子どもの英語学習、「聞く」ことを大切に母語のように学ぶ

幼児がどのように英語を習得していくのか、効果的な英語教育を行うために保護者が気をつける点、教材の選び方など、長年にわたり英語教育事業開発に携わってきたベネッセ教育総合研究所の加藤由美子氏に話を聞いた。

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 小学校の英語学習が教科化されるなど、子どもの英語教育の若年化が注目されている。幼児が語学を習得していく過程、効果的な英語教育を行うために保護者が気をつけるべき点、教材の選び方など、長年にわたり英語教育事業開発に携わってきたベネッセ教育総合研究所の加藤由美子氏に話を聞いた。

◆英語を「聞く」ことの大切さ

 幼児期の英語学習について加藤氏は、とにかく英語を聞くことが大切だと話す。日本語を母語として習得していく過程も、まずは聞き、聞いたことに反応したり、頷いたりすることから始まるという。やがてそれらの反応が「話す」に変わり、小学校に入って初めて「読む」「書く」を学ぶ。母語の日本語の場合、小学校に入るまでの約6年間を「聞く」「話す」に費やしており、英語の学習にも「聞く」時間が必要だという。

 現在小学校に導入されている英語学習は、英語を「聞く」ことに重点が置かれているが、加藤氏は、従来の英語教育は文法を教えるところから始まっていると説明する。公式に数字を当てはめるような形で英語を学び、学んだ文法を使うために、英語での読み書きを学習するという学習方法は、母語を学んだ時の学習方法と大きく異なり、学習する子どもたちにとって負担が大きいという。

 負担が大きいと、英語に対する苦手意識も高まる。ベネッセ教育総合研究所が2014年3月に行った「中高生の英語学習に関する実態調査2014」によると、中学生の49.3%、高校生の53.8%が英語を「やや苦手」「とても苦手」と回答。また、英語を苦手と感じるようになったのは、「中学1年の前半」から「中学2年の後半」までと回答した生徒が多く、学校で英語を学び始めた時期と重なる。

 加藤氏は、英語の苦手意識の理由を一概には言えないとした上で、中学生は文法や英語で文を書くこと、高校生は英語を話すことが難しいと感じていると説明。文法に当てはめていく学習方法は、子どもたちにもっとも適した英語学習方法ではないのかもしれない。

◆教材は子どもの発達レベルや興味に合わせる

 「聞く」ことを重視した英語学習には、見たり聞いたりできるCDやDVD、絵本などが効果的だという。加藤氏は、英語をたくさん聞かせることが大切で、真似をして言わせるようなことを子どもに強要しないことが必要だと話す。子どもがまだ声に出していないということは、まだ「聞く」作業が必要な段階だということだ。

 英語教材について加藤氏は、子どもの発達段階や興味にあった内容のものを選ぶことが大切だと説明する。生活環境が英語でない日本の場合、子どもが英語を聞く時間が限られる。教材を通じて英語を聞く時間を効率的に使うため、内容が子どもの発達段階と興味に合った教材を選択し、子どもを飽きさせず、集中して聞ける環境を整えることが必要だという。

 同じ年齢で、同じ英語力であった子どもでも、興味が異なれば教材に向き合う時の集中力が異なる。自然科学が好きな子どもなのか、社会科学が好きな子どもなのかなど、興味を合わせてから英語のレベルを考慮すればよいと加藤氏は説明する。
《湯浅大資》

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