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【NEE2013】1人1台のダブレットを活用した公開授業…筑波大附属小

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デジタル教科書に線を引く児童 国語
  • デジタル教科書に線を引く児童 国語
  • 線を引いた文章をグループで共有 国語
  • 線を引いた文章を電子黒板で共有する児童 国語
  • 自分の回答を共有する児童 国語
  • 音読の時間 国語
  • ホワイトボードにまとめる青山教諭 国語
  • 授業のまとめはホワイトボードに記録 国語
  • タブレットに表示された地図 算数
 6月6日から東京で開催されたNew Education Expo 2013の最終日である8日にICTを活用した筑波大学附属小学校の国語・算数の公開授業が実施された。公開授業では、4年生を対象とした国語、3年生を対象とした算数の授業を1時間ずつ実施。1人1台のタブレット端末と先生用のノートパソコンを無線LAN(Wi-Fi)で接続し、電子黒板とホワイトボードが併用される形で授業が行われた。

◆段落相互の関係と文章全体の中での役割を発見する「読みの力」…青山由紀教諭 国語

 青山由紀教諭による授業内容は、「新聞づくり、パワーアップの秘訣をさぐる」という単元の中の1つ。中谷日出氏の「アップとルーズで伝える」を題材に、文章の内容を正しく読み取る能力だけでなく、述べ方や構成などを通じて筆者の主張や考えを分析し、自分なりの考えを表現することを目的とした授業だった。

 授業は、「アップとルーズで伝える」の音読から始まる。児童は、音読を通じて授業モードに頭を切り替え、前回の授業の内容を思い出す。デジタル黒板には、「アップとルーズで伝える」のデジタル教科書が表示され、前回の授業までに進められた内容がまとめられていた。公開授業で取り組んだのは4~5段落目、「アップ」と「ルーズ」というカメラワークとは何かについて書かれた1~3段落目との関係を探ることだった。

 児童は、4~5段落目において「アップ」「ルーズ」の説明文と読み取れる文章をタブレット上のデジタル教科書で見つけ、線を引いていく。青山教諭は、各児童のタブレットに表示された内容から、誰がどの文章に線を引いたのかを確認した上で参考になるものを電子黒板で共有する。共有された生徒に説明を求めることは容易だが、青山教諭は同じ文章に線を引いたほかの生徒に理由を共有させる。

 共有の過程において「私はここにも線を引きました」「ぼくはここには線を引きませんでした」という意見が自然と出るため、2~3人のグループになってお互いが線を引いた文章とその理由を共有し、その後電子黒板を使ってクラス全体と共有する。ポイントとなる発見をした児童は、電子黒板のデジタル教科書に直接線を引き、引いた理由をクラスと共有するという形がとられていた。

 線を引いた文章と引かなかった文章の理由をクラス全体で意見交換することで、自然と授業が進んでいく。「ここは1段落目の説明だと思う」「タイトルの「伝える」という部分と関連しているのではないか」「6段落目の文章の説明かもしれない」など、文章全体との関連性に気付く児童の発言を青山教諭がピックアップし、ほかの児童の反応を促す。

 最後は、授業の焦点となった4~5段落目の文章を、デジタルワークブックに沿って「アップ」で分かること・分からないこと、「ルーズ」で分かること・分からないことに落とし込んでいく。まずは、各児童がタブレットを使って、ワークブックに該当する文章をワークシートにドラッグ・ドロップ。これもグループ、クラスの順番で共有し、青山教諭が児童の発見をホワイトボードにまとめていく。授業の目的であった、段落の関係性がごく自然に生徒同士の対話の中で表面化し、青山教諭がホワイトボードを使ってまとめたところで授業は終了した。

 青山教諭が文章の正しい読み方、または解釈の仕方を児童に伝えたことは一度もなかっただろう。先生の立場から結論づけた発言はなく、児童の発言を効果的にピックアップし共有し、そして次の発見に結びつく効果的な問いを投げかける。児童は、クラスメイトの発見から学び、その発見に対する自らの立ち位置を模索する。あっという間の1時間ではあったが、児童にとっては「先生に教えてもらった」というよりも「みんなで読み解いた」という感覚のほうが強かったのではないだろうか。
《湯浅大資》

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