日本の中学校英語を考える…小中高をつなげる視点から

 上智大学四谷キャンパスにて「応用言語学シンポジウム2011」が開催され、来年から新指導要領が本格実施となる中学校英語から、小中高の英語教育連携について、問題提起と議論が行われた。

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 12月4日 上智大学四谷キャンパスにて「応用言語学シンポジウム2011」が開催され、来年から新指導要領が本格実施となる中学校英語から、小中高の英語教育連携について、問題提起と議論が行われた。

 午前は「小学校外国語活動と中学校をいかにつなげるか」という問題を見るため、中学生の英語に関する調査と実践事例の紹介が行われた。

 調査結果では、Benesse教育研究開発センターと東京外国語大学による、中学生と保護者の意識調査結果を報告した。

 小学校の外国語活動は生徒の4分の3が「授業が楽しい」という結果になっているが、中学校に上がってからの英語学習の為に小学校でももっと「読む」「書く」という技能の勉強もしたかったという声も多かったという。

 また、保護者の関わりが、子どもの学習意欲や成績に大きく影響しており、保護者が外国語活動に興味を持ち子どもに学ばせたいという意欲が高い親ほど、子どもの成績も高く学習意欲も高いということもわかったという。

 実践事例は足利市立山辺中学校の中池さな恵先生による発表が行われた。

 実際の小学校での外国語活動を参観したところ、ALTによる英語学習では、中学校で学ぶような表現もすでに耳にしており、ネイティブの発音にもある程度慣れていることがわかったという。

 それにより中学校での英語学習の在り方も、小学校で学んだ生徒の意欲をさらに伸ばしてあげる方法が必要だという。

 カリキュラムの実例や、小学校で行っている外国語活動と同じ方法を中学校授業にもいかに取り入れ、小中での連携をスムースにするかについて具体的な例や映像が提示された。

 午後はより具体的に中学校英語について、講演とパネルディスカッションが行われた。

 東京外国語大学の根岸雅史氏による「中学校英語で大切に育てたいもの」として、旧・現行・新課程の中学校教科書比較により見えてくるものを解説した。授業数の制限などから今までのアウトプットの練習が少なかったが、新課程では練習量が増えることで実践的な英語が身につくことが期待される。

 最後にシンポジウムとして5人のパネリスト、田中茂範氏(慶応義塾大学)、アレン玉井光江氏(青山学院大学)、長沼君主氏(東京外国語大学)、金森強(松山大学)、根岸雅史氏(東京外国語大学)による発表と、会場を交えた質疑応答が行われ、来年からの中学校英語教育の実践指導について議論が交わされた。
《キンジロー》

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