【私学訪問】自由な校風で課外活動も全力、先輩と後輩の文化が根付く「開成」

 東京都荒川区にある男子の名門校、開成中学校・高等学校は東京大学合格者数トップで知られ、各界で活躍する人材を輩出してきた。東京大学名誉教授で工学博士である柳沢幸雄校長に同校の特色や教育方針などを聞いた。

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インタビューに応える開成中学校・高等学校 柳沢幸雄校長
  • インタビューに応える開成中学校・高等学校 柳沢幸雄校長
  • 柳沢幸雄校長
  • 卒業アルバムを開き運動会のようすを説明する柳沢校長
  • 柳沢校長 インタビューは校長室で行われた
  • 開成中学校の校舎
  • 運動会のようす
  • 運動会準備はすべて生徒によって行われる
--東大進学を勧めずとも、東大の合格者数が34年間トップな理由は、どういったことでしょうか。

柳沢校長:自分が目指すことが東大で学べるから、結果として、東大に行く生徒は多いのですが、この学校は本当に自由なのです。たとえば、私が生徒に言うのは、「短い時間で勉強しろよ」「勉強時間を長くとるな」ということ。それはなぜかというと、部活動、学校行事、課外活動などいろいろなことができるわけです。授業が終わったあとに勉強時間が長いと、なかなか部活動などに積極的に加われない。

 だから、「できるだけ授業の中でうまく知識を定着させよう」「自分流の勉強の仕方を早く見つけよう」といった話をしています。生徒たちは、部活や生徒会の委員など課外活動を平均して一人二役くらいやっていますね。うちの学校の、伝統のなせるわざでしょうか。

--部活動への参加も積極的なのでしょうか。

柳沢校長:部活動では自分の好きなことをやりますからね。部の数はとても多くて運動部、文化部、同好会を含めると70くらいあります。

 教室の授業が終わったあとは、みんな自分の居場所へ行くわけです。グラウンドで走るのが好きな生徒はグラウンドへ行き、物理が好きな生徒は物理の部室へ行き、クイズが好きな生徒はそのための練習をしている。というように、みんな自分の居場所をもっています。居場所は、生徒にとって自由な空間。その居場所の中で指導してくれるのが、先輩です。

--先輩と後輩の文化が根付いているのですね。

柳沢校長:開成でいちばん誇れるのは先輩。先輩が後輩に対し、本当に面倒見がいいのです。これは在校生だけでなく、卒業生でも、後輩に頼まれると自分の知っていることは教えてやろう、となるわけです。自分も大人になってくるという気分になります。先輩から後輩へ、という循環があるわけです。

--開成の運動会は有名ですね。

柳沢校長:開成で最大の行事が、運動会。決して「体育祭」とはいわず、昔ながらの名称で「運動会」です。名称だけでなく、私が生徒だった頃と種目も変わりません。各学年を8つの組に分け、その8つの組の対抗でおおいに盛り上がります。

 高3が中1から高2までを指導し、開催日は母の日。それが終わると、高3は一気に受験モードになります。それまで部活をめいっぱいやっていますから、運動会が終わると、私たちも「お前、最後に勉強くらいしろよ」と声をかけています(笑)。
《大倉恭弘》

大倉恭弘

大阪生まれ。美大卒、デザイナー出身のコピーライター。教育、ICT、スポーツなど幅広い分野のインタビュー取材に携わる。プログラミング、コーディングをこなし、4コマ漫画の連載も。企画・編集協力に「ナニワなんでもタイガース」他。趣味はウクレレ、Sonic Piを用いた楽曲制作、スケッチ、GIFアニメ制作。

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