8割近くの中高生が将来に前向き、親の9割は子どもの将来が不安…NHK意識調査

 将来を前向きに考える中高生が8割近くに上る一方、大部分の親が子どもの学力や将来の就職難を心配していることが、「第5回中学生・高校生の生活と意識調査」の結果からわかった。教育費を負担に感じる父母は6割を超えたが、7割以上が「教育費は惜しまない」と考えてた。

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進学の最終目標
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  • 子どもにかける教育費は惜しまないか
 将来を前向きに考える中高生が8割近くに上る一方、大部分の親が子どもの学力や将来の就職難を心配していることが、「第5回中学生・高校生の生活と意識調査」の結果からわかった。教育費を負担に感じる父母は6割を超えたが、7割以上が「教育費は惜しまない」と考えていた。

 調査は、NHKが2012年夏、全国の12~18歳の男女1,800人と、その父母1,800人を対象に実施した。1982年、87年、92年、2002年に続き、10年ぶり5回目。生徒は個人面接、保護者は配布回収方式で調査した。

 進学の最終目標について中高生にたずねた結果では、「大学まで」が55%ともっとも多く、「大学院まで」と合わせと6割近くに上り、これまでの調査で最多だった。過去30年の推移を見ると、「大学・大学院まで」進学したい人は、男子が47%から64%、女子が23%から53%へと増加していた。高学歴を目指す女子が飛躍的に増えていた一方、男子とは依然として10%以上の差があった。

 「夏休み以外の普段の日、学校以外のところで1日平均何時間くらい勉強しているか」たずねたところ、「ほとんど勉強しない」中学生は15%、高校生は30%だった。「ほとんど勉強しない」を0分、「1時間ぐらい」を1時間とし、さらに「5時間以上」を5時間として、平均勉強時間を算出したところ、中学生は1時間17分、高校生は1時間6分という結果になった。過去30年の推移では、平均勉強時間は02年まで中高ともに減少傾向にあったが、今回は下げ止まっていた。

 学習塾や予備校に通っている生徒は、中学生48%、高校生20%。この30年間では、中学生が92年まで増加を続け、その後減少した一方、高校生は87年から92年にかけて増えたが、その後は横ばいで推移している。男女中高別にみると、塾に通っている割合は男子中学生で高く、52%と半数を超えていた。

 「一生懸命勉強すれば、将来よい暮らしができるようになる」という意見についてどう思うかたずねたところ、「そう思う」が中高ともに79%に上った。02年と比べると,中高ともに「そう思う」が大きく増加し、勉強は将来の暮らしに役立つと考える生徒が増えていた。一方、親に対して同じ質問をしたところ、父母ともに「そうは思わない」が約6割を占め、「そう思う」を上回った。

 「受験勉強は、よい学校に行くためだけで、本当の勉強とはいえない」と思うかどうかについては、「そうは思わない」が中学生で60%、高校生で57%と、いずれも過半数を占めた。「そう思う」とした中高生は3割前後だった。親にも同じ質問をしたところ、「そう思う」と、受験勉強を否定的にとらえている父親は6割に上った。一方、母親は「そう思う」と「そうは思わない」がほぼ同数だった。

 子どもが「社会に出るころ、若者が就職することは今より難しくなる」と思うかどうかをたずねたところ、父母ともに「そう思う」と答えた人がもっとも多く、父親58%、母親52%だった。「どちらかといえば」を合わせると、9割が将来若者の就職が今より難しくなると考えていた。子どもの学力について、どの程度心配しているかたずねた結果では、「とても」と「ある程度」を合わせた「心配している」という人は、父親で65%、母親で73%を占めた。

 普段の生活の中で「子どもと意見が合わないこと」を選択肢から複数回答で挙げてもらったところ、「勉強の仕方や勉強時間」がもっとも多く、父親30%、母親40%だった。30年前と比べると、「言葉づかい」「テレビの番組の選び方」「髪型」「服装」など多くの項目で、意見が合わないという割合が父母ともに減っていた。

 「わたしは、子どもの勉強や成績について、うるさく言うほうだ」という問いに対しては、「そうは思わない」が父親80%、母親62%と多数派だった。ただ、母親については「そう思う」という回答が37%と、過去30年でもっとも多く、「勉強や成績についてうるさく言う」母親が増えているという結果になった。

 学校の授業料や学習塾、習い事の費用などの教育費が、家計の負担になっていると思うかどうかたずねた結果は、「どちらかといえば」を含めて「負担になっている」と答えた父母が6割を超えた。一方、「子どもにかける教育費は惜しまない」と思うかどうかについては、「どちらかといえば」を合わせて「惜しまない」が、父親で70%、母親で74%に上った。

 父母の学歴や生活程度によって、教育費負担についてのとらえ方や子どもの勉強への取り組みに違いがあるかどうかを調べたところ、親の学歴や生活程度が高い子どもは高学歴志向で、塾に通っている割合が高く、勉強時間も長かった。父母の生活程度の認識別に、教育費の負担感についてみていくと、父親では生活程度に対する認識が「下」の人で「負担になっている」が76%と、「上」の52%や「中」の58%を上回っていた。母親も同じ傾向が見られ、父母ともに生活程度の認識が低い人に、教育費が家計の負担になっていると考える人が多かった。また、父母ともに生活程度が高いと思う人ほど、教育費は「惜しまない」という人が多かった。母親では大学・大学院卒で「惜しまない」人が87%と、高校卒の69%を上回ったが、父親に学歴による差は見られなかった。ただ、生活程度が「下」の父母でも6割程度が「惜しまない」と答えていた。
《奥山直美》

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