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ルネサンス高校、3,400名の生徒にタブレット配布「タブレット×デジタル教科書」

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ルネサンス高等学校とクアルコムによる共同プロジェクト
  • ルネサンス高等学校とクアルコムによる共同プロジェクト
  • 桃井隆良校長(ルネサンス・アカデミー 代表取締役社長)
  • 2011年度に実施されたスマートフォン導入プロジェクト
  • タブレットのメリットを生かし、さらなる効果を狙う
  • 英語に人気コンテンツで、英語の勉強のモチベーションをあげる
  • 英語学習だけでなく、英語で科学や理科を学ぶ効果も
  • 日本のモバイル市場を盛り上げたいと挨拶するクリフォード・フィッキ氏(クアルコムジャパン 代表取締役社長)
  • クアルコムチップを搭載したデバイスは世界で850種類以上
 16日、通信制のルネサンス高等学校とクアルコムは、同校の生徒全員にタブレットを配布する「タブレット×デジタル教科書」プロジェクトを開始すると発表した。

 ルネサンス高等学校は、株式会社が特区を利用して運営する完全通信制の学校だ。2011年にはスマートフォンを生徒の勉強に役立てようと500台の端末を導入する「スマートフォン×デジタル教科書」プロジェクトを実施している。その結果や効果を踏まえ、2013年は全校生徒全員にタブレットを持たせるようにし、授業に役立てる新しいプロジェクト「タブレット×デジタル教科書」を始動させた。このプロジェクトは、クアルコムの「Wireless Reach」というグローバルな社会活動支援プログラムによる資金的なバックアップによって実現した。

 通信制の高校は全国に200校ほどあるというが、ルネサンス高校はインターネットを利用した通信教育を実践する国内でも数少ない高校。今年で創立8周年を迎える。今回の「タブレット×デジタル教科書」プロジェクトでは、およそ3400名の生徒に対して、AndroidまたはiOSのタブレット端末を配布し、日々の勉強や授業に活用する。タブレット導入を決めたのは、2011年のスマートフォン導入で生徒の学習効果や成績アップに成果が見られたことと、タブレットならば、PCとスマートフォンの両方のメリットを活かせることが見えてきたからだと、桃井隆良校長(ルネサンス・アカデミー 代表取締役社長)は語る。

 同校は、以前からPCを使った授業を展開していたが、PCは机に向かって勉強をするという意思が必要となる。桃井校長は、せっかくインターネットを利用するのだから勉強する時間や場所の自由度を上げたいと考えたという。そこで開校2年目からは携帯電話を利用するようになり、2011年度は前述「スマートフォン×デジタル教科書」プロジェクトによって利用する端末はスマートフォンにシフトしていく。当初は携帯電話で勉強することに保護者から疑問の声もあったそうだが、現在ではそのようなクレームはないとのこと。



 同校では、2011年度と2012年度について、スマートフォンの学習効果について調査・検証を行っている。とくに携帯電話学習とスマートフォン学習の違いを比較した結果では、復習の回数に大きな違いは見られなかったが、取り組む時間はスマートフォンの方が増えていることがわかったそうだ。そして、試験の点数やレポートの正答率にも、スマートフォンの効果が認められたという。

 同校はその理由として、画面が大きくなったことで文字、図解、動画などの視認性がよくなり、取り組む時間や理解度に効果があったこと分析している。ならば、スマートフォンより画面の大きいタブレットなら、さらに効果が期待できるのではないかと、今回の「タブレット×デジタル教科書」プロジェクトにつながった。

 タブレットの利用は始まったばかりで効果についての評価はでていないが、これまでの授業や生徒のアンケートから、いくつかのメリットも浮かび上がっている。例えば、タブレットの大画面なら、問題や解説とともに動画のフレームも同時に表示できるので、生徒の理解度が上がることが期待されている。同様に英語の授業ではテキストを表示させながら、辞書も同じ画面で利用、表示させることができることも、長文読解の効率が上がり生徒の集中力アップにつながるという。

 そのほか、文章量が多い電子書籍の閲覧もタブレットに優位性がある。コンテンツの表示や操作に対する反応も、スマートフォンよりタブレットのほうが速いので、自分のペースやリズムを崩さず勉強ができるという声、起動がPCより速いので思ったときにすぐに勉強ができるという声、さらには、単純に「タブレットでの勉強は楽しい」という率直な感想もでているそうだ。

 タブレット導入の効果もいい方向に出そうだが、同校のデジタル教科書へのこだわりは端末の画面サイズやレスポンスの良さだけではないようだ。同校では、教科書の中身も、面白いものでなければ生徒の興味や集中は続かないと考えている。そのため、e-Learning用の教材や教科書の内容について、中身の面白さにこだわっているという。例えば、ナショナルジオグラフィックの人気電子書籍を英語教材に利用したり(ルネサンス高等学校を運営するルネサンス・アカデミーは、ナショナルジオグラフィックの日本語公式サイトの運営も行っている)、e-Learningコンテンツに生徒や先生を出演させたりといった工夫も行っている。



 桃井校長のプレゼン終了後、今回のプロジェクトを支援したクアルコム Wireless Reachイニシアティブ統括責任者 クリスティン アトキンス氏が、「タブレット×デジタル教科書」プロジェクトを支援することを決めたWireless Reachの活動について簡単に紹介した。

 クリスティン氏によれば、Wireless Reachは、クアルコムの技術を通じて人々の生活の向上と改善を実証するプロジェクトで、2006年から実施されているものだそうだ。現在、33ヵ国で84のプロジェクトが進行している。Wireless Reachでは、起業家育成、安全、環境保全、ヘルスケア、教育の5つの分野を支援の柱としている。

 米国での教育分野での支援実績として、Project K-NectというプロジェクトとAR(拡張現実)を利用したプロジェクトが紹介された。前者は、スマートフォンやタブレットを使った数学の学習支援を行うものだ。このプロジェクトでは習熟度が30%アップしたこと、生徒どうしの学びあいの機会を広げたことなどが確認されたという。後者は、例えば池のアヒルをスマートフォンで撮影すると、周辺の生態系が画面上のARで学べるというものだ。

 最後に、「この活動の教育では、3Gや通信技術を教育に活用できることを実証することを目的として、今回のルネサンス高等学校のような事例に資金援助などを行っている」(クリスティン氏)とし、オファーがあればさまざまなプロジェクトの支援を行いたいと述べた。

クアルコムとルネサンス高校、「タブレット×デジタル教科書」プロジェクトを発表

《中尾真二@RBB TODAY》

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