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小学生向けタブレット通信教育「スマイルゼミ」、月2,980円から…ジャストシステム

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スマイルゼミの専用端末(スケジュール画面)
  • スマイルゼミの専用端末(スケジュール画面)
  • 算数の文章問題を段階を追って説明する
  • 理科の振り子の実験では、動画で周期の確認ができる
  • 繰り上がりのある2桁の足し算も、計算過程の説明がある
  • 専用端末だが、ベースはAndroidタブレット。各種ポートが備わっており、拡張性も確保されている
  • 漢字検定に準拠した漢字ドリル。指で手書き入力ができるので紙やペンがなくても自習できる
  • ジャストシステム ライセンス事業部 事業部長 植松繁氏
  • PISAの調査に見る日本の学力低下。ゆとり教育の弊害ともいわれている
 ジャストシステムは11月20日、小学生向けの通信教育事業に関する新しいサービスの発表を行った。「スマイルゼミ」と名付けられた新しい教材は、クラウド上のサーバーに展開された小学生向けの学習支援ソフトを、専用のAndroid端末によって月額固定料金で利用するというものだ。

◆脱ゆとりが生む新しいひずみ

 ジャストシステムといえば、パソコン市場の黎明期の日本語ワープロソフト「一太郎」や漢字変換フロントエンドプロセッサ「ATOK」で一般にも有名な企業だが、「ジャストシステムは10年以上前からこの分野に取り組んでおり、小学校向けの学習支援ソフト「ジャストスマイル」は、実に80%もの小学校に導入されています。」と語るのは、同社ライセンス事業部 事業部長の植松繁氏だ。

 植松氏によれば、ジャストシステムの教材は、小学校での利用を考慮した「ATOKスマイル」(ログインした児童の学年によって変換する漢字を制御できる)をはじめ、どの教材も学校現場の要望を反映させており「かゆいところに手が届く教材との評価もいただいている。」とのことだ。

 学校教材として実績のあるジャストシステムが、今回の新事業で家庭での学習教材に目を向けたのは、2011年の学習指導要領の改訂にあるという。昨年の改訂は、2002年からの学習指導要領のテーマだった「ゆとり教育」が一因といわれる小学生の学力低下問題を解消すべく、学習範囲や授業時間、教科書のページ数などが拡大されたのが特徴だ。新しい指導要領では、脱ゆとりを目指すわけだが、植松氏は「そこに問題もある」という。

 新しい指導要領では、教科書のページ数は1.5倍に増えたが、授業時間は1.1倍とほとんど増えていない。そのため、現場の先生たちからは、授業時間が足りない、漢字については自宅学習をお願いしたい、といった切実な声が聞かれるというのだ。植松氏は「授業で落ちこぼれないためには、家庭学習の重要性が増していくとみています。その支援のためのツールとしてスマイルゼミを開発しました。」と、その開発の背景を説明した。

◆継続できる家庭学習

 家庭学習では、よく通信添削講座が利用される。しかし、「通信講座の問題は継続性にある。ある調査では、通信添削講座を利用したことのある家庭は42%と高い利用経験を示していますが、その半分に近い46%が現在は退会して利用していないと回答しています。その理由は、子どもが自発的にやらない、親が丸つけなどケアする時間がない、教材がたまっていく、などがアンケートやグループインタビューで判明しています。」と述べるのは、スマイルゼミの企画責任者であるライセンス事業部 企画部の寺尾房代氏だ。

 そのため、スマイルゼミでは、親も子どももモチベーションを維持でき、継続できる通信教育にすることを目指して開発を行ったという。継続させるポイントとしては「五感を使って理解が深まる」「やる気を高めて夢中になるしくみ」「取組み状況の可視化」の3つを挙げた。

 たとえば、「動画や音声を活用したコンテンツと、その場で答え合わせができる達成感で、より理解を深めます。」(商品制作部コンテンツグループ 細川由紀子氏)と、タブレットとクラウドという特性を生かした教材開発を心がけている。実際に、国語の教材では漢字の書き取りは、タブレットを指でなぞることで書き順や、はね、はらいなどのポイントも学習でき、音声の再生により聞き取り問題も可能である。録音機能を使った音読教材では、自分の朗読を聞きなおしたりもできる。算数ではアニメーションにより図形問題の理解を助け、理科の実験動画や社会の地図(拡大縮小可)、グラフの読み取りなどにも威力を発揮するという。

◆専用タブレットでモチベーションアップ

 インタラクティブな教材によって、文字どおり五感をフルに使うため、子どもの集中力が増すわけだが、スマイルゼミでは、子どもに自分専用のタブレットを使わせるので、これもモチベーションアップにつながるという。「タブレットには主要4教科の教材だけでなく、日記やスケジュール管理に使えるツールや写真・アルバム・壁紙機能もついて、自分専用にカスタマイズできます。」(ライセンス事業部開発部 大島教雄氏)とのことで、タブレットへの愛着も増すだろう。

 モチベーション維持には、ゲーミフィケーションの要素も取り込まれている。問題に正解すると「スター」というアイテムが手に入り、それをためるとゲーム画面を楽しむことができるようになっている。スターの目的はそれだけでなく、獲得したスターを親にメールなどで知らせることができ、親は、子どもたちの学習結果をリモートでも確認でき、それにコメントを返すことで、コミュニケーションをとったり、学習状況をリアルタイムで確認できるようになっている。スター獲得によるゲーミフィケーションを自動化せず、親を介在させるインターフェイスは評価すべき機能だろう。これらの学習結果は、サーバーにログとして保存され、あとで閲覧、分析も可能だ。これが「取り組みの可視化」機能となる。

 このうち、親へ連絡する機能は、タブレットが撮影した写真を添付することもできる。この機能は、たとえば学校からの連絡帳や配布物を写真に撮って親に送るために使えるが、帰宅しても連絡帳や配布物を親に見せず、当日の朝に持っていくものを言われたことのある親なら便利さは納得だろう。寺尾氏がこだわった機能のひとつだ。

◆学習ログはセキュアなクラウド保存

 スマイルゼミは、11月20日午後1時30分から申し込みの受付けを始めている。コンテンツの公開は12月17日からだ。入会金は1,050円で、専用Android端末は28,350円となっているが、12月20日までの申込みについては、入会金と端末代が無料となり、30日間の返金保証と図書カード1,000円分の特典もつくそうだ。教材使用料は、小学1年生の1年契約時の月額単価は2,980円で、6年生が4,980円(同前)となっている。すべての教材は、学習指導要領に準拠しており、学校の授業や教科書との整合性も高い。コンテンツには、ジャストシステムのこれまでの教材作成ノウハウが生かされているので、同社の教材の利用経験者なら内容への安心感もあるだろう。

 タブレットは自宅のWi-Fiルーターを経由してクラウド上のサーバーに接続されるが、専用のアプリのみがインストールされた状態で、汎用的なブラウザやメールソフトなどは使えないそうだ。接続もスマイルゼミのサーバーだけにつながるようになっており、インターネットとは直接つながっていない。親とメッセージをやりとりするのもスマイルゼミのサーバーを中継し、成績や学習ログの確に認も端末からはアクセスできないようになっている(親向けの専用サイトを利用する)。したがって、盗難や紛失で個人情報にアクセスされる危険は少ない。このように、セキュリティに関しても一定の配慮がなされているようだ。
《中尾真二》

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