外国語習得の壁、日本語耳はいつできる?

 独立行政法人理化学研究所は10月22日、日本人とフランスの乳幼児それぞれの、単語の聞き分けおよび認識に関する研究結果を発表した。

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 独立行政法人理化学研究所は10月22日、日本人とフランスの乳幼児それぞれの、単語の聞き分けおよび認識に関する研究結果を発表した。

 日本人は外国語の単語に、架空の母音を付け加えて聞く、独特な「日本語耳」を持つといわれていて、これが外国語の音の聞き分けが苦手になる大きな理由と考えられている。

 この「日本語耳」は、いつごろから発達していくのだろうか? 理化学研究所の脳科学総合研究センター言語発達研究チームらは、日本人とフランス人の生後約8か月と14か月の乳幼児各24人に、「abna」「ebzo」などの連続した子音が含まれる単語と「abuna」「abuzo」のように母音を挿入した単語を聞かせて、乳幼児が区別しているかどうかを調べた。

 その結果、生後8か月まではどちらの乳幼児も聞き分けていたのに対し、日本人は生後14か月までに子音の連続が含まれる単語と、子音の連続が含まれない単語の音を区別できなくなっていた。

 言語には、母音や子音の組み合わせ方についての規則がある。日本語の音節は子音と母音からなるのが原則で、日本人はそれに合わない外国単語に「u」や「o」の母音を挿入して日本語の規則に合うように修正して発音したり、聞いたりしてしまうという。このような、外国語の音を母語の音の体系に合わせて発音したり知覚したりしてしまうことを「修復」という。たとえば、ハンバーガーチェーンの「McDonald」は、英語では3音節だが、日本語では母音を足して「ma.ku.do.na.ru.do」と修復して発音するため、英語を母国語とする人に、英語の「McDonald」とは通じない。

 これまで修復はたくさんの語彙(い)を獲得した結果起こるものだと考えられていたが、文字も知らない乳幼児期からすでに音の並びや規則を獲得することが始まっているという重要な発見となった。

 この研究成果については、米国の科学雑誌「Developmental Science」に近く掲載される予定という。
《前田 有香》

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