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【e絵本】現代文・音楽・絵で、新たな「銀河鉄道の夜」を

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銀河鉄道の夜
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 宮沢賢治の代表作として知られる「銀河鉄道の夜」。世に出て80年近くが経つこの作品を、アーティストの絵と音楽が彩る、注目の絵本アプリを見つけた。

 iPhone/iPadアプリ「音楽絵本・銀河鉄道の夜」。文・絵・デザイン/西念武志、音楽/Moskitoo、各450円。配信元は西念武志。

 「銀河鉄道の夜」といえば、ジョバンニとカムパネルラの少年2人が銀河を走る鉄道に乗り、不思議な旅をする話だ。作者・賢治の逝去により未完成な形で発表されたことや、作中の独特の造語などから、読み手によって解釈に幅が出る。また、子どもを主人公としつつ、「死」やその周辺の哲学的ともいえるテーマを扱うため、読むたびに違う側面を発見できるのも面白みのひとつだ。一生を通してつき合える作品である。

 ぜひ子ども時代から親しんでほしい。が、いかんせん80年も前の文章、原文だと表現が固く、挫折する子も多いのでは…。そこで登場するのが、今回のアプリ。原文のテイストは保ちながら、平易な現代文に組み直されているので、ひっかかりなく読み進められる。

 さらに、「音楽絵本」のタイトル通り、細やかな音楽と絵が想像の広がりを促す。決して作品世界を邪魔しない、寄り添うような音と色だ。

 このアプリを作った西念さんは、子どものころから賢治の作品が好きだったそう。その出会いはユニークで、中学時代、図書館で借りた朗読CDにより耳から魅力を知った。だから自分の表現にも、「耳からの刺激」を取り入れたかったのだという。

 制作中には、賢治・西念さん・Moskitooさんの「3人のセッション」であるという気持ちも強くあった。確固としてある賢治の世界を「主」、新たに加える自分たちの表現を「従」としながらも、原文に引っ張られて大人しくなりすぎないよう、検討は回を重ねた。

 こうして世に出た「音楽絵本・銀河鉄道の夜」。「原作の焼き直し」なんて概念は軽々飛び越えて、これはもはや、ひとつの新たな作品だと私は感じる。子どもに限らず、いまを生きる多くの人に読んでほしい。
《寺島 知春》

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