Facebookを活用した総合的な学習…ネット時代のコミュニケーション力

 筆者が勤務する附属新潟小学校の小学6年総合的な学習において、ネット時代のコミュニケーション力を身につけさせる指導として、Facebookを活用した実践を行った。

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  • 新潟大学 教育学部 附属新潟小学校Facebookページ
3 Facebookを使った発信活動体験

 そこで、実際にSNSを使ったよいコミュニケーション経験をさせる「モデル体験」が必要となる。その際、どのSNSを活用することがよいのだろう。実際、SNSには色々なものがある。

 今回私は、児童にSNSのメリットやデメリットを教える場合、Facebookを使う選択をした。選択の決め手は、実名制であり、荒らしが少ないことである。匿名のSNSに比べ、書かれている内容はポジティブなことが多く、大人はセルフブランディングに活用している。つまり、子どもたちにSNSの特性を教えるには最適な仕組みである。

 また、Facebookは利用者が多く、コメントをもらいやすい。さらに、「いいね!」ボタンでポジティブリアクションを多くの人からもらいやすい。また、学校のIDを利用することにより、子どもの個人情報を出さずに、教師の管理下において子どもが意見を表明できる。このように、さまざまな条件を考えてFacebookが現在の環境においてはもっとも有効であると考えたのである。

4 Facebookと年齢制限

 Facebookは年齢制限があり、小学生はアカウントをもつことができない。これは、児童の安全を考慮すると致し方ないともいえる。反面、できることであれば、教育利用において、学校の管理下でIDをもてるというサービスがあるとよいと思っている。

 実際、児童利用に特化した「ぐーぱ」(https://www.goo-pa.jp)のように、小学生でも利用できるSNSもある。こうしたサービスも非常に価値があるが、後述するような、「信頼できる大人と交流してアドバイス等をもらう」という活動をするには、やはり、Facebookのような、大人が日常使用しているSNSを利用したい。その点では、Facebookの年齢制限についての今後の動きに注視していきたいと考えている。

5 「SNSで発信しよう!附属小の良さ」

 具体的な事例を紹介する。今回、筆者が勤務する附属新潟小学校で、6年総合的な学習の時間において、4月に「SNSで発信しよう!附属小の良さ」という単元を組み実践を行った。以下に実践の流れを簡単に紹介する。

 Facebookページをつくるきっかけは、学校に来た1通のメールである。「附属小のホームページは必要な情報は網羅されているが、子どもの様子がわからず、学校の良さが伝わりにくい。」というメールである。そのメールを提示し、子どもたちに感じたことを問うた。すると、「確かに、写真が少なくて面白みが無い」「附属小は良い学校だから、もっとわかって欲しい」「自分たちにできるならそれを伝えたい」と言う。

 そこで、児童がブログ形式で更新でき、なおかつコメントももらえるFacebookページを使い、子ども自身の手で情報を発信することとした。発信した記事には、保護者や学校を取り巻く関係者から、肯定的なコメントをいただく。また、よりよい記事や写真にするためのアドバイスをいただく。子どもたちは、そのアドバイスにお礼を書き、アドバイスを参考に、よりよい写真や記事をアップしていくという流れである。

 これらの一連の活動の中で、本物の大人とネットを介したコミュニケーションをすることで、SNSを活用した「モデル体験」を積む。そのことが、ネット時代のコミュニケーションの力を子どもに付けていくことになるのである。
《片山敏郎》

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