェックしてくれる相手がいる人は、シャドーイングの録音をお忘れなく。
基本的なシャドーイングのやり方をステップで解説!

ここまで効果的なシャドーイングのやり方を解説しましたが、これだけだとどのようにシャドーイングに取り組めば良いかよくわからない人もいるでしょう。
そこで、基本的なシャドーイングのやり方も作成してみました。ステップ別に解説していくので、シャドーイングの取り組み方がわからない人は、まずはこちらを参考にシャドーイングに取り組んでみましょう。
もちろん、これは一例ですから、やり方は多少違っても問題ありません。上記でご紹介した「シャドーイングの効果を最大限に発揮するやり方とは?」を参考に、効果的なやり方をおさえて取り組めていれば、効果は出るでしょう。
ステップ1. スクリプトを見ながら音源を聞く

シャドーイングに取り組む音源を決めたら、まずはスクリプトを見ながらその音源を聞いてみましょう。
ちなみに音源は1分程度のものが使いやすいでしょう。1分くらいなら繰り返し練習がしやすいですし、知らない単語の数も少ないはず。
また、あまり時間がないときでも短時間集中的に取り組むことができます。
ステップ2. 知らない単語の意味を調べる

一度音源を聞いたら、今度は知らない単語の意味を調べておきます。意味を調べておくことで、意味を理解しつつ聞くことができるようになるはずです。
和訳がついている教材の場合は、和訳は見ないようにしてください。ここではあくまで単語の意味を調べるだけにしておきましょう。
ステップ3. スクリプトを見ながらシャドーイング+録音

単語の意味を調べたら、次はスクリプトを見ながらシャドーイングをします。この時、何度かシャドーイングをしても良いですが、一番最初のシャドーイングは録音しておきましょう。
最初の発音を録音しておくことで、あとから上達をチェックすることができるからです。
また、この時余裕があれば、シャドーイングをしながら意味も理解できると良いですね。ただし、この時点では無理をする必要はありません。出来る範囲で意味も追いかけてみましょう。
ステップ4. 録音を聞いて発音を確かめる

1回、もしくは数回スクリプトを見ながらのシャドーイングをしたら、一度録音したものを聞いてみましょう。
オリジナルの音源とも聞き比べをして、発音やリズム、強勢が間違っているところをチェックします。
できればスクリプト自体に書き込みをするのがおすすめです。発音が間違っているところにマーカーを引いたり、どこを強く読まなければならないかなどわかりやすく書き込んでおきましょう。
ステップ5. 発音の間違いに注意しながらシャドーイングする

発音の間違いをチェックしたら、またスクリプトを見ながらシャドーイングをします。
この時、発音の間違いを訂正できるように意識しながら、シャドーイングに取り組んでみてください。
一度ですべてを訂正するのは難しいので、この時点では何度かシャドーイングを行いましょう。
また、繰り返しシャドーイングを行ううちに少し慣れてくるでしょうから、意味も正確に把握できるように意識してみましょう。
ステップ6ではスクリプトなしでシャドーイングを行いますが、もしもこの時点で意味がわからない場合は、和訳にも頼って意味を確認しておくことをおすすめします。
ステップ6. 慣れてきたらスクリプトなしでシャドーイング

スクリプトを見ながらのシャドーイングに慣れてきたら、次はスクリプトを見ずにシャドーイングをしてみましょう。
スクリプトなしでシャドーイングをするのは難しいですが、すでに慣れているこの時点なら、それほど難しいとは感じないはずです。
これも何度か繰り返し行いましょう。スムーズにシャドーイングができるようになるまでやれば、完璧ですね。
ステップ7. 最後の1回を録音してチェック

スクリプトなしでもシャドーイングがスムーズにできるようになったら、最後の1回を録音してシャドーイングのまとめに入ります。
ここで録音したものをオリジナル音源と比べて、まだ気になる箇所があるようならそれをチェックしておきます。
また、最初に録音した自分のシャドーイング音源とも聴き比べてみましょう。一度の練習でもかなり上達していることが感じられるはずです。
シャドーイング用の音源を選ぶポイント

効果的なシャドーイングを行うためには、シャドーイングに用いる音源選びもとても大事。そこで、シャドーイング用の音源を選ぶポイントもまとめてみました。
どんな音源・教材を選べば良いかわからない人は、こちらのポイントを参考にして効果的にシャドーイングができる音源を探してみましょう。
自分のレベル・目的に合ったものを選ぶのが鉄則!

シャドーイング用の音源を選ぶときは、自分のレベルや目的に合ったものを選ぶのが鉄則です。
繰り返しになりますが、検定合格を目指している人は、その検定のリスニング問題や長文問題を読み上げた音源を使うべきですし、何か特定のジャンルの英語を習得したい人は、それに沿った教材を使いましょう。
また、中級レベル以上の人で、「海外ドラマが理解できるようになりたい」「時事問題が理解できるようになりたい」など、少し高度な目標がある人は、実際に海外ドラマやニュースを使っても問題ありません。
レベルや目的に合っていれば、市販教材にこだわる必要はありません。インターネット上で拾えるものでも良いですし、NetflixなどのVODを使っても良いでしょう。
スクリプト・字幕付きのものを選ぶ

効果的なシャドーイングをするためには、スクリプトや字幕は必須です。そして中級レベルくらいまでの人は、和訳もついているものだと、間違って理解することを防げます。
ですから、シャドーイングで市販教材を使う必要はないとは言え、中級レベルくらいまでの人なら市販のリスニング教材を使った方がやりやすいでしょう。市販の教材には和訳もついているからです。
もしも教材を使わない場合も、スクリプトは必須。海外ドラマなどをシャドーイングにもちいるなら、字幕付きのものを選ぶようにしましょう。
この時の字幕は、できれば自分で書き出しておけると良いですね。書き出しが必要なことを考えると、短めのものを選ぶのが良いでしょう。
1回分は3分以内

シャドーイングは何度も繰り返し行うことで効果が発揮されます。そのため、1回のシャドーイングに使う音源は3分以内のものが良いでしょう。英語のレベルが低ければ低いほど、短めのものがおすすめです。
3分というと短く感じるかもしれませんが、シャドーイングをしているときっと長いと感じるはずです。
はじめてシャドーイングをする人なら、1分以内のものから探した方が良いかもしれませんね。
なるべく綺麗な発音のものを!

シャドーイングの音源は市販教材にこだわる必要はありません。しかし、市販教材以外を使うなら、発音が綺麗なものを選びましょう。
スラングが多すぎたり、ラフな発音だったりするものは避けてください。ゆくゆくはそうした英語を身につけたいと思っていても、まずはスタンダードな英語を身につけることが大事です。
ちなみに「こんな発音になりたい!」と思える発音のものを選べば、シャドーイングでその発音に近づけますよ。
正しいやり方で効果的なシャドーイングを!

シャドーイングは効果的な英語学習方法としておすすめの手法ではあります。しかし、ただ闇雲にシャドーイングをしていても、望むような効果はなかなか得られないでしょう。
今回ご紹介したやり方を参考にしつつ、正しいやり方でシャドーイングを習慣にすれば、数ヶ月後には驚くような効果が出ているかもしれません。
シャドーイングをしたことがない人も、取り組んでいてなかなか効果が出ないと思っている人も、正しいやり方を意識しつつ、効果的なシャドーイングに取り組んでみてはいかがでしょうか。